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パソコン業務の視力低下や頭痛は労災として認められるか

2013年08月07日 16時44分 JST | 更新 2014年06月06日 22時03分 JST
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A man dabbing his eyes

長時間のパソコン業務で「眼精疲労」 視力低下や頭痛は労災として認められる?

オフィスワークは、パソコンで行うのが当然の時代になった。仕事で同じ姿勢を強いられ、肩こりや腰痛になるというのはよくあるが、画面の見過ぎで眼精疲労になった、という人も結構いるだろう。

ヤフー知恵袋にも「仕事でパソコンを操作している時間が長く、慢性的な眼精疲労になってしまいました」という相談が多数寄せられている。深刻なケースだと、眼精疲労から頭痛や吐き気に至り、病院でMRIを撮ってもらったという報告もあった。目の周りをマッサージして、何とかしのいでいるという人も多いようだ。

日常生活でも目が疲れることはあるが、明らかに仕事が原因の眼精疲労によって視力が低下したり、頭痛などで通院することになった場合、会社に治療費などを請求することはできるのだろうか。また、場合によっては、眼精疲労が労災として認められるケースもあるのだろうか。労災問題にくわしい古川拓弁護士に聞いた。

●連続作業時間や休憩間隔の目安を定めた「厚労省のガイドライン」がある

「パソコン業務が原因で、目の病気(「疾病」といいます)になり、治療費などを補償してもらいたい場合、手続き的には次の2つが考えられます。

(1)労災認定を受け、国から労災保険を支給してもらう

(2)会社に損害賠償を求める」

――具体的には、どんな補償がされる?

「もし労災が認定されれば、治療費だけでなく、仕事を休んだ場合の休業補償、後遺障害が残った場合には一時金や年金が国から支給されます。

さらに、病気になった原因に、会社の安全配慮義務違反があると認められれば、会社に対して慰謝料などの損害賠償を請求できます」

――労災認定されるかどうかの基準は?

「労災認定されるかどうか、あるいは安全配慮義務違反が認められるかどうかは、具体的に発生している疾病の内容に応じて、その労働者が置かれていた具体的な作業状況(作業時間、作業環境、作業条件など)をふまえた総合判断によります。

この点、厚生労働省が2002年に発表した『VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン』が参考になります。なおVDTとは、ディスプレイなどの表示機器のことで、英語の『Visual Display Terminal』の略です」

――ガイドラインの内容は?

「VDT作業をさせる場合の基準として、たとえば下記のようなポイントがあがっています。

(1)照明・採光など作業環境への配慮

(2)作業内容に応じた作業時間制限や休止時間

(3)機器や机・いすなどの調整

(4)健康診断や安全衛生教育の実施

作業時間では、連続作業が1時間を超えないようにすることや、連続作業の合間には10~15分の作業休止時間を設けること、などと決まっています」

――このガイドラインに反していると、即アウトと言える?

「いいえ、具体的な作業内容(単純入力か創造的な作業か、作業に従事した期間など)の区別にもよるので、一概には言えません。

ただ、数時間連続して裁量の少ない作業に従事させられたり、照明が暗い中での長時間作業であったり、過度の負担がかかる作業内容に長期間従事せざるを得ない状況であったりした場合には、労災や安全配慮義務違反が認められる可能性も高まると言えます。

いずれにせよ、労災や損害賠償のためには、具体的な作業内容を詳しく明らかにしていくことが出発点となりますが、あきらめずに一度は請求をご検討になると良いでしょう」

最近、目が疲れて仕方がない――という人は、病気や視力低下を引き起こす前に、厚労省のガイドラインを持って上司などに相談してみるのも良いのではないだろうか。

弁護士ドットコム トピックス編集部

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【取材協力弁護士】

古川 拓(ふるかわ・たく)弁護士

らくさい法律事務所代表。2004年弁護士登録。京都弁護士会・過労死弁護団所属。特に過労死・過労自殺・労災事故などの労災・民事賠償事件に力を入れ、全国から多数寄せられる相談や事件に取り組んでいる。

事務所名: らくさい法律事務所

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