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JALとANAがまた対立=羽田空港の国際線発着枠めぐり

2013年08月18日 21時43分 JST | 更新 2013年08月18日 21時49分 JST
Reuters

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来春新たに配分される羽田空港の国際線発着枠をめぐり、ANAホールディングス<9202.T>(ANA)と日本航空<9201.T>(JAL)の主張が対立している。

JALの再建で競争環境が歪んだとするANAは、発着枠の傾斜配分によって格差を是正すべきと主張。一方、JALはこれまで通り均等配分されるべきだと訴える。国土交通省による配分の結果次第で、両社の収益力や国際的な競争関係に変化をもたらす可能性があるだけに、航空行政の判断に注目が集まっている。

「できれば全て欲しいと申し上げている」─。ANAホールディングスの伊東信一郎社長は8日の定例会見で新たに配分される羽田の国際線発着枠について、持論を展開した。伊東社長はこれまでもJALの再建過程で生じた競争力の格差を発着枠の配分などで是正してもらいたいと主張してきた。

2011年に更生手続きが終了したJALは、12年9月に再上場。直近の13年4─6月期の営業損益ではANAが56億円の赤字に転落した一方、JALは減益ながらも220億円の黒字を確保した。業績で差がついたことに伊東社長は「彼らの収益体質ではそうだろうな」と漏らす。

羽田には来春から国際線の発着枠を1日当たり約40枠増やす計画があり、このうち約20枠が国内航空会社向けに確保される見込み。現在、羽田の昼間の国際線はアジアなどの近距離路線に限られているが、増枠によって欧米など長距離路線にも就航できるようになる。

航空業界関係者によると、羽田発着の国際便は「1枠で年間17億─18億円程度の営業増益効果が見込める」という。今後、首都圏にある空港で発着枠拡大の予定はないため、ANAにとってはJALとの収益の格差を一気に詰める最後のチャンスとなる。ANAは羽田の国際線増枠を視野に入れ、長距離路線で活用できる米ボーイングの大型機を発注するなど対外的にもアピールする。

<今春の国内線配分はANAに傾斜>

一方、JALは破たんから再上場に至るまで「通常の手続きを踏んできた」と主張する。10年1月に会社更生手続きを申請後、不採算路線からの撤退や大幅な人員削減など構造改革を実施。身を削りながら企業価値を高める努力をしてきたという思いがある。

羽田の国際線発着枠は均等配分がフェアとしているJALだが、今後を占う上ではやや心配な前例もある。今春に実施された羽田の国内線発着枠の配分では、ANAが8枠、JALが3枠と傾斜がつけられた。公的支援を受けたことを理由に、JALには厳しい判断が下された。

自民党・航空政策特別委員会で委員長代理を務める三ツ矢憲生衆議院議員は、JALに対する公的資金投入の目的が果たされていない、との見方を示す。公共交通機関として航空路線網を維持するという理由で決定されたにもかかわらず、JALは一部の路線を廃止したままだと指摘。その現状が、ANAに傾斜配分を行う理由にはなり得ると述べた。

ただ、三ツ矢衆院議員は発着枠の配分について「政治が介入するような話ではない」との立場を明確にしている。羽田の有効活用について「国の航空政策と航空会社の戦略が、合致しているかどうかもポイントになる」との考えを示した。

<航空連合への影響の可能性も>

他方、羽田の国際線発着枠の配分は、JAL、ANAの2社だけではなく、各国の航空会社の競争環境にも影響を与える可能性がある。各国の航空会社は連合を形成し、協力関係を持ちながら世界の路線ネットワークを構築しているからだ。ANAはスターアライアンス、JALもワンワールドという航空連合にそれぞれ加盟する。

国際航空運送協会(IATA)のデータによると、羽田国際線の航空連合ごとの現在のシェア(便数ベース)は、ワンワールドが31%、スターアライアンスが40%。仮にANAの伊東社長が求めるように増枠される約20枠全てがANAに配分された場合、シェアはワンワールドが20%、スターアライアンスが50%と大きく変わる結果になる。

英ブリティッシュ・エアウェイズ(ワンワールド加盟)を傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)の最高経営責任者(CEO)、ウィリー·ウォルシュ氏は7月末、ロイターに対し、発着枠の配分には「透明性が必要だ」と指摘。今年10月の来日予定を前倒し、日本の国土交通省関係者と面会することも検討している。

(杉山 健太郎、ティム・ケリー 編集;田巻 一彦)

[東京 19日 ロイター]

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