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高須院長が安藤美姫選手支援に名乗りをあげた理由「子供を産んだら家庭に入るべきだとか、子供の父親は誰かとか、余計なお世話」

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TAKASU
猪谷千香

「日本にはこの人がいた」−−。美容整形・美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が7月20日、フィギュアスケート女子の安藤美姫選手への支援を申し出たと報じられると、ソーシャルメディアでは絶賛の嵐が巻き起こった。安藤選手は4月に出産、シングルマザーとして選手活動を続け、ソチ五輪を目指すとしている。しかし、安藤選手は所属していたトヨタ自動車を退社、一部メディアからはプライベートにまで踏み込んだ取材が過熱するなど、練習に専念できる環境を得られるのかが懸念されている。その“窮状”を助けたいと名乗りをあげたのが、高須院長だった。篤志家としても知られる高須院長に、その真意を聞いた。

■「嫉妬を増幅させるとメディアは売れるのでしょう」

「子供を産んで育てながら五輪目指すというのは、すごいことだと思います。経済的に恵まれないがゆえに、才能が埋もれてしまうというのは、社会的にすごくもったいないと思いませんか?」と高須院長は安藤選手にエールを送る。
安藤選手の出産に対し、「週刊文春」は「支持しますか?」というウェブアンケートを実施。人権侵害にあたると批判を浴びたが、現在もプライバシーが守られない一部メディアの取材は続いており、安藤選手は苦慮していることを自身のフェイスブックで明らかにしている。こうした状況を、高須院長は厳しく批判する。

「子供を産んだら家庭に入るべきだとか、子供の父親は誰かとか、余計なお世話だと思うの。すごく、頭に来るんです。家庭を取るか、仕事を取るか、両方取ればいいじゃない。僕は両方一生懸命やるのが好きなんだけど、日本人の習性ですかね。何かひとつを犠牲にしなければ、達成できないと考えてしまう。健康法でも、おいしいものたくさん食べて、楽してストレスを少なくすれば、免疫力が高まって長生きできる。一日一食の難行苦行みたいな健康法じゃ早死にします。でも、みんな難行苦行が好きみたい」

安藤選手への過熱報道にも、首をかしげる。
「子供も産んで、スケートでもいい成績を残したら、嫉妬の対象になってしまうのかな。家庭のためにスケートを捨てたとか、スケートのために子供を諦めたとか、両方取ろうとすると欲張りだと思われてしまう。そういう嫉妬を増幅させると、メディアは売れるのでしょう。だから、週刊誌やテレビ番組もそっちに行ってしまうんじゃないですか。僕は普通のことを言っているつもりなのに、『珍しい』と言われる方がおかしいと思う」

■「売名行為だと思われるのが嫌で隠れてやることも」

CMやテレビ番組での華やかな活動が目立つ高須院長だが、篤志家としての顔も持つ。
阪神淡路大震災や東日本大震災では、被災地で医療ボランティアを行い、自身のクリニックでも被災者に対して無料の治療を行った。2011年には私財を投じて「高須克弥記念財団」を設立、パプアニューギニアで学校を建設する支援などを行なっている。

「僕、子供の頃からいじめられていたので、いじめられている人を見ると、手助けしたくなんです。手助けできるとハッピーになります」と笑う。
高須院長は1945年、愛知県一色町(現在の西尾市)で医師の家庭に生まれた。裕福で色白の少年だった高須院長は、近所の子供たちから「白豚」といじめられていた。そうした経験から、誰かを助けたいという思いが強くなっていったという。「お気に入りの相撲取りに入れあげているような、まあ、タニマチ病ですね。売名行為だと思われるのが嫌だから、隠れてやることも多いですけど」

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そんな「タニマチ病」が発揮されたのが、2月にソチ五輪出場を決めた女子アイスホッケー日本代表への支援だ。「高須クリニック」は日本アイスホッケー連盟のオフィシャルスポンサーを務めてきた。五輪出場を賭けた試合が行われたスロバキアまで応援に遠征したほど、高須院長の思いは熱い。
「3年前に応援を始めた時は、女子に五輪代表になんて無理とみんな言っていたけど、僕は勝利を確信していました。彼女たちは、ピザ店でアルバイトして海外遠征の費用を稼いだり、先輩からもらったようなスケート靴で滑ったりしていた。でも、バイトする時間があったら練習してほしい。余計なことをしないで、試合に集中してほしい」と語る。
強化に向けて、1億円の資金提供を申し出たこともある。「本当は本人たちに直接、お金を渡したくてツイッターで一生懸命、呼びかけてるんだけど、なかなか来ませんね(笑)。選手はフェイスブックとツイッター禁止って言われてみたい。でも、見てると思うんだけどなあ」

若い選手ばかりではない。高須院長の視線は、シニア世代にも向けられている。2011年8月、当時66歳だった高須院長は、その年71歳になるゴルファーで、名古屋GC和合コースの元クラブチャンピオン、石田弘二さんと2人でギネス記録を更新した。愛知県豊田市の京和カントリー倶楽部で、12時間で261ホールをプレー、過去のギネス記録である189ホールを大幅に超えたのだ。
東日本大震災から数カ月後のことだった。高須院長は、仮設住宅で元気を失ってゆく被災地の高齢者たちをなんとか元気づけたいと思い、チャレンジしたという。
「今年5月には中日クラウンズという試合にも石田さんと出場しました。僕がキャディで。予選落ちしちゃったけど、石田さんは72歳。故杉原輝雄(生涯現役を貫いたプロゴルファー)に並ぶ最高齢記録です。そういうおじいさんを一生懸命、サポートするのも好きなんです。才能のある年寄りも悪くないでしょ?」

■「みんなが安藤選手の支援を名乗り出てくれればいい」

さまざまな社会貢献活動を行なってきた高須院長。2011年には、「高須克弥記念財団」を設立した。その理由をこう話す。
「僕が死んじゃったら、続けられないじゃない。財産を子供に残すのはダメだと思う。残せば働かなくなります。教育を与えるのは大事。それで裸一貫で働いてくれた方がいい。教育を与えないでお金を与えたら、スポイルされちゃうでしょ。僕、死んじゃったら、自分が持っていた分は全部、社会還元しようと思っています。全財産を社会のために使ってほしい」
少しだけ心配なことは、かねてより交際中の漫画家、西原理恵子さんだという。「西原を財団の理事長にしてあるから、僕が死んだ後に西原が全部、私物化しないよう、見張っていくための理事をこれから選ばなきゃと思ってます」と冗談を飛ばす。

高須院長が安藤選手への支援を表明した時、ツイッターでは「日本にはこの人がいた」という絶賛が寄せられた。その声の裏には、日本では高須院長のように寄付や支援を積極的に行う文化が根づいてないという現実がある。
「アメリカは税制が違っていて、寄付すると税金が控除されます。日本は国が指定した法人以外でないと控除されません。税金も高くて、半分ぐらい税金に持っていかれてから払うことになる。本当に自分たちが支援したいという気持ちが活かせるシステムではありません。それでも、税金に取られるよりはいいです。税金は自分が思っていないところに使われて、感謝もされない。僕は税金を払った残りのお金は財団に入れて、世のため人のために使うって決めたから」

現在、安藤選手からの返事を待っているという高須院長。「女子アイスホッケーの時もそうなんだけど、僕が1億出すって言ったら、じゃあ負けないで俺は2億出すっていう人が出てくるかと思ったら、いなかった。みんなしっかりしてますね。安藤選手のことも、僕だけじゃなくて、みんなが支援を名乗り出てくれればいいと思っています」

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