「こどもの城」閉館か? 存続を訴える署名運動

大型連休の最後の日となる5月6日。初演から28年目を迎えたミュージカル「」の最終公演が行われた青山劇場前で、一人の女性がマイクを片手に悲痛な声を上げた。フリーアナウンサーの有泉慶美(ありいず・よしみ)氏だ。
Yoko Doi

「皆様にお願いがございます。まだここは役割を終えておりません。唯一のナショナルセンターです。この青山劇場で生まれたといっても過言ではないミュージカル『アニー』も再来年には青山劇場では公演できなくなくなってしまいます」

大型連休の最後の日となる5月6日。初演から28年目を迎えたミュージカル「アニー」の最終公演が行われた青山劇場前で、一人の女性がマイクを片手に悲痛な声で訴えた。フリーアナウンサーの有泉慶美(ありいず・よしみ)氏だ。

全国でも唯一の国立児童館「こどもの城」と、併設される青山劇場の閉館に反対して署名活動を続ける市民団体の共同代表を務めている。

「こどもの城」は、1979年の国際児童年を記念して、当時の厚生省が児童福祉法に基づいて、東京都渋谷区に建設した大型児童館。約1万平方メートルの敷地に、体育室やプール、音楽スタジオ、それに2つの劇場と豪華な設備がそろっている。85年に開館して以降、これまでの総利用者数は3000万人以上。長く子ども達の人気を集めていたが、施設の老朽化や社会情勢の変化を理由に厚生労働省は昨年9月、2015年3月末をもって閉館することを決定した。「こどもの城」に併設されている青山劇場、青山円形劇場も閉鎖される。

この動きに反対して、翌10月には保護者や演劇ファンらによって「こどもの城、青山劇場、青山円形劇場の存続を願う有志の会」が立ち上がった。閉鎖決定を覆すべく盛んに署名活動を行っている。

Youtubeにアップされた動画の中で、有泉氏は

「国の主張では、老朽化にともなう大型改修費が117億円にもなるとか、全国に児童館が行き渡ったからとか、もう『こどもの城』の役目は終わったからとか、取ってつけたような理由ばかり。でも、全国の児童館の方にアンケートを採りましたが、『まだまだ必要だ』という声が9割以上あるんです。現場の人が必要だと言っているのに、なぜ切り捨てるのか」

と、憤りを露わにしていた。

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