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薬のネット販売検討会、ネット検索結果は「広告」か「陳列」か

2013年05月24日 18時05分 JST | 更新 2013年09月22日 17時28分 JST
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薬のインターネット販売について話し合う「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」の第10回目の会合が24日厚生労働省で開かれた。

医薬品の通信販売は、2009年の薬事法改正で、一部の薬品がインターネットを含む通信販売できなくなったが、2012年4月に東京高等裁判所が判決を出し、事実上、ルール無しで解禁となっていた。「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会は」、このルールをどのように定めればよいのかという議論をするためにもうけられてており、今年2月から開催されている。

これまでは、インターネットで販売できる一般医薬品をどこまで認めるかという点などを議論しており、一般医薬品の種類に応じて副作用のリスクが違うことから、どのようにそのリスクを取り除くべきかなどのテーマで話し合いが進められてきた。

なお、この検討会であるが、第8回より事務局によって「たたき台」とよばれる資料が作成され、その資料及び、検討会に参加する構成員が持ち寄った資料などを使って議論を行うという形になっている。その会の検討会で議論された内容が、次回のたたき台などに反映される。(※第10回会合の資料一覧はこちら

内容は、「一般用医薬品の意義」「インターネット販売等のニーズ」「一般用医薬品のインターネット販売等のルールについて」「偽造医薬品・偽販売サイトへの対応」と大きく4つの項目からなり、それぞれの項目をブラッシュアップして行くという進め方をとっているようである。

このたたき台の資料は、第8回は「議論を進めるための事務局たたき台(案)」、第9回では「議論を進めるための事務局たたき台(修正案)」、第10回では「検討会の意見を取りまとめるためのたたき台」という名称と変化してきている。というのも、安倍首相が、医薬品のインターネット販売を成長産業戦略の一環として位置づけており、6月に公表予定の成長戦略に盛り込むため、今月中に結論を出すよう求められているからである。

たたき台の内容も、前回の会合での資料ではたとえば、「一般用医薬品の意義」の項目について、「一般用医薬品の重要性は、専門家の適切なアドバイスの下、身体の軽微な不調や軽度な症状を自ら手当てするという、いわゆる「セルフメディケーション」の観点からも、引き続き重要なものではないか。」などと疑問形になっていたところが、第10回の資料では、「一般用医薬品の重要性は、専門家の適切なアドバイスの下、身体の軽微な不調や軽度な症状を自ら手当てするという、いわゆる「セルフメディケーション」の観点からも、引き続き重要なものである。」というように、断定的な文調に変更されてきている。

5月はこの第10回の会合と、残りのあと1回しか期日が残っていない状態であり、議論をし尽くすことができるのか、という点を心配しながらの進行となっている。それでも、第10回目の会合も、賛成派と反対派の間で激しくやりあう結果となっている。

例えば今回の会合では、インターネットで薬を検索した時に表示されるのは、「陳列」と「広告」とでいうとどちらなのか、という議論がおこなわれた。

医薬品の広告は薬事法等において、規制がされている。たとえば、第1類医薬品にあたるものの商品には広告中に使用上の注意の記載が必要となっている。

また、日本OTC医薬品協会では、広告審査会を設け、テレビや新聞等の広告の表現について、審議を行なっている。例えば「指定医薬部外品」の文字が読みにくいのではないかといったことや、「希望小売価格 値下げ」の文字をキャッチコピー的に利用することは、乱用助長にもつながるなどの指摘を行なっている。

ここで検索結果が広告となると、これらの規制の対象に含まれる可能性も出てくる。

インターネットで、ものを検索することは、すぐに知りたいことを知ることができるという、ユーザーにとっての利点もあるが、検索サービス提供側は、検索結果に対して一定のアルゴリズムで表示を行うことが可能である。実際グーグルの検索結果も、グーグルの定めるところのサイトの人気順などの観点から、表示が行われる。

陳列か広告かについて、検討会を傍聴したかたのツイートによると、下記のように発言する検討会出席者もいたようである。

検索結果が「最適化」された状態は、ユーザーが自信で必要な物を探すための「陳列」にあたるのか、それとも、売りたい側が売りたいように並べる「広告」なのか頭を悩ますことになる。はたまたインターネット検索結果ではなく、店頭における「陳列」も、売りたい側が売りたいように並べているわけではないのかと問えば、そうとも言えないのではないのか、とも思えてくる。

議論は、インターネットの強みである、購入履歴を参照しての「レコメンド」機能についても発展する。この検討会の構成員の一人である、國重惇史氏は、第3回の会合の際に資料として提出した資料の中で、インターネットでの医薬品の販売の強みを「トレーサビリティ」という言葉で表現した。トレーサビリティーとは「モノがいつ、どこで作られ、どのような経路で消費者まで届いたかという経路が明らかになっている状態」のことである。

インターネットを使えば、どこに住むなんという消費者がどの商品を購入したということを把握できるが、それらの購入履歴を元に、同じ地域、同じ年代や性別などの状況から商品を表示させることは、消費者の利便性と考えるよりも広告と捉えられるのか、などまだはっきりとしたとりきめはない。

このような議論が行われ、まとめられた結果、インターネットにおける一般医薬品のルールが決まってゆく。ブラッシュアップされるたたたき台や資料を元に、方向がなされることになる。検討会を傍聴したかたのツイートによると、たたき台の中に自分の意見が反映されていないと感じる討論会出席者もいたようである。

次回の討論会は5月31日と案内が出ている。11回目の資料となるたたき台には、どのような内容が反映されているのか、また、その内容についてどこまで議論が展開されるのか、注意して確認したいところである。

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※2013年5月27日 23時47分:引用の主従関係に関する指摘を受け、「偽造医薬品・偽販売サイトへの対応」「一般医薬品の購入時に、薬のにおいや色を確認する必要があるのか」の項目を削除し、「ネットでの「薬」の検索結果は広告か、陳列か」、討論会におけるたたき台のアップデートに関する内容を加筆した。

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