「まず脱原発」の声が多数 原発立地自治体の貧困対策で議論

7月22日にジャーナリストの武田徹氏の書いたブログ記事()が、非常に大きな反響を呼んでいる。武田氏の主張に対して、コメント欄には7月28日現在で58件のコメントが寄せられた。その多くは、武田氏の主張に一定の理解を示しつつも「まず脱原発を」と、山本氏の政治行動に足並みを揃えるものだった。
時事通信社

7月22日にジャーナリストの武田徹氏の書いたブログ記事(山本太郎の当選は「終わりの始まり」か?)が、非常に大きな反響を呼んでいる。掲載から約1週間でFacebookのシェア数は1500超、ツイッターで言及された数は2000を突破した。

この記事は、7月21日に投開票された第23回参議院選挙の東京選挙区で「脱原発」を訴えた無所属候補、山本太郎氏が当選したことに触れたもの。山本氏の唱える「脱原発」というスローガンについて、

山本にとって脱原発とは被曝リスクをゼロにするために必要なものと位置づけられている。その立場は同じように311の原発事故後にわかに被曝リスクゼロを強く願うようになった都市圏の脱原発指向と共振・共鳴し、投票行動を促した。低線量被曝による晩発性障害の発生が完全に否定できないと聞いて、できるだけ被曝を避けたいと願う心情を持つに至るプロセスは十分に理解できる。

と理解を示しながらも、原発が立地する自治体の財政苦について以下のように描写した。

過疎化に苛まれる原発立地地元では電源三法交付金や原発関係の雇用なしには立ち行かない構図が既に固定的になっており、被曝リスクどころか原発事故のリスクまでをも、それらが現実の被害に転じないことを祈りつつ、引き受けることなしに生き残る道が用意されない。

その上で、山本氏の政治行動について以下のように警告を発した。

自民を勝たせるしか選択肢がなかった立地地元の現実を踏まえ、彼らにそうではない選択が可能となる状況を提供することを目指さなければ、山本の脱原発論は被爆の不安に駆られて情緒的に盛り上がった都市部の脱原発運動の中でしか通用しない独りよがりのものに留まる。

この武田氏の主張に対して、コメント欄には7月28日現在で58件のコメントが寄せられた。その多くは、武田氏の主張に一定の理解を示しつつも「まず脱原発を」と、山本氏の政治行動に足並みを揃えるものだった。以下に一部抜粋して紹介しよう。

■「まずは脱原発を」と訴える意見

単体でも解決策の見つからない地方の貧困対策を脱原発とセットで考えろと求めるのは、ハードルが高すぎます。まず脱原発の方向性を定めて、それでは原発に支えられてる立地地元をどうするか、という議論の進め方もあると思います。

fusa2013年07月23日 18時07分

「脱原発」の一点だけで他のことを考えないとしたら問題である、というのは「大人の」議論でしょうが、「脱原発」を出発点として(それに伴うものも伴わないものも含めて)いろいろなことを解決しようとすることに問題があるとは思いません。

Makino Takehiko2013年07月24日 02時58分

電力会社が勝手に町民を優待して電力の恩恵を受けさせて電力の町にしたてあげただけの話で、電力会社が来なければ来ないでそれなりに普通の地方として生活を営むだけの町民力はあったのですよ。生き残れなかったから電力の町になったわけではありません。

0100oto2013年07月26日 12時20分

「原発なしに生き残ることができなかった地方の『貧しさ』...その抜本的な解決を図る姿勢が必要だ」とは一見、正論。でも、地方の問題は原発に限らず、日本全体があらゆる領域ではらんでいる問題なんじゃないか。

kokoro11172013年07月23日 01時28分

原発が無きゃ生きてけないみたいな書き方は疑問。地方に原発を導入して原発依存型の経済を作ったのは当時の国でしょ。別の産業激推ししてそっちに依存した地域経済を作ってたらそうはならなかった。原発依存型の地方経済を作ったとこまで含めて国の原子力政策の責任なんだよ。そっから転換しなきゃだめかと。

Shigeki Izumi2013年07月22日 12時47分

このように原発が立地している自治体を考慮しつつも、まずは「脱原発」という道筋をつけることの方が優先されるべきだと考える人が多い結果となった。もちろん、これ一色ではなく、少数ではあったが、「脱原発」と同時進行で「原発立地自治体の財政問題も考えよう」とする意見もあった。

■原発立地自治体のことも考えるべき

私個人は放射性廃棄物の最終処理方法が確立していない以上、時間をかけてでも原発を停止していくべきと考えていましたが、武田さんの記事を読み、同時に現立地自治体での財政・雇用問題も合わせて検討していくことも重要な課題だと認識しました。そうでなければ、原発は停止したものの、自治体は財政破たん、住民は働く場所がなくなり移転、ということになりかねないと思います。

yamagoo2013年07月22日 13時26分

このほか、この記事に関しては、山本太郎氏個人の国会議員としてどんな行動をするのかについて、不安を隠せない様子の意見も複数寄せられた。以下に抜粋する。

■山本太郎氏の政治姿勢について

家族が放射能を避けるため、海外に移住しました。彼らは放射能から逃れたかもしれませんが、家族は大きく傷つきました。山本氏には不安を煽るようなことは、避けていただきたい。復興を遅れさせないでほしいと、祈ります。

yu-ki2013年07月23日 12時16分

原発慎重論ではあるが、確かに推進派の私には、山本太郎氏の一直線な”放射能を出す原発は要らない”という単純明快な主張が(本人の意図とは別に)ポピュリズムではないといえるかどうか疑問です。

Babel2nd2013年07月22日 18時26分

原発反対派=山本太郎というイメージが世の中に根付いてしまわないか心配です。彼が、もしなにか失敗した時に、山本太郎がだめだから原発反対派もダメということにすりかわってしわまわないか。そのことで、脱原発的な動きが頓挫するかもしれない。いいにせよ、悪いにせよ、これだけ注目を集めてるだけに、不安です。

Kageyama2013年07月22日 22時45分

【※】このように脱原発を推進するべきかと、原発立地自治体の貧困対策をどう進めるかという矛盾しかねない課題についてさまざまな意見が寄せられました。こうした意見について、あなたはどのように考えますか?改めてご意見を募集しますので、コメント欄にお寄せください。

関連記事

北海道電力の泊原発

日本の主な原子力発電所と関連施設

注目記事