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猛暑の経済効果は上々、しかし長引けばマイナスに【争点:アベノミクス】

2013年07月12日 22時07分 JST | 更新 2013年07月12日 22時08分 JST
Reuters

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7月に入って記録的な猛暑に見舞われている日本列島。ビール、清涼飲料、エアコンなどの売り上げが急増しており、景気にはプラス効果との期待が高まる。

一方で、単なる猛暑にとどまらず、連続真夏日の記録が更新されるなど前例のない暑さとなっているため、人出が減るなどのマイナス面も懸念され始めた。

100年に1度の猛暑と言われたのが2010年。それから3年後の今年は、前例のない暑さが日本列島を覆い、日本経済の大きな変動要因として意識され出している。

3日に東京証券取引所に上場したサントリー食品インターナショナル<2587.T>株は、3120円の初値に対して11日には3690円と順調に上値を伸ばしている。市場関係者は「上値に重石のない銘柄であることに加え、今夏の猛暑で飲料の需要が増加するとの見方もある」と、足元での猛暑がフォローの風と解説する。

同社の鳥井信宏社長は「少子高齢化でも日本の飲料市場は伸びている。熱中症などは、数年前には聞かなかったこと」と述べ、市場が年々縮小しているビール市場などとは異なり、飲料市場は拡大を続ける有望市場とみている。

平均より2週間近く早く梅雨が明けた今夏は、早くも真夏日が続き、熱中症対策も必要となっている。猛暑により葉物を中心に野菜価格も高騰し始めた。伊藤園<2593.T>では「熱中症対策としてミネラル豊富な麦茶と併せ、野菜価格の高騰や暑さで失われた体への栄養補給として、野菜飲料が順調だ」(広報)と話す。

ビアガーデン向け、外食向けを中心にビールも堅調だ。1―6月は前年同期比0.9%減と統計開始以来過去最低となったビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)の課税出荷数量。ただ、4―6月を見ると同0.5%増とプラスで推移しているほか「7月上旬は全カテゴリーで前年を上回っている」(アサヒビール)という。

同社では氷点下で飲む「スーパードライ エクストラコールド」の年内の累計設置店舗数を従来計画の5000店舗から6500店舗に引き上げた。

日本橋三越のビアガーデンも「前年比20%増となっており、予約でほぼ満席が続いている」(三越伊勢丹ホールディングス<3099.T>広報)という。

ホームページで、どの程度「ガリガリ君」を欲する天候かという「ガリ指数」を発表している赤城乳業(埼玉県深谷市)。梅雨明け以降、箱単位で必要になる「箱ガリ」が全国に広がっている。同社では「6日に関東甲信で梅雨が明けて1週間。この1週間を梅雨明け前の前週と比べると、ガリガリ君の販売量は2倍になっている」と話す。2010年の猛暑時には品薄となった経験もあるが、今年は春先から猛暑予想も出ていたため、足元の暑さには対応できる生産体制を整えている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の試算によると、7―8月の平均気温が1度上昇すると、同期の個人消費は1313億円増加する。これは、7―9月期の実質個人消費を0.18%、GDP全体を0.11%押し上げるという。

直近で猛暑・酷暑と言われたのは2010年には、あまりの暑さに客足が遠退いた例も伝えられた。ある小売り企業関係者は「足元では夏物衣料や猛暑対策で売上げにはプラスに働いている。だが、この暑さが続くと、客足に影響したり、秋物商戦に響いたりしないか心配だ」と話す。

ニッセイ基礎研究所経済研究部チーフエコノミストの矢嶋康次氏は「今夏はボーナスが上がっている企業も多く、猛暑が加わることで消費の背中を押している可能性はある」としながらも「高いものを恒常的に買う環境ではないし、タクシーの乗車なども増えていない。何かを買えば、何かを我慢すると言う面もある」と述べ、経済効果は限定的との見方を示している。

(清水 律子 編集;田巻 一彦)

[東京 12日 ロイター]

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