自民、単独過半数届かず、どうなる改憲議論【参院選:選挙結果】

第23回参院選は21日投票が行われ、即日開票された。自民党が現行制度で過去最多となる65議席を獲得して圧勝。11議席を獲得した公明党と合わせ、過半数に必要な63議席を大きく上回り、衆参のねじれが解消されることになった…
AFP時事

第23回参院選は21日投票が行われ、即日開票された。自民党が現行制度で過去最多となる65議席を獲得して圧勝。11議席を獲得した公明党と合わせ、過半数に必要な63議席を大きく上回り、衆参のねじれが解消されることになった。

各党の獲得議席数は次の通り。

憲法改正に積極的な自民、維新、みんなの各党の獲得議席は合わせて81議席だった。この3党と新党改革も含めた非改選議席は合わせて143議席となり、改憲の発議に必要な参院3分の2(162議席)には届かない。しかし、環境権などを訴える「加憲」をうたう公明党と合わせると、163議席となる。民主党内にも改正に賛成する議員がいることから、今後は憲法改正をめぐってより現実的な議論が進むとの見方もある。

また、自民党は31の1人区のうち、29人が当選し圧勝。この結果を受けて、安倍首相(自民党総裁)は記者会見で次のように話した。

この選挙戦を通じて政権を担ってから半年、この道しかないと訴えてきた。

今回たくさんの国民にしっかりと決める政治、安定した政治の中で経済政策を前に進めていけという大きな声をいただいたと考えている。責任もって前に政治を進めていきたい。

国会運営については今まで通り検挙に議論しながら決めるべきものはスピーディーに丹念に決めていきたい。

政策課題、優先順位:

おかげさまでねじれが解消された。これから問われているのは私たち自民党だ。

今まで進めてきた経済政策しっかり実感あるものにしてもらいたいという国民の声に応えていきたい。

この道は間違っていない、こう訴えてきた。国民の皆様から支持をいただいた。

早く実感できるようにして欲しいというのが国民の皆さんの気持ち。実体経済はよくあっいるから、雇用の状況が改善していくなかで賃金も改善していく。

そういうなかで消費が伸びて企業が投資をする、いい循環の中で実感してもらえるようにしたい。

憲法改正:

国会で発議したあと国民の過半数の賛成がなければ改正できない。

広く深く議論していく必要があると思う。

不安定な政治状況をつくっていた。

落ち着いた安定した政治状況においてしっかりと議論を深めていきたい。

国民投票する上で宿題が残っている。

18歳に投票権を引き下げることなど様々な課題がある。それに対応していく必要がある。

3分の2に近づけるために、みんな・維新との連携は?:

憲法改正に於いては一度に全部改正するわけではない。

逐条的に国民投票に訴えていくわけで。

96条ということで話をしてきたが、維新の皆さんも同じ考えだ。

国民の皆様の過半数の支持がなければ国民投票で成立させることはできない。

対照的に、民主党は1人区に立てた公認候補19人全員が落選した。海江田万里民主党代表は、下記のように述べた。

(惨敗についてどうとらえているか?)

厳しい情勢でありますが、国民の民主党の信頼は戻っていないのが正直なところ。1人でも多くの人に会って、みなさんの声を国政に届けるという原点のことをやってきた。原点を続けるしかないとおもっている。

(信頼は戻っていないということだが、海江田さんで大丈夫か?)

それはまだ最終的な結果が出ていないので。まだ道半ばだと思うので努力を続けたい。

(信頼が戻っていない要因は?)

2009年の政権交代の期待感が失望に変わった。今度も各地を行っておりまして、失望というか直接ぶつけられましたので、失望を少しでも信頼にかえていくか、気の遠くなるようなことですがやっていきたい。

(民主党だけでなく野党の再編を目指す動きは?)

それぞれの政党の議席数は固まっていないので政策の一致がなければいけない。消費税、憲法の問題での共通の認識がなければ、そう簡単に、再編だとか野党の統一だとかはないと思う。

(写真)Banri Kaieda, the leader of the Democratic Party of Japan, bows his head as the upper house election results are announced at the party's campaign headquarters in downtown Tokyo, Japan, 21 July 2013. Others are not identified. After three year streak in power, the DPJ came to an overwhelming defeat by the ruling Liberal Democratic Party (LDP) led by Japanese Prime Minister Shinzo Abe. EPA/CHRISTOPHER JUE(時事通信社)

また、朝日新聞デジタルによると、民主党の細野豪士幹事長は、21日夜のテレビ番組で、「選挙のすべての責任は幹事長である私にある。私なりに思うところがあるが、代表などとしっかり話をしたうえで考えていきたい」と語ったという。

公明党の山口那津男代表は、21日22時頃に党本部で記者会見し、下記のように話した。

有権者のみなさまは安定を望んだ。ねじれ解消をいかし、優先度の高い政策から取り組んでいく。まず経済再生、そして被災地の復興スピードアップをしていきたい。

(自民党とどう連携していくのか?)

国民の声が分かれる課題については、公明党の持ち味をだして新しい合意をつくっていく。きちんと議論して新しい合意がつくられるのが国民が安心するプロセスだと思う。

(消費税率について。先送りはあるか?)

