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エジプトへの武器輸出停止でEUが合意 資金援助停止には結論出ず

2013年08月21日 19時39分 JST | 更新 2013年08月21日 19時39分 JST


欧州連合(EU)は8月21日、ブリュッセルで緊急外相理事会を開き、騒乱が続くエジプトへの武器輸出の停止で合意した。暫定政府に圧力をかけ、モルシ前大統領支持派との歩み寄りを促すのが狙い。時事通信が伝えた。

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EUは、混迷に歯止めをかけるため、21日、ブリュッセルの本部で緊急の外相会合を開いた。その結果、「エジプト国内で抑圧のために使用されるおそれのある武器の輸出許可を一時的に差し止めることで合意した」として、加盟各国によるエジプトへの武器輸出を一時停止することで合意した

ただ、総額50億ユーロ(日本円にしておよそ6500億円)の資金援助を停止するかについては、「検討を続ける」として結論を出さなかった。援助の大幅カットは暫定政権よりも市民への影響が大きいとして慎重論が相次いだため、社会的弱者が悪影響を被らない形で支援の見直しを進めることとした

アシュトン外交安全保障上級代表は理事会後の記者会見で、「最近の軍の行動は必要以上だ」と暫定政権の対応を強く非難した。その一方で、「最も打撃を受けやすい市民社会などへの支援は継続すべきとの理解のもと、対エジプト支援を見直すことで一致した」と語った

■ ムバラク大統領に保釈命令、改憲草案「宗教政党を禁止」盛り込む

エジプトの首都カイロの裁判所は21日、2011年の政変で退陣したムバラク元大統領について、勾留が続いていた汚職事件での保釈を認定、これにより元大統領は、起訴されたすべての事件で保釈が認められた

元大統領が出所すれば、新たな民主化後退の動きとの見方が国内外で広がりそうだ。2011年に元大統領を失脚させた民主化要求運動「アラブの春」を主導した若者らが反発を強めるのは必至で、国内の緊張激化に拍車が掛かる恐れもあると時事通信は伝えている。

元大統領をめぐっては、弁護士が「全ての嫌疑について、判決が下される前に許容される勾留期間が過ぎている」と主張、裁判所に保釈を認めるよう要請していた。保釈が実現しても、元大統領の全ての嫌疑が晴れたわけではなく、当面は自宅軟禁下に置かれるとみられる。

また、同国の憲法改正委員会は同日までに、「宗教政党の禁止」などを盛り込んだ改憲草案をまとめた。地元紙によると、改憲草案の宗教政党禁止規定について関係者は20日、ムスリム同胞団傘下の自由公正党やイスラム第2勢力のヌール党の解散を目的としたものではない、と強調。ただ草案には、各党が同規定に違反していないか監視する機関の設置も盛り込まれており、同胞団などの政治活動は大幅に制限されそうだ。

また草案では、旧与党・国民民主党(NDP)関係者の選挙出馬などを禁じた規定が削除されており、旧支配層の復活を懸念するリベラル派からも異論が出る可能性もある。草案は今後、各政治勢力などの代表者ら50人による修正審議を経て年内にも国民投票にかけられる。

■ 対立深めるエジプトとトルコ、クーデターをめぐり舌戦

エジプト暫定政府への批判を強めるトルコのエルドアン首相が20日、モルシ前政権を崩壊させたクーデターに「イスラエルの関与があった」などと発言した。これに対し暫定政府のベブラウィ首相は同日、トルコ側に強い不快感を表明するなど、クーデターを境とした両国関係の後退がさらに鮮明となった。

産経新聞によると、エルドアン氏は、自身のイスラム系与党、公正発展党(AKP)の会合で、モルシ氏が失脚したクーデターに触れ、「背後には誰がいるのか? イスラエルだ」と断言するとともに、「その証拠も持っている」と述べた。同氏はイスラエルの対パレスチナ政策などに批判的なことで知られる。

この発言を受けてベブラウィ氏は声明で、「まともな人なら信じないたわごとだ」と反論し、「(トルコへの)我慢は限界にきている」と強く非難した。

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