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非正規5人に1人は「不本意」 総務省、統計データ初公開

2013年05月15日 00時27分 JST | 更新 2013年05月15日 00時45分 JST
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 パートや派遣社員など非正規雇用の5人に1人は「不本意」な気持ちで働いている。総務省が14日に初めて公開した非正規雇用実態データで明らかになった。

 調査期間は2013年1〜3月期。結果によると、正規の職員・従業員は3281万人で前年同期よりも53万人減。非正規は1870万人で前年同期よりも65万人増えた。雇用者全体に占める非正規の割合は36.3%だった。さらに詳しく見てみると、非正規1870万人のうち男性は600万人、女性は1270万人。そのうち、男性は55歳以上の272万人、女性は35〜54歳の610万人が最も多い年齢層になっている。

 そして、「なぜ非正規の職員・従業員という雇用形態を選んだのか?」という質問に対して、「正規の職員・従業員の仕事がないから」と答えた人が男性で171万人(全体の31.3%)、女性で177万人(同14.8%)となり、計348万人(同19.9%)が不本意ながらも非正規雇用を選んだ現状が浮き彫りになった。

それ以外の理由としては、

■自分の都合のよい時間に働きたい
:男120万人(21.9%)女298万人(24.8%)=計418万人(23.9%)

■家計の補助・学費などを得たい
:男66万人(12.0%)女324万人(27.0%)=計390万人(22.3%) 

■家事・育児・介護などと両立しやすい
:男3万人(0.5%)女177万人(14.8%)=計180万人(10.3%)

■通勤時間が短い
:男14万人(2.6%)女51万人(4.3%)=計65万人(3.7%)

■専門的な技能をいかせる
:男67万人(12.2%)女72万人(6.0%)=計139万人(7.9%)

■その他
:男108万人(19.7%)女101万人(8.4%)=計210万人(12.0%)

などとなっている。

(一部、実数の数字合計数が合っていないところがありますが、総務省発表のまま掲載しています)

 男性では「正規雇用がない」という消極的な理由で非正規雇用を選んだ人が3割で最も多いが、一方で女性は「家計の補助、学費得るため」「都合のよい時間に働きたい」などの明確な目的で選んだ人が半数と最も多くなっている。しかし、上記のデータを別の角度から見れば「正規ではなく自ら選んで非正規へ」という人が(その他をふくめれば)約8割存在するということになる。この点をどう考えればいいのだろうか。

 バブル崩壊以降、「企業戦士」という言葉がいつの間にか「社畜」という言葉に変わり、ワークライフバランスを優先する働き方が叫ばれる時代になった。また、「多様な働き方」という美しい言葉の中に企業側の「人経費抑制」の思惑が隠されていることも私たちは十分承知している。光と影を知った上で、それでも非正規雇用を選ぶ人は着実に増えているという現実がある。

慶応義塾大学商学部の樋口美雄教授は「政府広報オンライン」で非正規雇用の増加について以下のように説明している。

 

非正規雇用の労働者が増加している背景には、企業、労働者、双方のニーズがあります。まず、企業側からのニーズでは、労務コストの削減や時季、景気変動による繁閑に対応するため、即戦力となる人材を確保するため、専門的業務に対応させるため、という点が挙げられます。一方で、労働者側からのニーズでは、都合のよい時間帯に働くことができるため、家計の補助、学費などを得るため、という点が挙げられます。企業側と労働者側の双方にニーズがあれば、非正規雇用が増加しても、問題はないのではないかともいえます。 
しかし、注目すべき点は、非正規雇用で働く理由が「正社員として働ける会社がなかった」という不本意に非正規で働く人の存在です。その割合は、1999年には14.0%であったのが、2010年になると22.5%にまで、約10年間で8.5%上昇しています。特に、契約社員では3割を、派遣労働者では4割を超え、高い比率となっています。(中略)不本意に非正規で働く人の増加は、グローバル化や長引く不況の中で、企業が競争に勝ち抜くために、人件費を抑制し、費用の固定化を避けるために、正規雇用を絞り込んだことが背景にあります。

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