あげるのが原則。経済のいろいろな指標をみて最終的な判断をする。総合判断することになる。そのうえで、消費税が景気に抑制的な影響があるので、それをのりこえる経済成長を確かめる必要がある。

(写真)記者の質問に答える公明党の山口那津男代表=21日夜、東京都新宿区(時事通信社))

日本維新の会は選挙区で2、比例区で6と合計8の議席を獲得したが、昨年の衆議院選挙の勢いはなかった。橋下徹共同代表は21日夜、大阪市で記者会見し、この結果について「勝ちではない。僕への信任がなかった」と述べ、責任を認めた。共同通信が報じている。

自民党が支持を受けたということ。自民党の勢いをとめることはできなかった。国民が期待しているということなんだろう。

進退については、執行役員会で議論すること。代表という立場でこの選挙結果を誇れるものではない。執行役員会でしっかり決めます。

また、東京都内で会見した石原慎太郎共同代表は次のように語っている。

ねじれ解消したというだけでなく、国会レベルでは憲法の問題は改正というかたちで進むことになった。

憲法改正については是々非々でいくか

是々非々は問題による。憲法改正は、私たちの悲願。維新の会の党の大きな項目。絶対に安倍政権の手で実現してもらいたい。

(改めてご自身の進退について)

結果としては満足な成果を得たと思っている。国会の中の活動で、もっと積極的に活動していきたい。

(橋下代表はやめる必要はないということですか?)

あたりまえじゃないか

(橋下共同代表が、選挙期間中政界再編についてたびたび言及していた。やっていくべきだと思うか)

世の中大きく動いていく中で、政界の再編というのは行われる可能性はあると思う

(関東での議席が伸び悩んでいることについて)

私自身、身体にひびが入り、従前の活動ができず申し訳なかった。

みんなの党は目標の「改選3議席以上」を上回ったが、前回獲得した10議席には届かず。都内ホテルで記者会見した渡辺喜美代表は、下記のように語った。

筋金入りの改革を支持してくれる熱い方々が最後に押し上げてくれたと感謝している。

(野党の選挙協力について)

選挙協力というか、昨年の総選挙のときも同じような流れだったが、選挙区、特に1人区で自民が圧倒的に強かった。これは民主党の崩壊の裏返し。構図がかなりかわってきてしまった。

第三の矢、成長戦略が、株価がさがったことにあられているように本丸に切り込めていない。これが自民党の限界。先祖がえりしないように改革してもらいたい。みんなの党は国民世論の支持を得て、てこの原理で改革推し進めてまいりたい

(写真)テレビ番組のインタビューで笑顔を見せるみんなの党の渡辺喜美代表=21日夜、東京都千代田区(時事通信社)

共産党は12年ぶりの東京選挙区での議席を含め、複数の選挙区で議席を獲得。21日夜に記者会見した志位和夫委員長は、下記のように語った。

東京、大阪と大都市で議席獲得し、選挙区の議席獲得は12年ぶりで大変うれしく思う。

ねじれ解消したが、国会の数の上ではいえるが、国民の世論とのねじれは解消していない。消費税の増税、原発や憲法改正の問題など、国民の多数の声に立って、自民政権と対峙して多数の声で政治を動かしていきたい。

(他与党との協力は?)

どんな問題でも一致点があればどんな党でも協力していきたい。TPP、消費税、原発、憲法、さまざまな名協力は他の与党としたい。

(ツイッターなどネット選挙結果に影響は?)

ツイッターではカクサン部をつくって取り組んできた。われわれSNSに力を入れきた。おそらく(影響が)出ていると思うので分析していきたい。

生活の党は、小沢代表の地元である岩手を含め、候補を擁立した5選挙区全てで敗北。比例代表でも議席が獲得できなかった。小沢一郎代表は記者会見で「大変厳しい選挙結果だ。国民、主権者の判断を事実としてきちんと受け入れる」と述べた。朝日新聞デジタルが報じた。小沢氏はまた「自公が大きな勢力になったが、4年前は真逆(まぎゃく)の話だった。自分たちの主張を理解してもらえるよう、愚直に活動を進めていく以外にない」と語った。また、産経ニュースでは下記のように報じている。

生活の党の小沢一郎代表は、東京都千代田区の党本部近くのホテルに設けた開票センターで「大変厳しい結果だ。われわれの考え方が国民にうまく伝わらなかった。民主党政権での失敗が(敗因として)一番大きかった」と、かすれがちな声で語った。

(産経ニュース『「民主政権の失敗大きい」生活の党、小沢代表』より。2013/07/22 00:18)

(写真)記者会見で厳しい表情を見せる生活の党の小沢一郎代表=21日夜、東京都千代田区(時事通信社)

社民党は比例区で1つ議席を獲得した。朝日新聞デジタルによると、福島瑞穂党首は21日のテレビ番組で下記のように述べたという。

「街では脱原発、反TPP、消費増税反対、とりわけ社民党が力を入れている雇用の問題についてものすごく手応えはあった。憲法を変えないでほしいと言われ、手応えがあったが」

(朝日新聞デジタル『「街ではものすごく手応えあった」 社民・福島党首』より。2013/07/22 00:01)

みどりの風からは、選挙区と比例代表に党代表の谷岡郁子氏ら現職4人を含む計8人が立候補したが、全員落選した。国会議員は衆議院の亀井静香氏、阿部知子氏だけとなって政党要件を失うことになる。谷岡代表は落選と党敗北を受け、代表辞任を表明した。産経ニュースは次のように報じている。

「みどりの風は役割を終えた」との認識を示したが、党の解散に関しては「残った人たちが決める問題だ」と述べるにとどめた。

(産経ニュース『谷岡代表が辞意表明「みどりの風、役割終えた」』より。2013/7/22 08:35)

(写真)開票状況に険しい表情を見せるみどりの風の谷岡郁子代表=21日夜、愛知県名古屋市(時事通信社)

なお、今回の参院選の投票率は、朝日新聞社が集計した投票率は52.61%とのこと。前回の参院選の57.92%を5.31ポイント下回り、戦後3番目の低さになったとされる。

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