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アベノミクス「いずれ破たんする」=民主党・桜井充政策調査会長【争点:アベノミクス】

2013年07月14日 19時34分 JST | 更新 2013年07月14日 19時34分 JST
時事通信社

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民主党の桜井充政策調査会長は、安倍政権の経済政策に関して、ただ先に物価を上げるというやり方は、コストプッシュ型の物価上昇であり、いずれ破たんすると語った。

また日銀の金融政策に関連して、金融政策だけで物価は上がらないと指摘。財政再建より経済再生を優先するというのは一つの考え方だが、消費税引き上げができなかったり、引き上げによる財源で公共事業などを行えば、債券市場は混乱すると述べた。

4日公示の参議院選挙については厳しい戦いになるとの見方を示し、今は民主党への忌避度が強いが、ある時点で国民が冷静に政策的なことを判断するようになると予想。その時に受け皿になれる準備をしていく必要があるとの考えを示した。

インタビューでの主なやりとりは以下の通り。

──参議院選挙。争点をどうみるか。

「今のようにただ先に物価を上げるというやり方では、いわゆるコストプッシュ型の物価上昇なので国民生活は苦しくなると思っている。これが一つ。われわれは物価の上昇が先ではなくて、生産年齢人口(にあたる年齢層)のところは可処分所得を増やして内需を拡大しようと(考えている)。高齢者の人たちはお金を持ってないわけではないので、不安を払しょくすることだ」

「2つ目の争点は、いまの経済財政諮問会議などでは社会保障費を抑制しますといっている。われわれは診療報酬を引き上げることによって、地域医療の再生も果たしてきた。社会保障についての考え方が違っているというのが一つ」

「もう一つは国土強靭化で、公共事業を200兆円使うというが、われわれは人への投資を優先すべきだと。ここが3つ大きく違う点だ」

──情勢は。

「客観的に言えば厳しい。一番大きいのは、民主党には政権担当能力がないと決められたことだと思っている。それはもうガバナンスの問題だ。党として一致団結してやれないような人たちに政権運営は任せられないだろうということだ」

「意見の違いと対立は違うと思う。意見の違いは自民党でも、みんな抱え込んでいる。しかし、それで対立するかしないか。今回は意見の違いは随分あったが、なるべく意見の違う人たちが直接議論することによって最終的に政策をまとめてきた。だから党全体としては一つになってきていると思っている」

──都議選では政策がわかりやすい共産党が躍進。民主党の政策はわかりにくかったのでは。

「政策的なわかりやすさなのか。われわれは一度政権を担わせてくださいと、民主党の政権運営がだめだったらどうぞ自民党に戻してくださいと言ってきた。それじゃあということで民主党に期待して投票したが、あの政権運営はだめだという烙印なんだと思う」

「たとえば原発反対、TPP反対、消費税反対でわれわれのところから分かれていった生活の党は非常にわかりやすく選挙を戦ったが、残念ながら惨敗した。政策的なことを明確にするということよりは、やはり民主党がばらばらになった。残った方も出て行った方も、だめだったでしょうという烙印を押されている」

──政策より政権運営への批判か。

「だと思う。政策的なことでは、良かった内容はいっぱいあったと思う。ところが何が問題だったのかというと、一言でいうと夫婦喧嘩は見たくないと」

「いまは(民主党への)忌避度が非常に強い。ところがしばらくたってから冷静になってみれば、これは良かったと思いだす人もいると思う。ある時期から冷静に政策的な判断を下すようになってくるはずだ」

──自民党の政策は。

「今のところ表向きいい(経済指標などの)数字が並んでいる。米国の経済が立ち直ってきたので、円安に振れてきているとか、恵まれている点がある」

「一方で、円安によって今月から輸入品で物価はものすごい勢いで上がってくる。けれど年金の給付額は増えないし、中小企業のサラリーマン中心に賃金は上がらない。本当にこれでいいのかということはあと何カ月間かすればわかってくる」

「最初に来る判断は8月15日だ。安倍晋三首相が靖国神社にいかなければ、首相を支援する国内の勢力から何をやっているんだと言われる。行けば海外から相当批判を浴びる。そういう意味で今後の政権のかじ取りはすごく難しいと思う」

──自民党政権で族議員の復活の見方もある。成長戦略は難しいと思うか。

「いま言っているような規制緩和が本当にいいかどうかわからない。例えば、ネットで薬を売るということが本当にいいことか。あれをやると小さい薬屋はつぶれてしまう。そうすると急におなかが痛くなりました、頭が痛くなりましたというと買いに行ける薬屋さんがない。勢い救急病院に来ることになる。規制緩和でパイが広がるならいいが、ネット販売でパイは広がらない。そういうのを構造改革というのは非常におかしいと思う」

──アベノミクスはわかりやすい。

「わかりやすい。ただ、大いなる社会実験。世界で初めての社会実験をやってるだけだ」

「われわれは成長戦略がなぜこれまで上手くいかなかったかということは分析した。各省庁にまかせておくと、全部成長戦略だといって持ってくる。それに財務省が広く浅く予算をつける。成長戦略も普通の政策も全く同じになってしまう」

「成長戦略が出てから予算措置すべきだ。財政出動が先にあるなんてありえない。だから今回の財政出動は無駄の際たるもの。公共事業5兆円やって、そのおかげで震災復興が遅れている。建設作業員が引き上げられている。三本の矢と言うが、一本ずつ、ばらばらつないで出しているだけだ」

「勝負になるのは来年度予算だ。本当に予算の重点配分がどれだけできるかだ」

──消費税引き上げの判断が秋にはある。民主党は財政健全化責任法を制定すると公約に書いている。

「自民党の一番の問題は財政再建だ。あれだけ国債が乱高下して、どう判断するのかということが一番ではないか」

「彼らが何と言っているかというと、そんなことより経済の再生が優先だと。それは一つの考え方だと思う。しかし、今のような国債の金利の乱高下があり、一応消費税が上がるから国債市場も落ち着いているはずだが、それが消費税が仮に上がらないとか、消費税を上げてもそれで少し余力ができとところで公共事業やりますと言ったら、マーケットは相当混乱すると思う」

「また、安倍首相で中国と韓国との関係を良くできるとは思わない。アメリカはものすごい警戒感をもって安倍内閣を見ている」

「いまはみんな安倍首相の経済政策は良いといっている。だけどコストプッシュ型の悪い物価上昇をさせておいたら、いずれ破たんする。黒田日銀総裁の出口戦略もない。国債管理はどうするのか。そういう時代が必ず来る」

──民主党も日銀と政策協定を結んだ。

「あれは、金融緩和もかなり慎重にやった。それからあれだけ長期国債を買ってくれとは言ってない。あの辺のポートフォリオは全部日銀に任せていた。急激な変化そのものを社会はきらうので、ゆっくりゆっくりと思っていた」

「個人的な意見で言えば、金融政策本体で物価が上がるとは思えない。少なくともリーマンショックの後に米連邦準備理事会(FRB)は5%つけていた金利をゼロにしているが、物価は上がらなかった。なぜかというと失業率が上がって不安から貯蓄率が上がったからだ」

「金融政策そのものでインフレ、デフレを決定するというのはなかなか難しいと思う。インフレを抑えることは可能だろう。金利を上げればいいのだから。しかしその後に金融緩和をし続けたからといって、デフレを克服できるかどうかは、この失われた20年を見てくれば一目瞭然だと思っている」

(*インタビューは2日に実施しました)

(石田仁志、リンダ・シーグ)

[東京 3日 ロイター]