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武藤敏郎大和総研理事長、消費増税について「財政健全化目標を守れなければ、国債の格下げは不可避」【争点:アベノミクス】

2013年08月26日 00時43分 JST
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財務事務次官や日銀副総裁を歴任した武藤敏郎大和総研理事長は23日、都内の日本記者クラブで講演し、消費税率を予定通り引き上げない場合は、財政健全化目標を修正する必要が生じる可能性があると指摘した。

その上で、財政健全化目標を守れなければ、国債の格下げは不可避で長期金利が上昇する可能性があるとの見通しを示した。

また、現在の景気は好調で、消費増税の景気条項に反しているとはいえない、との見解を示した。

来春に予定されている消費税率引き上げは、消費税法の附則に明記されている「経済状況の好転」が前提となっており、経済指標などを踏まえて秋に安倍晋三首相が是非を判断することになっている。

武藤氏は、暦年ベースの日本の実質経済成長率は2013年に前年比2%、3兆円程度の2013年度補正予算編成を見込んで2014年は同2.2%に上昇するとの試算を示し、日本の景気は好調と断言。いわゆる消費増税の「景気条項」に「反しているとはいえない」と予定通りに消費税率を引き上げてもデフレ脱却の大きな障害にはならないとの見解を示した。

その上で、毎年1%ずつの税率引き上げなど現行計画を修正すれば、政府が定めている基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を15年度までに半減し、20年度までに黒字化する財政健全化目標を「改定するしかない」と指摘。その場合は「国際的にも厳しい批判にさらされ、国債の格下げは不可避だ」とし、「それがトリガーとなって長期金利が上昇することも考えられないわけではない」と警鐘を鳴らした。

日銀が4月に導入した異次元緩和については「順調に滑り出している」と評価。日銀は異次元緩和の推進で、2%の物価安定目標を2年程度で実現することを目指しているが、「15年春の2%達成はハードルは高いが、不可能ではない」と語った。

もっとも、15年度には消費増税の影響を除いた物価上昇率が1%台になる可能性があるとし、「2%が達成できないから問題というわけではない」とも指摘した。

異次元緩和に伴うバブル懸念に関しては、株式や不動産などは「バブルと思っていない」とする一方、10年債が0.7%台の利回りで取引されている国債市場は「バブルではないか」と発言。国債バブルが崩壊した場合の財政や金融システムへの影響に警戒感を示し、「財政規律という立場では、非常に気がかりだ」と語った。

(伊藤純夫;編集 田中志保)

*内容を追加します。

[東京 23日 ロイター]

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