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米国の原発が制作した「スター・トレック風研修ビデオ」が問題に

2013年05月23日 23時22分 JST | 更新 2013年05月25日 01時17分 JST

米カリフォルニア州にあるサンオノフレ原子力発電所が2010年に制作した『スター・トレック』風の研修用動画が、激しい議論を呼んでいる。

同原発(San Onofre Nuclear Generating Station)の略称「SONGS」をもじって『ソングス・トレック』と名付けられたこの動画では、同原発の制御シミュレーター室にいる上級管理職員たちが、カーク船長やスポック、ウフーラに扮し、U.S.S.エンタープライズ号にいるかのように演技している。

この動画は、社員感謝デーのイベントで公開するために、800ドルの予算を投じて社内研修用として制作されたと伝えられている。この動画を「不適切だ」と感じた社員が、カリフォルニア州のテレビ局KGTVに匿名でリークした。

テレビ局に動画をリークした人物は、「おそらく研修用なのだろうが、この動画の何が研修につながるのか理解できない」と語っている。

同原発は5月初旬に、水漏れがあった配管をマスキングテープやビニール袋、ほうきの柄で補強している写真が公開されたことでも問題となった(以下の動画)。

同原発をめぐる問題に抗議を続けてきた環境保護団体のFriends Of The Earth(FoE)も、今回の動画について批判している。

FoEの広報担当官ケンドラ・ウーリッヒ氏は、米ハフィントン・ポストの取材に対して次のようにコメントしている。「面白いとは思うが、この動画からは安全性を軽視している企業文化がうかがえる。まるで背景からホーマー・シンプソンが出てきそうだ」(翻訳注:TVアニメ『ザ・シンプソンズ』では、一家の父であるホーマーは、スプリングフィールド原子力発電所の安全検査官をしているという設定)

米原子力規制委員会(NRC)は、KGTVによる報道があるまで、この動画の存在は知らなかったとしている。同委員会のビクター・ドリックス報道官は、動画を確認した後のコメントとして、規定への違反はなく「安全性を強化するものであっても、脅かすものではない」と米ハフィントン・ポストに対して述べた。

さらに同報道官は、「船長が要求した内容を、それを聞いた人物が繰り返して確認し、さらに内容が正しく伝わっているか船長が確認している」シーンを指して、動画の目的を「3方向コミュニケーション」の重要性を強調するものだと指摘。「撮影は訓練装置で行われており、安全性に問題はない」と語っている。

翻訳注:サンオノフレ原発では、2012年1月に3号機で放射性物質を含む蒸気が少量漏れたことを受け、2号機と3号機に設置された三菱重工製の蒸気発生器の配管の劣化が判明。両原子炉ともに同1月から運転を停止している。以下の動画は、停止問題と、それをめぐる市民たちの声を紹介している。

[David Moye 日本語版:兵藤説子、合原弘子/ガリレオ]