「イスタンブールは安全」 トルコ、旅行者たちが語る街の様子

激しい反政府デモが続いているトルコ・イスタンブール。12日にはエルドアン首相がデモ参加者と初めて面会したが、事態が収まる気配はない。政情不安を気にしているのはトルコ国内の人だけではない。それは、トルコ旅行を計画中の人たちにとっても重大な関心事のはず…
Also known as the Sultan Ahmet Mosque; the Bosphorus is visible beyond.
Also known as the Sultan Ahmet Mosque; the Bosphorus is visible beyond.
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激しい反政府デモが続いているトルコ・イスタンブール。12日にはエルドアン首相がデモ参加者と初めて面会したが、事態が収まる気配はない。政情不安を気にしているのはトルコ人だけではない。それは、トルコ旅行を計画中の人たちにとっても重大な関心事だ。

デモ隊が占拠している「ゲジ公園」や催涙弾や火炎瓶が飛び交った「タクシム広場」は、イスタンブール新市街のまさに中心。繁華街の「イスティクラール通り」へと繰り出す人たちや観光客などでいつも賑わいのある場所だ。広場の歴史などを無視してあえてたとえるならば、「東京・渋谷の宮下公園をデモ隊が占拠し、スクランブル交差点で警官隊と激しく衝突した」というような状況だろうか。そんな場所へあなたは旅をしたいと思うだろうか?

■観光立国トルコ

Master Card Global Destinations Cities Index 2013」によると、2012年にイスタンブールを訪れた外国人観光客の数は1037万人で世界主要都市中の6位。観光収入は8000億円を超えた。11年の統計では、トルコを訪れる旅行者のうちイスタンブールが3割近くを占めていて、イスタンブールから客足が遠のくことはトルコにとってかなりの痛手となる。そのため、トルコ政府はもちろん、地元の人たちにとっても「イスタンブールは危険」というイメージがつくことは何としても避けたいのだ。

外務省の海外安全ホームページでは以下のような注意情報が出されている。

特にイスタンブールのタクシム広場周辺では,夜間,デモ参加者が一部暴徒化し,政府系銀行のATMからの現金強奪,車両を破壊しバリケードとして利用する等の行為を行っており,危険な状態です。イスタンブール滞在時は,タクシム広場付近(イスティクラール通りを含む)及び首相府施設のあるドルマバフチェ宮殿付近には近づかないようにしてください。また,事態が収束するまで,夜間の外出は控え,昼間であっても政府機関,警察機関,警察車両への接近は、可能な限り避けてください。

■「イスタンブールは安全」

上記のような注意喚起や連日の激しい衝突にもかかわらず、イスタンブールに滞在している旅行者のほとんどが「人は優しいし安全」という印象を持っているという。CNNによると、旅行のキャンセルや他の都市への計画変更はあるが、それらは「限定的」だと地元の旅行代理店は話しているという。多くの人たちが計画通りに旅を進めているようだ。

デモが激しくなった6月上旬にイスタンブールに入った旅行者たちからは、「市中心部の観光スポットに行けなかった」とか「道が閉鎖されていたので旅行プランを変更した」という声もある一方で、「デモ隊がいる公園や広場に行っても危険は感じなかった」「トルコ語が話せなくても疎外感を感じることはなかった」などの感想もある。もともとトルコは旅行者にとても優しい国だが、デモの激化以降、地元の人たちがより注意深く外国人に接しているせいなのかもしれない。

しかしながら、デモの前後で変化した点もあるようだ。それは「街での遊び方」だ。デモの後、トルコ人がタクシム広場の周辺のバーやクラブに行くのは「不適切だ」という社会の目があるという。外国人観光客が行くことについては問題がないとのこと。ブルーモスクやアヤソフィア、トプカプ宮殿などの人気スポットは、衝突が起きているタクシム広場から少し距離があるため観光に支障はないようだ。

世界遺産の街並みに親日的な人々、イスタンブールを旅行した人のほとんどがこの街にまた戻ってきたいと願う。世界三大料理の一つトルコ料理の味も一度食べたら忘れられない。タクシム広場で待ち合わせて、イスティクラール通りへと繰り出す日常が一日も早く戻ってくることを願っている。

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