憲法9条改正議論は国民の間で進むか、どのポイントに着目するべきか【争点:憲法改正】

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PEACEKEEPING OPERATION JAPAN
Family members (L) send off members of Japan's Self Defence Forces leaving Tokyo's Defence Ministry on February 6, 2010, to join United Nations' peacekeeping and reconstruction operations in Haiti. Some 200 Japanese soldiers headed to quake-stricken Haiti to join UN forces in peacekeeping and reconstruction efforts following last month's devestating earthquake. AFP PHOTO / Yoshikazu TSUNO | AFP時事
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自民党は、2012年に同党が発表した憲法改正草案を説明するために、国民との対話集会を開く考えを明らかにした。憲法改正に向けての動きである。22日夜に石破茂自民党幹事長が記者団に対して話した内容として、朝日新聞デジタルは次のように報じている。

石破茂幹事長は22日、記者団に「ものすごく時間がかかるが、手を付けなければ理解は進まない」と強調。参院選での大勝を受けて憲法改正に踏み出す前に、国民の懸念を和らげる狙いがあるようだ。

(朝日新聞デジタル「自民、憲法改正草案の「国民対話集会」検討」より。 2013/07/23 00:51)

参院選での自民党の圧勝を見越して、経済団体でも憲法改正に向けた動きが見られている。経団連は憲法改正を議論する勉強会を発足させると報じられており、この勉強会で集団的自衛権の行使などの考え方を整理し、政府への提言も検討するとされる。

経団連の例でもあるように、経済界は「集団的自衛権」に対する関心が強いようだ。経済同友会も4月に『「実行可能」な安全保障の再構築』と題した報告書をまとめているが、その中身は、企業活動のグローバル化に伴い国外で日本人をどのように保護するかという体制づくりや、集団的自衛権行使に対する解釈の変更などを求める内容となっている。今年1月にアルジェリアで起きた人質拘束事件のことを考えると、安倍政権がインフラ輸出拡大などの成長戦略を進めるならば、安全面でのバックアップも欲しいとの考えからであろう。

このように、経済界では既に憲法改正の議論が行われているが、国民の間においても憲法改正に関する議論は今後進むだろうか。

ハフポスト日本版で、「憲法9条改正に賛成する理由としては集団的自衛権の行使などを上げるかたが多かった」とする記事を掲載したところ、「今この時期に憲法9条の改正を議論することに反対」とするコメント投稿を頂いた。その理由として「TPPや原発等の他の大事な争点を隠すことになる」という点をあげられていた。

いっぽう、喫緊に必要になってから議論を行うのでは遅いので、国民に広く公開した形で、有識者会議や模擬投票などを10年くらいかけて行う想定で、今はじめるべきではないかとの意見も見られた。「憲法改正」自体を行うのではなく、議論を始めることを指しての意見であった。

国民と対話を行いたいと発言した石破氏は、自著の中で、憲法改正の議論を早めるべきとする理由として、下記のように書いている。

私は、憲法改正は、戦争の災禍を実際に体験された戦前・戦中世代の諸先輩方がまだ現役で、ご存命でおられるうちになすべきだと思っているのです。「戦争を知らない子どもたち」と歌われた戦後世代のわれわれだけで改正するのはあまり望ましくないと思うからこそ、早く九十六条を改正し、憲法改正論議を主権者である国民の手に取り戻したいと思っているのです。

(石破茂著「日本を取り戻す。憲法を取り戻す。」より。)

96条の改正については、別途議論の必要があるが、ハフポスト日本版の記事には「戦争経験がなく、既に恐らく徴兵されないだろう年齢の人が、軽々しく戦争のことを言うべきではない」とするコメントが寄せられており、憲法9条については戦争を知る方たちの考えをきくべきと捉えることができるだろう。そうすると、戦争経験者が現役のうちにとする石破氏の考え方は理にかなっているのではないだろうか。

しかし、そもそも石破氏は、現行憲法を改正しなくても、集団的自衛権の行使は可能との発言を行なっている。ハフポストの記事に寄せられたコメントでも、集団的自衛権に関する問題については、「自衛権および集団的自衛権があると追記すれば十分であり9条自体を変える必要はない」とする意見や、「自衛隊の活動について法レベルの対応がちゃんとありさえすればすぐに困ることがあるとは思わない」とするコメントも見られた。

現状、集団的自衛権の行使を行うためには、どのような規制があるのだろうか。自由民主党政務調査会調査役で慶應義塾大学大学院法学研究科非常勤講師を務める田村重信氏は、集団的自衛権の行使を可能とする方法として、4つを挙げている。

一つは、憲法改正、二つ目は、政府解釈の変更、三つ目は、新たな法律を作るということですね。合憲の範囲を明確にする。四つ目は、国会決議。

(田村重信氏ブログ「講義録(3)・「憲法9条と自衛隊」田村重信・集団的自衛権」より。2012/11/25)

