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消費税、安倍首相の周囲で増税縮小の声

2013年07月24日 19時04分 JST | 更新 2013年09月23日 18時12分 JST
Reuters

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2014年4月からの消費税率3%引き上げをめぐり、安倍晋三首相周辺の一部から増税幅を縮小すべきとの声が出ているため、8月にも策定する予定の中期財政計画や概算要求基準の作業に影響が出かねない状況になっている。

首相周辺の中には、3%増税が既定路線化して中期財政計画や概算要求基準の作業が進むと、修正の余地がなくなるとの見方も出ているという。秋に予定される消費増税の決断次第では、来年度の歳入歳出計画の策定作業に大きな影響が出ると予想される。

<景気回復と増税回避のロジック>

国内景気の回復が鮮明になっているものの、来春から消費税を3%引き上げると法律に明記されていることが、簡単に実現できない可能性も出てきている。景気が良くなったからこそ、ここでデフレ脱却への流れを止めるべきではないとの議論が、首相周辺の一部で浮上しているためだ。

複数の関係者によると「官邸関係者の一部では、中期財政計画や概算要求基準の前提として3%の消費増税を織り込むことに懸念の声が出てきた」という。

安倍首相は参院選後の記者会見で「今年4月から6月の経済指標などを踏まえ、経済情勢をしっかりと見極めながら秋に判断する」と述べているが、足元の経済環境をみれば、増税をストップするような材料はほとんどない。

4─6月の国内経済指標は軒並み強く、国内総生産(GDP)成長率は実質・年率4%近い高成長を予測する調査機関が多い。むしろ14年度のリスクとして、中国をはじめとした海外経済や大型補正の効果が切れる財政の崖、そして消費増税という3つの大きな要因が予想される。首相周辺でも、こうした要因でアベノミクスの目的であるデフレ脱却への流れが止まってしまうことへの懸念が話題に上っているもようだ。

安倍首相自身も、消費増税について「デフレ脱却、経済成長と財政再建の両方の観点からしっかりと判断する」とし、デフレ脱却の観点も判断材料にすると明言している。

<「3%は大きすぎる」、小刻み増税に理解の声も>

しかし、法律に明記された増税予定を白紙に戻せば、日本の財政への信認を失うリスクが大きい。金融市場でも、ほぼ予定通りの実施が織り込まれていることもあり、増税による景気腰折れを懸念する政府関係者の間でも「ゼロ回答とするのは無理がある」との認識で、ほぼ一致している。

ある政府関係者によると、その場合の選択肢として、2つの方法が俎上(そじょう)にのぼりそうだという。

一つは予定通り3%の増税実施するものの、景気配慮としての補正予算や成長戦略を思い切って打つ選択肢だ。もちろん財政再建のイメージを崩さないよう、一時的な財源を捻出する必要がある。

もう一つは増税幅を小幅にとどめるが財政出動を伴う対策は取らないという手法で、小刻み増税などがこれに相当する。内閣官房参与の浜田宏一氏はロイターとのインタビューで「毎年1%など漸次的な消費増税に賛成だ」、「歳入は増税幅だけでなく、経済の伸びに大きく依存している」として、景気が悪化すれば税収が落ち込むと懸念している。小刻み増税なら駆け込み需要と反動を小さくする効果や、期待インフレ率上昇にも寄与することが期待されているようだ。

<中期財政計画、前提変更なら修正の道も>

今のところ政府部内では、来春の消費増税3%引き上げを前提に各方面で議論が進み、それを織り込んだかたちで作業が進んでいる。

特に財務省では、通常8月に概算要求基準と中期財政計画を作成するため、すでに関係各部局での作業は終盤を迎えている。

ある官邸関係者によれば、今の作業が終了した段階で、それらが公表されれば、3%増税が既定路線と受け止められ、秋まで増税の決断を延ばしている中で、修正の余地が実質的になくなるとの懸念が官邸内で展開されている議論の中で出てきているという。

「最終的には、(来春の増税幅が)3%より小幅という結論になる可能性も十分にある」(政府関係者)との声も漏れており、中期財政計画には修正の余地を持たせたいという意見もあるようだ。

一方、ある政府高官は、中期財政計画も概算要求基準も法律に従って3%増税を前提に作業していると説明。そのうえで2つの取りまとめ作業は、増税の判断とは別の次元で進められているとの見方を示している。さらにその政府高官は「増税を延期するなら、その時に前提を変えればいい」と柔軟な対応姿勢を見せる。ただ「(その場合は)中期財政フレームでは、財政赤字が発散することになる。また、来年度予算は歳入が足りなくなる」と、財政が立ちいかなくなるリスクを強調する。

<財務相は増税先送りけん制、補正編成に言及>

麻生太郎財務相は23日の会見で、消費増税は国際公約に近いとの見方を示したうえで、予定通り実施すべきとの考えを強調した。さらに「補正予算も考えておく必要がある」とし、消費増税に伴う駆け込み需要とその反動を抑えていく姿勢を示している。

(中川 泉・竹本 能文・伊藤 純夫 編集:石田 仁志)

*デートラインの表記を修正して再送します。

[東京 24日 ロイター]

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