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司法修習生約200人、給費制復活求め提訴 「食費を削った」「300万円の借金を背負った」の悲痛な声も

2013年08月02日 22時59分 JST | 更新 2013年08月02日 22時59分 JST
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JAPAN - MAY 19: A courtroom in the Tokyo District Court sits empty in Tokyo, Japan, on Tuesday, May, 19, 2009. Japan's first court case involving citizens sitting as judges will start today at the Tokyo District Court, the Yomiuri newspaper reported, without citing the source of its information. (Photo by Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images)


司法修習生に給与を支払う「給費制」を国が廃止し、返済が必要な「貸与制」にしたことをめぐり、元修習生約120人が2日、「過去の修習生との差別にあたり、法の下の平等を定めた憲法に違反する」として国に1人あたり1万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。名古屋、広島、福岡の各地裁でもこの日、元修習生が集団で同種訴訟を起こした。朝日新聞デジタルが伝えた。

共同通信によると、原告はいずれも2011年11月から1年間の修習を受けた計約200人。国は、月約20万円だった従来の給与を11年11月、ほぼ同額を貸与し、返済義務を課す制度に移行した。

司法修習生給費制とはどういう制度なのか。日本弁護士連合会は次のように説明している。

法曹を目指す人々は司法試験に合格した後、1年間の司法修習を終えなければ弁護士、裁判官、検察官になることができません。司法修習は、司法の現場で実際の事件に携わることにより、「法的問題解決のための基本的な実務的知識・技法と、法曹としての思考方法、倫理観、心構え、見識等」を身につけることを目的としています。そして、1年間という短い期間でその目的を達成できるよう、兼業(アルバイトを含む。)を禁止し、司法修習に専念させるため、これまで司法修習生には国から給与が支払われていました。

しかし、2011年11月に司法修習が開始された新第65期司法修習生から修習期間中の生活資金を貸与する「貸与制」が実施されています。

(日本弁護士連合会「給費制復活を含む司法修習生への経済的支援を」より)

「給費制」から「貸与制」に移行してどのようなことが起きたのか。日弁連によるアンケートによると、司法修習生となることを辞退しようと考えたことのある人が3割弱おり、そのうち約86%の人が「貸与制」をその理由に挙げていることがわかった。「貸与制」に移行したことによる影響はどのようなものがあるか自由記述で回答してもらったところ、以下のような記述があった(一部抜粋)。

・ 食費を削る。

・ 病院に行くのを控える。

・ 書籍は買わない。

・ 各種手当、ボーナスの支給もない上、月々の奨学金返済(28,000円)があるため苦しい。

・ 弁護士登録費用を払うことができない。

・ 貸与として支給されるお金が収入として扱われてしまうので、父親の社会保険において扶養家族から外されてしまい,新たに国民健康保険に加入し,保険料を支払う必要が生じた。

・ 部屋を自分の名前で借りることができない。

・ クレジットカードが作れない。

・ 共済組合に加入できないため、月々の年金、国保額の負担が重くのしかかっている(共済未加入のため、検察庁内の診療所も利用不可。)。

・ 無給なのに、準公務員として義務を課されるのはおかしい。

・ 実家や就職希望地からあまりに遠い修習地であったため、引越費用、就職活動費が多大なものとなった。貸与制は事実上、自己負担ということだが、修習希望地からあまりに遠い地域に飛ばされた場合に、このような費用が自己負担というのは不当だと思う。

・ 実質的には労働をしているのであるから無給はおかしい。

・ 研修医と比べて不平等。

・ 貸与制を続けるのならアルバイトを可能にしてもらいたい。

・ 無給及び拘束時間の長さなどから公立保育所への入所ができなかった。

修習生は兼業ができないため原告側は「最大約300万円の借金を負った人もいるなど、以前の修習生との間に著しい差別が生まれた」と主張している。

■「年収100万円以下」が2割 窮乏ぶりが顕在化する弁護士

司法の道に進んだとしても、その先には再びいばらの道が待っている。特に都市部で、弁護士の窮乏ぶりが顕在化しているというのだ。

数年前から、新人弁護士の就職難が報道されるようになった。いわゆるイソ弁(居候弁護士)として正規就職できる事務所がなく、机や電話だけ置かせてもらうケースもあるという

司法試験自体も「2010年度には合格者3000人程度」を目標にしてきたが、こうした新人弁護士就職難を理由に日弁連が「見直し」を提言。それに応えるかのように、2010年は合格者が2074人、2011年も2063人と2000人台で推移している。

また、司法試験合格者のうち、弁護士志望者の1600~1700人中、400人以上が“就職浪人”だという

政府は、司法試験合格者を年間3000人程度とする政府目標を撤回し、実績が乏しい法科大学院に定員削減や統廃合を促すことを決定している

高給取りの代名詞とも言われていた弁護士の収入も激減している。国税庁による個人事業主として働く弁護士の所得の統計によると、2011年の調査で、登録弁護士の8割を超える2万7094人のうち、22%が100万円以下、19%が500万円以下だった

経済的負担に苦しむ司法修習生、そして弁護士になっても続く窮乏。司法制度の根幹が揺らいでいる。