カネミ油症で死産2倍か 岡山大の頼藤貴志准教授の調査で判明

1968年に西日本一帯で起きた食品公害・カネミ油症の被害が集中した長崎県五島市の玉之浦町と奈留町で、被害発生から10年にわたり死産率が通常の2倍超となっていたことを、岡山大大学院の頼藤貴志准教授(環境医学)らが20日までに突き止めた。カネミ油症の影響が胎児にまで及んだ可能性を示す研究として注目されそうだ。
時事通信社

1968年に西日本一帯で起きた食品公害・カネミ油症の被害が集中した長崎県五島市の玉之浦町と奈留町で、被害発生から10年にわたり死産率が通常の2倍超となっていたことを、岡山大大学院の頼藤貴志准教授(環境医学)らが20日までに突き止めた。カネミ油症の影響が胎児にまで及んだ可能性を示す研究として注目されそうだ。共同通信が伝えた。

カネミ油症事件とは、北九州市のカネミ倉庫(株)が1968年2月に製造した米ぬか油を食用した人たちの間に油症と呼ばれる特異な症状をもつ中毒が発生した事件。患者は同年6月初めごろから発生しはじめ、福岡県を中心に広島県、山口県、長崎県などの西日本全域におよび、同年10月にはカネミ製の米ぬか油によることが明らかとなった。この原因は油の製造過程で混入したポリ塩化ビフェニール(PCB)が加熱されて生じたダイオキシン類が主原因とされる。根治療法は開発されていない。

ダイオキシン類はベトナム戦争(1960年~1975年)でアメリカ軍が使用した「枯葉剤」にも含まれていたことで知られる。症状は吹き出物などの皮膚症状や手足の痺れといったものから、肝機能障害、骨の変形、歯の異常や頭髪の脱毛、流産、がんに至るまで全身の多岐に及び、カネミ油症は「病気のデパート」とも言われる。

ダイオキシン類の大きな特徴の1つは被害が子や孫の世代に引き継がれることである。事件発生当時には油を食べた女性患者から皮膚の色が黒ずんだ「黒い赤ちゃん」が生まれるケースが数多く報告され、社会に大きな衝撃を与えた。

2012年3月末現在、カネミ油症患者として認定されたのは1966人(うち死亡者は596人)。被害を訴え出た1万4000人の約14%に過ぎない。

6月21日には、国、カネミ倉庫(北九州市)、認定患者らが話し合う初の3者協議が、福岡市内で行われている。3者協議は2012年夏に成立した被害者救済法に基づく基本指針に盛り込まれている。1968年の油症被害の発覚以降、3者が公式に集まるのは初めてだった。

頼藤准教授は「カネミ油症による胎児への影響は未解明の部分が多い。国は実態把握を急ぐべきだ」と指摘した

■カネミ油症事件を追い続けた金子サトシ監督「今に繋がる身近な食の問題」

4月6日には、カネミ油症患者を2000年から追い続けてきた金子サトシ監督のドキュメンタリー映画「食卓の肖像」も公開された

金子監督は、カネミ油症事件について次のように語っている。

カネミ油症を体験したことによって、食生活や食に対する意識がどのように変わったかを語る被害者の方達の話は、食品公害とは被害者にとってどういうものなのかを示唆しているもののように思えて来ました。そこから、カネミ油症とは決して過去の問題ではなく、今に繋がる身近な食の問題なのかもしれないと考えるようになりました。そうした視点を入れてまとめたのが現在の『食卓の肖像』という作品です。

(neoneo web「【自作を語る】カネミ油症の被害者たちに出あって―『食卓の肖像』制作記 text 金子サトシ」より)

映画「食卓の肖像」は2013年4月6日から4週間、新宿、ケイズシネマで上映され、 大阪・シアターセブンでも6月8日より2週間上映された。

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