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アルジャジーラ、ついにアメリカ上陸 「反米」イメージどう払拭?

2013年08月22日 19時13分 JST | 更新 2013年08月24日 00時52分 JST

中東発のメディアとして世界的な影響力を持つ衛星テレビ局「アルジャジーラ」がついにアメリカに上陸した。ニューヨークに本社を置く「アルジャジーラ・アメリカ」は、24時間ニュース専門のケーブルチャンネルとして8月20日から放送を開始した。

(アルジャジーラ・アメリカの放送開始を伝えるツイッター)

2001年9月11日にアメリカで発生した「同時多発テロ」では当時のブッシュ大統領が進めた「対テロ戦争」の報道の仕方をめぐり、欧米から批判を受けることもあった。容疑者とされたオサマ・ビン・ラディンからのメッセージを発信し続けるなどして議論を呼んだ。しかし、今回のエジプト騒乱に際しては治安当局からの妨害工作にひるまず、「ライブブログ」を使って現地からの速報や画像、映像を伝え続けるなど、その報道姿勢が世界各国の視聴者からソーシャルメディアなどを通じて評価された。

「エジプトの状況を知りたいなら、アルジャジーラの『ライブブログ』をチェックするのが一番だ」

中東で生まれ育ったニュースメディアはアメリカ国内でも受け入れられるのだろうか?その勝機は?

■急成長した中東発のニュースメディア

アルジャジーラは1996年、「オイルマネー」で潤沢な資金を持つカタール王室や個人投資家からの出資を得て創設された。90年代以降、中東地域でアラビア語でニュースを発信するメディアとしては珍しく、国営放送に対抗する存在として影響力を増してきた。

その後、ドーハを拠点に英語で中東地域のニュースを発信し始め、開設からわずか10年ほどで世界中の1億人以上が視聴する大メディアに成長した。現在ではスポーツチャンネルのほか、子ども向け番組なども制作されている。

報道姿勢が中東よりで「アメリカに批判的だ」というイメージもつきまとっていたが、イラク戦争ではイラク市民の被害を積極的に伝え、「アラブの春」についても現地から継続的かつ詳細な報道を続けたことが「欧米メディアとは一線を画す」としてニュース好きの人々の心をつかんだ。

今回のアメリカ進出に向けての出資も惜しまなかった。アル・ゴア元米副大統領が経営していたケーブル局「カレントTV」を5億ドル(約485億円)で買収し、全米に広がるケーブルネットワークを手に入れた。その後、放送開始に向けて700人のスタッフを雇用し、準備は万端そろったかに思えた。しかし、アルジャジーラにとって最大の障害があった。

それは中東発のメディアであるがゆえにつきまとう「反米」というイメージだった。

■米人気キャスターの引き抜きで「アメリカ色」強める?

CNNMSNBCFox Newsなどの大手メディアに対抗するため、アルジャジーラは各局から著名なキャスターを多数引き抜いた。

社長にはNBCニュースで30年以上ニュースにかかわってきた大ベテランのKate O’Brianを起用。キャスターとして、CNNやCBS Newsで活躍したJoie Chen、CNNからKim Bondy、Ali Velshi、Soledad O’Brien、CBSからはSheila MacVicarを引き抜いた。CNNの幹部クラスだったDavid DossやShannon High-Bassalikもアルジャジーラ・アメリカの経営幹部へと転身した。

ほかにも、MSNBCとFox Newsに在籍したDavid Shuster、NBCニュースでホワイトハウス担当だったMike Viqueria、ABCニュースからAntonio Mora、CBSニュースからMarcy McGinnisなどが移籍した。

いずれも朝晩のニュースで毎日のように登場していたアメリカのお茶の間ではおなじみの面々だ。彼らを次々と画面に登場させることでこれまでのイメージを「親米的」なものへと塗り替えようとしているのかもしれない。

社長のKate O'BrianはハフィントンポストUSのインタビューで「アルジャジーラほど優良なニュースの素材とそれを伝える手段を持ったメディアグループは他にはない」と同社の優位性を語った。

■公平で公正なニュースを目指す

アルジャジーラ・アメリカは「偏らず、事実に即し、より深く掘り下げたニュース」を配信すると宣言している。同局の誕生が、中東地域とアメリカの新時代を切り開くのか、それとも数あるケーブルチャンネルの一つにとどまるのか。今後の展開に注目したい。

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