田村氏は同ブログ記事において、「国家安全保障基本法というものを作って、それで集団的自衛権を行使できるようにする」という石破氏の考えにも触れている。集団的自衛権については、「保有しているが必要最小限度の自衛を超えるので行使できない」というものが政府解釈であったけれども、この必要最小限度の自衛の内容を明確にしようというのが、国家安全基本法案の考え方であるという。

田村氏はもう一点、集団的自衛権と似て非なる「集団安全保障」についても言及している。集団的自衛権と、集団安全保障は別物であるとし、柳井俊二元駐米大使の発言を引用しながら、「これまで同盟国の有事の際に共同軍事行動を取る『集団的自衛権』が注目され議論されてきたが、地球規模の皆のために武力を行使する『集団安全保障』については、憲法論議では少なくとも空白だった」という点を指摘。この集団的自衛権に関して、過去に国会内でも奇妙な意見の一致があった話を紹介している。

平成4年、湾岸戦争のあと、小沢一郎さんが幹事長を辞めて、「自民党 国際社会における日本の役割に関する特別調査会(俗称:小沢調査会)」というものを作りました。



 これを僕も担当していて、よくわかるんですけれども、ここでは集団的自衛権は、憲法上行使できないんだから、これはこれでもうしょうがない。横に置いておこう。それよりも国連の集団安全保障をクローズアップしていこう。ということで提言を取りまとめたんですね。



 日本は国連中心主義で行くべきであり、そのため集団安全保障は極めて重要であり、国連決議があれば自衛隊は多国籍軍参加は可能という考え方を示したのです。



 そしたらですね、小沢調査会の提言を取りまとめたら、ビックリしたんですが、社会党の書記局の人間が「僕に会いたい」ということで来るんですよ。

 どうしてなのかと思って会いますと、国連の安保重視というのは、社会党が従来考えていた考え方と一緒なんだと。何故かというと、社会党は日米安保いらないという訳ですから。じゃあ、どうやって国際的な安全保障措置を考えるかというと、国連の安全保障措置によるんだと。というところで一致しているんだ。という話。



 小沢さんは日米安保重視と国連安保を重視、社会党は日米安保破棄と国連重視という意味で、小沢さんと社会党の主張が合うというのはぐるっと回って、国連重視という点で合うということなのです。



(田村重信氏ブログ「講義録(3)・「憲法9条と自衛隊」田村重信・集団的自衛権」より。2012/11/25)

集団的自衛権の視点では協力できないけれども、集団安全保障であれば意見が一致するという奇妙な現象が存在していたということである。

田村氏は昨年12月、永田町の憲政記念館で、安全保障に関する講義を行った。同館で安全保障に関する講義がが行われたのは、憲政史上初めてのことだという。永田町からあまり外に出されない感もあった安全保障の議論であるが、尖閣や竹島の状況や、今回の参院選の状況を受けて、これから徐々に広まるのではないかと思われる。田村氏のもとにも、9条だけでなく前文、96条を含めての憲法解説を行う本の出版や、再び憲政会館においての日本国憲法の課題・自民党の考え方についての講義などの依頼があるという。

憲法9条と安全保障についての議論については、様々な考え方がある。ハフポスト日本版の記事には、集団的自衛権ではなく集団安全保障を考えると、軍縮につながることに成るのではとするコメントもある。

aoharuさん

集団的自衛権や集団安全保障については、世界的な「軍縮」という観点から、多様な意見が述べられることを望んでいます。つまり、個別自衛権のみでは、大国の攻撃力と同等の防衛力を保持する必要がありますが、集団的な安全保障では、集団で対抗できれば良いということになります。仮に中国を脅威と認識した場合、現実的には、日本、アメリカ、韓国、フィリピン、オーストラリアなどで協力して対抗できればよく、極端な話、自衛隊(国防軍)の規模も、現在の半分以下でも問題なくなるかもしれません。いわゆるNATOを手本にした考え方ですが、軍縮を基本にしてこういった考え方が現実的なのかどうかを、もっと知りたいと思っています。そして、現実的に軍縮を前提としてこういったことが可能なのであれば、護憲派との対立軸が無くなり、護憲派が目指される世界にも大きく近づくと思います。

また、shufu1949さんのコメントのように、「民間の憲法研究会の案、内閣府が実施した、世論調査の結果」の参照を勧めるコメントもある。

改正の議論は国会議員による議論で終結すべきではなく、多方面からじっくり検討する必要がある。しかし、一度に行なっても消化することが難しい議論ではないだろうか。折にふれて、少しづつ、いろいろな人の意見を読み解くことが、理解を助けることになりそうだ。

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