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年金基金などがアメリカの発電所を買収 インフラ投資のモデルケースになるか

2013年07月02日 20時36分 JST | 更新 2013年07月02日 20時36分 JST
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Natural gas fired turbine power plant with it's cooling towers rising into a blue sky

kyokasho

インフラ投資のための共同事業体であるグローバル戦略投資アライアンス(GSIA)は7月2日、米国ミシガン州の火力発電所を総額2000億円で買収すると発表した。GSIAは、カナダの公的年金基金を中心に、日本の企業年金連合会や三菱商事などが参画して組成したインフラ投資の共同事業体。年金基金の投資先拡大のモデルケースとして注目される。

 買収するのは、ミシガン州にある出力163万キロワットの天然ガス火力発電所。主に地域の電力会社とダウケミカル社の化学工場に電力を供給する。ダウ社はシェールガス革命によって米国のエネルギーコストが下がっていることから、米国内での生産を強化している。

 一方、日本の年金基金は国債に偏った運用の問題が指摘されており、運用先の多角化が迫られている。今後は長期的な円安が見込まれるため、海外での運用を想定しないと高い利回りを得られなくなる可能性もある。

 今回のプロジェクトは、シェールガス革命と年金の運用多様化という最近のトレンドを象徴する出来事といえる。

 これまで日本の年金運用は国債に偏ってきた。その背景には、日本国債の安全性という面が大きいが、株式市場の低迷が長期にわたっていることや、日本の株式市場の地位が低下し、市場のボラティリティ(価格の値動きの激しさ)が増大しているといったことも大きく関係している。

 本来であれば、運用先を多角化するのであれば株式比率を高めるのが常識である。日本ほどの経済規模があれば、本来は国内株式市場が有力な投資先となる。だが、日本の場合、経済的地位にふさわしい株式市場が存在していないため、それ以外の選択肢が強く求められる状況となっているのだ。国内の運用環境を考えれば、海外のインフラ投資の拡大は自然の流れといえる。今後はこういった案件が増えてくる可能性が高い。

 だがインフラへの投資は流動性が乏しいことや、事業そのものに対するリスクなど、従来の金融商品にはないリスクも存在している。

 こういった投資先の多角化も重要だが、一方で、日本の株式市場を信頼の足るものにするという地道な取り組みも求められている。国債、株式、インフラとバランスの取れたポートフォリオの構築が理想的な姿である。

【参考記事】

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