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ビールにもアベノミクス効果?

2013年05月21日 20時24分 JST | 更新 2013年05月22日 23時12分 JST
Reuters

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ビール市場にもアベノミクス効果が出始めている。消費マインドの改善を受けて外食市場が戻り歩調にあることで、業務用のビールが堅調に推移している。

ビール商戦は、これから中元・盛夏と需要期に入る。特に、ビールが強みを発揮する中元では、アサヒビールがプレミアムビールを投入したことで、プレミアムでの競争が激化しそうだ。消費増税で来年以降の市場動向は厳しくなることが予想されるため、各社ともに足元で吹く「追い風」を利用して足場固めをするべく販促・攻勢をかける方針だ。

<13年ビール類市場、プラスの期待も>

「年初はビール系飲料市場は前年比で1―2%減とみていたが、足元の状況や景況感を見ていると、前年越えの可能性がある」―。アサヒビールの小路明善社長は、株高に象徴される景況感改善を反映して、ビール系飲料市場でも消費者の意識の変化を感じると話す。

サッポロビールでは、ここまでのビールと新ジャンルの動きを踏まえ、年初に予想していたビール類市場の予測を2%減から1%減へと上方修正した。野瀬裕之ブランド戦略部部長は「給与が上がっているわけではないが、消費者の気持ちは報道や情報で左右される。消費には上向きな動きが出ている」と指摘する。

最も顕著なのは外食市場の動向だという。景況感が悪化するといち早く影響を受ける外食市場が最悪期を脱し、回復基調にある。外食市場の持ち直しと共に飲食店向けに出るビールの樽・タンクの販売は、4月に前年比6.8%増、1―4月累計でも前年同期比0.5%増と増加している。

サントリー酒類の仙波匠常務は「アベノミクスで景況感はプラスになっている。これは、プレミアムモルツには好影響とみている」と指摘。ビール離れが言われて久しいが、ビール未体験者がおいしさを実感するのは飲食店の生ビールが入口とみて、厳しい条件をクリアした店だけが認定されるプレミアムモルツの「超達人店」を3月末の300店から今年は1000店に増やすなどし、消費者との接点を強化していく方針だ。

<中元はプレミアム競争>

中元市場のうち、約半分を占めるビール。ギフト市場自体の縮小に伴い、ビールギフト市場も前年割れが続いている中、サントリー酒類の「ザ・プレミアムモルツ」が9年連続で過去最高を記録するなど、プレミアムビールは強さを発揮する市場だ。

昨年、ノンアルコールビールテイスト飲料市場に「ドライゼロ」を投入して、初年度からシェア2位に躍り出たアサヒビール。今年は、ギフト専用商品として、主力商品「スーパードライ」の派生商品となるプレミアムビール「スーパードライ プレミアム」を投入する。6月11日発売だが、すでに予想を上回る受注を受けており、年間販売目標を120万セットから150万セット(中元期90万セット、歳暮期60万セット)に上方修正した。

アサヒによると、昨年のプレミアムビールの中元市場は450万セット、90万セットを販売すれば「20%程度のシェアになる」(小路社長)とみている。ビール市場では圧倒的なブランドであるスーパードライの派生商品という安心感もあり、初年度から大きくシェアを獲得する可能性は高く、中元商戦の台風の目になりそうだ。

アベノミクスを追い風にして、仮に今年の総需要が前年を超えても、2014年4月、2015年10月と消費増税が実施されれば、消費マインドが後退、嗜好品の買い控えにつながる可能性も否定できない。ある業界関係者は「追い風が吹く間にブランドを確立して、厳しさが予想される来年以降に備えたい」と話しており、消費増税を控えた正念場の年となりそうだ。[東京 21日 ロイター]

(ロイターニュース 清水律子;編集 宮崎亜巳)