アントニオ猪木さんの北朝鮮訪問は、何が問題なのか

アントニオ猪木さん(70)が25日から、北朝鮮に訪朝している。27日に開かれる朝鮮戦争停戦60周年平和式典に出席のためとされるが、この訪問を問題視する声も上がっている…
Twitter / Inoki_Kanji

2013年7月21日に行われた参院選で当選したアントニオ猪木さん(70)が7月25日から、北朝鮮に訪朝している。7月27日に開かれる朝鮮戦争停戦60周年平和式典に出席のためとされる。猪木さんは7月25日、自身のツイッターにおいて、北京経由で平壌入りすることをツイートしていた。

猪木さんはこれまでに25回、訪朝している。その理由は、猪木さんの師匠である力道山氏への恩返しを行いたいということ、そして上のツイッターのように、「(海外との、拉致問題などの)対話の窓口を常に開いておくことが交渉する上でも重要だ」と考えているためだとされる。

猪木さんは先日の参院選で日本維新の会より出馬。比例区で当選を果たしている。スポニチは参院選に当選が報じられた後に猪木氏が語った内容として下記のように報じている。

(猪木さんが)特に力を入れようとしているのが北朝鮮外交だ。師匠・力道山の生まれ故郷は、現在北朝鮮となっている地域。20回以上訪朝して民間外交を続けてきただけに「私なら北朝鮮と本音の話ができる」と自信たっぷりだ。

11年に北朝鮮の指導者は金正日総書記から金正恩第1書記に代わったが、猪木氏は「引き続き信頼関係をつくっていくよう努力する」と抱負。再び現地でプロレス興行を行う可能性にも言及した。北朝鮮がミサイル発射や核実験を続けているだけに「金正恩にビンタをする気はないか?」と質問すると、「それはダメだ。むしろ握手できる関係に持っていきたい」と真剣に話した。

(スポニチ『猪木氏“北外交任せろ”金正恩氏と「握手できる関係に」』 2013/07/22 06:00 )

猪木さんは北朝鮮だけでなく、南米などについてもプロレスラー時代から築いた独自の外交ルートを持つ。その外交の親密度がどれぐらいなのかという点が気になるところであるが、猪木さんは自身の北朝鮮政府との関わりについて「拉致の問題も、話し合いなくして解決できない。このあいだ、飯島参与がお会いした方々にも会った。酒を飲んで話をし、この場ではできない話もあります。できればアドバイスさせていただければと思います」と、北朝鮮幹部との関係を述べている。なお、猪木さんの参院選出馬記者会見では、自民党からも出馬のオファーがあったということが明らかになっている。

しかし、猪木さんの訪朝について、問題する声も上がっている。現在日本は北朝鮮に対して、対北朝鮮措置を実施しており、北朝鮮への渡航も自粛を求めているためだ。時事通信によると、政府はこの方針に基づき、猪木さんに対して渡航自粛を要請していたという。

また、ジャーナリストの青山繁晴さんは、猪木さんが参院選で当選していることを指摘し、「国会に戻られたアントニオ猪木さん自らが、日本の北朝鮮に対する制裁を、ダメにするとまでは言わないけれど、風穴を開けているわけです」と、この訪朝は深刻であると話している。

いっぽう、猪木さんは、日本の経済制裁に対して批判を行なっている。

「日本政府は経済制裁をかけて北朝鮮が万歳することを願っていた。だけど、いつまで経ってもそうはならない。それはそうでしょう。日本が制裁をかけたって、その一方で他の国から投資を受けているんだから。」

(『週刊イノキ Vol.62 世界経済の仕組みと北朝鮮〈後編〉』より。2012/06/22)

朝日新聞デジタルは維新幹部の話として、『維新幹部は「いまの参院議員の任期が満了する28日までは、猪木氏は民間人だ。訪朝に問題はない」と話している』と報じており、また、菅義偉官房長官も25日午後の記者会見で、「日本政府を代表する人でないので、(政府の対北朝鮮政策に)特段の影響はない」と述べている。

なお、このニュースに対するインターネットユーザーの反応は様々だ。

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