かんぽ生命を狙うアメリカ、"持参金"だけじゃ足りない?

かんぽ生命は「民間企業との競争条件が平等ではない」。米通商代表部(USTR)のカトラー次席代表代は8月9日、TPP交渉と並行して8月7日から行われていた日米2国間協議の終了後に記者会見し、日本政府が100%出社する日本郵政傘下のかんぽ生命保険について改善を迫った…

かんぽ生命は「民間企業との競争条件が平等ではない」。

米通商代表部(USTR)のカトラー次席代表代は8月9日、TPP交渉と並行して8月7日から行われていた日米2国間協議の終了後に記者会見し、日本政府が100%出社する日本郵政傘下のかんぽ生命保険について改善を迫った。今後の交渉を通じて保険分野の市場開放へ取り組みを進める考えを強調した。

かんぽ生命は、簡易郵便局を含めて全国に約2万4000局の郵便局舎を持つ日本郵政グループの生命保険会社だ。政府が全株式を握っており、総資産も生命保険会社として世界最大規模である。

その有数の窓口と、資金力を武器に、学資保険などの新商品の販売へ乗り出そうとしていたが、今年4月12日に、民間との適正な競争関係にないことを理由に、新規事業の凍結を麻生太郎金融担当相から宣言されている。

しかし、かんぽ生命はアメリカンファミリー生命(アフラック)と業務提携し、郵便局の窓口でアフラックのがん保険を販売することが判明。マレーシアでのTPP参加会合が行われる直前のことだった。

かんぽ生命の新規商品の販売申請だけでも、日本の生保業界は批判していただけに、アフラックとかんぽ生命との提携のニュースは、煮え湯を飲まされた状態とも言える。

NEWSポストセブンによると、特に将来をにらんでかんぽ生命と商品開発などで業務提携していた日本生命の広報室は、「当社はかんぽ生命と5年以上にわたって様々な面で協力してきた経緯もあり、今回の話については遺憾です」と話しているとという。

しかし、米国側は、かんぽ生命のアフラックとの業務提携だけでは納得しない。朝日新聞デジタルは、カトラー氏の話として次のように報じている。

カトラー氏はこの提携強化について「一歩前進と受け止めている」と評価したが、「(提携は)1社の1商品だけが対象だ。我々はすべての企業に同じ土俵がもたらされるよう希望する」とも述べ、いっそうの日本の譲歩を求めた。

(朝日新聞デジタル「米、かんぽ生命に改善迫る TPP並行協議初会合終了」より。 2013/08/10 20:15)

日本がTPPに交渉参加することを決めた時、日本とアメリカは、日米2国間協議を開き、自動車分野以外に、知的財産権や、食品添加物の基準などを協議すると決定している。保険についてもその一つで、「かんぽ生命保険と民間保険会社との競争条件」が話し合う内容として盛り込まれている。今回の会合での進捗について、MSN産経ニュースは外務省の森健良・経済外交担当大使の話しとして、「接点を探るところまでいっていない」と述べ、主張の隔たりの大きさを示唆したと報じている。

かんぽとアフラックの業務提携だけでは、持参金として物足りない。さらなる厳しい交渉がまだまだ続く。

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