「神戸牛のジャーキー」支援サイトで12万ドルの詐欺

多数の人がネット経由で金銭的な支援を行うクラウドファンディングサイトのひとつ「Kickstarter」は、価値のある慈善事業に人々の関心を集めたり、真に優れたアイデアを後押ししたりすることができる。しかし、Kickstarterの一部は単なるがらくたであり、ときには多くから非難されるようなプロジェクトが資金を集めてしまうこともある。

多数の人がネット経由で金銭的な支援を行うクラウドファンディングサイトのひとつ「Kickstarter」は、価値のある慈善事業に人々の関心を集めたり、真に優れたアイデアを後押ししたりすることができる。しかし、Kickstarterの一部は単なるがらくたであり、ときには多くから非難されるようなプロジェクトが資金を集めてしまうこともある。

有機飼料で飼育された――ビールを与えられマッサージを受けているのは言うまでもない――日本産の牛肉から、風味の良いビーフジャーキーを作るという触れ込みのプロジェクト「コウベレッド」の場合、その企画は現実にはありえないほどうますぎる話だった。

Kickstarter社は、6月13日にコウベレッドのファンディングを打ち切って、12万ドルの詐欺事件の成立をかろうじて免れた。「Quartz」の記事によると、資金集めに成功していたら、この詐欺プロジェクトは「クラウドファンディングサイト史上最大の明確な詐欺事件」になっていたという。

Kickstarterでは、支援募集が締め切られたプロジェクトの払い戻しは行われない。幸運なことに、コウベレッドは締め切り前に募集が打ち切られたので、3252人の支援者たちはほんの少しプライドを失うだけですむだろう。

この詐欺事件を最初に把握したのは、Kickstarterに関するドキュメンタリーを制作しているチームだ。彼らは6月13日に公開されたビデオで、詐欺を告発している。

Quartzのレポーター、クリストファー・ミムズは、プロジェクトの内容についてはユーザーたちの集合的な判断に任せるというKickstarterの「自由放任主義」的な姿勢は、同サイトの人気を高めるのに役立ってきたが、その同じ姿勢が、詐欺事件を生み出しやすくしている可能性があると述べている。

Kickstarter社は「よくある質問」セクションで、「説明責任」に関して、「Kickstarterによってクリエーターはリスクを取って新しいものを生み出そうとすることができるということは、ひとつの特徴であって、欠陥ではありません」と述べている。しかし、あと一歩で詐欺事件になりかねなかった今回の出来事は、そのリスクを制御する時期に来ていることを示しているのかもしれない。

なお、神戸牛のビーフジャーキーを提供している小売業者はほかにも存在する(リンク先は、「「米国産神戸牛」(American Kobe Beef)から作ったジャーキーを宣伝するサイト。日本から輸入した牛を育てたもので、2オンス(約57グラム)で7.1ドルだという)

[Andres Jauregui(English) 日本語版:松田貴美子、合原弘子/ガリレオ]

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