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アメリカのケリー国務長官、シリア化学兵器を「サリン」と断定 攻撃最終決定は先送り

2013年09月01日 20時49分 JST | 更新 2013年09月11日 01時45分 JST


アメリカのケリー国務長官は9月1日、CNNテレビなどのインタビューに応じ、シリアの首都ダマスカス郊外で8月21日に使用された化学兵器は「神経ガス・サリン」だったとの証拠をアメリカが過去24時間に得たことを明らかにした。オバマ政権が化学兵器の物質を特定したのは初めて。時事ドットコムが伝えた。

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長官は、ダマスカス東方の化学兵器使用現場に駆け付けた救急隊員から毛髪や血液サンプルの提供を受けて検査した結果、「サリンの陽性反応が出た」と明言。アサド政権が化学兵器を使用した証拠は「さらに強化された」と強調した。

また、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとするアメリカの報告書を念頭にロシアのプーチン大統領が「途方もないたわ言」と述べたことに対し「証拠に疑いの余地はない」と反論し、プーチン氏が意図的に証拠を無視していると批判した

オバマ政権幹部は1日、議会の主要議員にシリア軍事介入方針を説明し、承認を要請した。休会中の議会は9月9日に再開予定で、上下院ともにこの週内の採決を予定している。軍事行動開始の最終決定は当面、先送りとなる見通しだ。大統領が議会に武力行使の事前承認を求めるのは異例だ

説明を受けた共和党の議員の1人は記者団に対して、「賛成と反対の意見が多く出され、結論にはほど遠い状況だ」と話した。このほか、「軍事行動を取らなければアメリカの影響力が失墜する」として軍事行動への支持を表明する議員がいる一方、「多くの民間人が犠牲になる可能性があるわりに成果がはっきりしない」として与党・民主党の中にも反対する議員がおり、意見は割れている

下院情報委員会のロジャース委員長(共和)は同日、CNNに対し「アメリカの情報機関によれば、アサド政権は化学兵器を9回使用している」と証言。議会は、大量破壊兵器の問題に真剣だという確固たる決定を世界に示すことができると思うと述べた

■ シリア内の標的は50か所以下、アメリカへのサイバー攻撃を警戒

アメリカ国防総省筋は1日までに、シリアへの武力行使が実行された場合、現在同国近海に展開するアメリカ軍駆逐艦5隻からの巡航ミサイル攻撃が主力兵器になるとの見方を示した。

CNNによると、別のアメリカ政府当局者によると、シリア内の標的は50か所以下の見通しで、軍の司令、指揮施設や化学兵器運搬や攻撃の関連施設などが対象となる。

■ シリアは徹底抗戦「われわれは銃の引き金に指をかけている」

シリア情勢を巡り、アメリカのオバマ大統領が軍事行動に向けて議会の承認を求める方針を発表したことに対し、シリアの国営通信は、「アメリカは化学兵器についての国連の現地調査の報告も待たず、国連の安全保障理事会の決議を取り付けずに、国際法に違反した戦争を始めようとしている」として、反発を強めている

1日付シリア政府系紙アッサウラはオバマ米大統領が発表したシリア攻撃の先送り方針について、「アメリカの歴史的後退の始まりと、世界の指導的立場からの撤退」を意味すると論評した

同紙は、化学兵器使用疑惑でシリアのアサド政権を指弾するオバマ氏の目的は「イスラエルの安全保障と(中東の)石油利権だ」と批判。軍事介入に関して米議会の承認を求めた背景には「暗黙の敗北意識と(英国など)同盟国の撤退」があると指摘した。

シリアのジャミル副首相は8月31日、オバマ米大統領がシリアへの軍事介入について議会の承認を求める考えを表明したことに対して「われわれは(応戦のため)銃の引き金に指をかけた状態を維持している」と述べた。テレビ番組で述べた。副首相は、シリアが攻撃を受けた場合には「必ず報復する」と述べ、介入には徹底抗戦する考えをあらためて示した

■ シリア内戦の死者11万人に ローマ教皇は武力行使に反対

シリア人権監視団(英国)は1日、内戦が続くシリアで2011年3月に反体制デモが本格化して以降の死者が11万人を超えたと発表した。国際社会が事態の打開策を見いだせない中、人道危機が深刻化している。

8月31日までの監視団の集計では、死者は11万371人で、このうち一般市民は約4万人に上り、女性約3900人、子ども約5800人が含まれるとしている。

ローマ教皇フランシスコは1日、バチカンのサンピエトロ広場で開かれた日曜恒例の祈りの集いで、シリアや中東などの和平を願うため、今月7日を断食と祈りの日とすることを決めたと世界のカトリック教徒に向けて発表した

教皇は「人類には平和に向けた行動が必要だ」と述べ、アメリカが検討するシリアへの武力行使に反対の姿勢を示した。

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