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成長戦略、素案発表される=アベノミクスの第3の矢の内容が判明

2013年05月29日 14時57分 JST | 更新 2013年05月29日 16時00分 JST

政府は29日朝、産業競争力会議を開き、これまでの議論を踏まえ、アベノミクスの第3の矢としてまとめるとされる「成長戦略」の基本的な考え方を素案として公表した。成長戦略の中では、「日本産業再興プラン」「戦略市場創造プラン」「国際展開戦略」の3つのアクションプランを示し、それぞれのアクションについてKPI(Key Performance Indicator)を設定。2030年を最終目標とし、中長期の工程表を元に実行するとするとした。

3のアクションプランの位置づけとしては、下記のように説明する。

「日本産業再興プラン」の実行により、産業基盤を強化。その力を基に、「戦略市場創造プラン」の実行により、課題をバネに新たな市場を創造し、「国際展開戦略」の実行により、拡大する国際市場を獲得。

(首相官邸「成長戦略の基本的考え方」より。2013/5/29)

「日本産業再興プラン」では、グローバル競争に打ち勝つための企業の再編などを行う。

政府はまず、今後5年間を「緊急構造改革期間」、なかでも今後3年間を「集中投資促進期間」と位置付け、民間投資の拡大や、構造改革などを行う。世界的に競争力のある企業を育成する「産業競争力強化法」(仮称)の策定や、税制優遇措置を特定の地域を限定して導入する「国家戦略特区」の創設を創設すると共に、雇用に関しても、若者・女性の活躍を促進したり、待機児童解消加速化プランなども表明予定だ。

「戦略市場創造プラン」では、新たな成長分野を切り拓く産業を開拓する。そのために、2030年のあるべき社会像を見据え、その実現のために、政策資源を集中投入するロードマップを策定する。

特に、日本が国際的強みを持つ「医療」「クリーンエネルギー」「次世代インフラ」「農林水産物などの地域資源」など4つの分野を選定。医療分野では一般用医薬品のインターネット販売やロボット介護機器開発を、クリーンエネルギーの分野では、電力システム改革実行や浮体式洋上風力発電の推進、需要に合わせて供給側を変動させるディマンドレスポンス産業確立、次世代インフラ分野では、先進技術を駆使し、インフラの機能を発揮し続けながら、コストも縮減するなどとしている。

「国際展開戦略」では、日本国内の徹底したグローバル化をすすめるなどとする。日本の産業の世界市場展開と、海外からの対内直接投資拡大等を実施する。

インフラシステム輸出ではトップセールスを実行し、2020年までに世界市場での受注額を30兆円まで拡大したり、クールジャパンの推進なども行うとする。

しかし、これらの成長戦略の内容については、28日の段階では期待薄という見方もあった。ロイターの『「成長戦略」の失望リスクに警戒高まる、市場不安定化の一因に』という記事では、迫力ある政策は先送りされそうだとして、下記のように書いている。

たとえば、労働市場改革だ。市場では、解雇ルールの法制化によって、人件費調整を、現在の賃金の抑制や非正規雇用の活用を中心としたものから、正規労働者の削減を含む調整も可能にすることで、企業が労働生産性を高める選択肢を増やすことができるとの期待が出ていた。その是非や効果については異論もあるものの、国民的議論が盛り上がる前に、今回の「成長戦略」からは除外される見通しだ。

(ロイター『「成長戦略」の失望リスクに警戒高まる、市場不安定化の一因に』より。2013年 05月 28日 17:16)

「成長戦略の基本的な考え方」の中では、「雇用維持型から労働移動支援型への転換」という文言は入っているが、具体的にどのようになるのかはまだ確定していない。29日午後の株式市場は、この発表による特に目立った変化はない。

また、ロイターは今回の会議の内容について、下記のように報じている。

会議関係者によると、政府が示した「基本的考え方」に対し、出席した民間議員らは「財政規律との関係を明確にすべき」、「大胆な金融政策で円安が進んでいるが、日本が再び経済を立て直し、世界経済のけん引役になるということで(各国から)許容されている。まず内需から立て直すべき」などと指摘したという。

(ロイター「成長戦略の議論大詰め、産業再興や市場創造 産業競争力会議」より。2013/05/29 12:19 )

会議の中での内容が、どれぐらい素案に反映されるのかはまだ分からないが、成長戦略の取りまとめは国際的に注目される。アベノミクスの今後を左右する内容だけに、取りまとめの内容が期待される。

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