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「ウェブメディアは儲からない」をどうする?【cakes加藤×ハフポスト松浦】

2013年05月08日 19時09分 JST | 更新 2013年06月08日 16時37分 JST
Chika Igaya

「cakes」CEO加藤貞顕さんと松浦茂樹ハフィントン・ポスト日本版編集長が徹底対談

 出版社でベストセラーを手がけた後、自らデジタルコンテンツ・プラットフォーム「cakes」を立ち上げた加藤貞顕さんとハフィントン・ポスト日本版の松浦茂樹編集長が、ハフポスト日本版オープン目前の4月30日に緊急対談。思想家の東浩紀さんがプロデュースする知的空間「ゲンロンカフェ」(東京・五反田)を舞台に、これからのメディアに求められる「編集力」とは何かを徹底的に話し合いました。その論点をまとめてご紹介します。今回の話題は、出版社や新聞社が担ってきた「調査報道」とウェブメディアについてです。

雑誌とクライアントの関係をウェブメディアに活かす

加藤:立花隆さんの「田中角栄研究」は文藝春秋でやったわけなんですけど、やっぱり出版社側がすごい機能を果たしてたなと思うのは、そのころの出版社ってむちゃくちゃ儲かってたんですよ。だから、立花さんに毎月調査費をものすごく払って、すごくいっぱい助手を雇って資料集めて調べた結果、あれができたんですね。お金があるからできたことでもある。

加藤:当然、ウェブでメディアをやるっていうと、お金の話に踏み込まざるをえないんですけど、そういう部分はハフポストはどうやって担保するんですか?そもそも無料で見られるサイトでいいんですか?

松浦:そうです、完全に無料のサイトです。

加藤:じゃあ収入源は広告。ページビューをお金に換えるってことですよね。僕もダイヤモンド社で、「ダイヤモンドオンライン」っていうウェブのニュースサイトを立ち上げる時に関わったんだけど、今はビジネス系のサイトではわりとトップクラスのページビューなんですよ。だけど、広告の売り上げを見たら、本を売ってる側から見ると、「えっ」ていうくらい少ない。人件費とかも考えちゃうからね。「こんなに儲からないの?ウェブ」っていうのがある。

とはいえ、出版社の競争力ってそこであったわけなんですよね。いい編集者や記者を抱えて、調査するお金を本を売ることによって捻出してきたんですけど、「どうやってそれをやっていくんですか?」っていうのが一番ハフポストで気になるところですね。

松浦:雑誌って何万部も出てますが、最終的に何人に読まれてるかわからないとこある。そこも含めてちゃんとクライアントに説明してるから、紙面の広告って高い単価で入ってる。でも、ウェブはとにかく目の前の管理画面で数字が色々並んでて、「ああ、今日ここの広告入ってきた、よしよし」という世界。ただ、それでやってる限り、ページビューがたとえ1億あっても、そんなに売り上げにはならない。

でも、アメリカのハフポストの広告は、ちゃんと編集的な考えの部分が生きてるんですよ。例えば「母と子の健康」みたいなカテゴリーに対して、ジョンソン・エンド・ジョンソンがスポンサーでどーんと入ったり。

加藤:ああ、なるほど。すごく雑誌っぽいですね。それはつまり枠のブランドを売るわけですね。それって、信頼であったり、編集の仕方であったり、もちろん営業力も必要です。アメリカのハフポストはどうやってできるようになったんですか?

松浦:そこは信頼関係で、ちゃんと醸成していった。数字を気にするより、何を打ち出したいか。そこに対して支援して欲しいと。日本の雑誌とかもやってきたと思うんですけど、それを真摯にやってる。それは日本のウェブに必要だなって強く思いましたね。

(この連載のバックナンバーはフォトギャラリーよりご確認ください)

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