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汚染水、低濃度に薄めて海に放出する必要性を強調 田中俊一規制委委員長

2013年09月02日 21時13分 JST | 更新 2013年09月03日 19時07分 JST


原子力規制委員会の田中俊一委員長は9月2日、日本外国特派員協会で講演し、汚染水問題への対応で、放射能濃度を許容範囲以下に薄めた水を海に放出する必要性をあらためて強調した。ロイターが伝えた。

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政府や東電によると、福島第1原発1─4号機に流入してくる地下水(推定日量1000トン)の一部が、配管や電線を通す地下の坑道にたまっている汚染源に触れ、海に日量約300トンが放出されている。また、8月19日には、汚染水を貯蔵している地上のタンクから約300トンの高濃度の汚染水が漏れていることがわかり、これが排水溝を通じて外洋に流れた可能性も否定できないとしている。

田中委員長は講演で、 汚染水の海洋への影響について「おおむね港の中で、(港湾の)外に出ると(放射性物質は)検出限界以下だ」と指摘。その上で田中氏は、「必要があれば、(放射性濃度が)基準値以下のものは海に出すことも検討しなければならないかもしれない」と述べた

また、日本原子力学会の事故調査委員会(委員長、田中知・東京大教授)は2日、東京電力福島第一原発事故で増え続ける汚染水について、放射性物質の除去装置で取り除けないトリチウム(三重水素)は薄めて海に流すべきだとする見解をまとめた。ほかに手はなく、高濃度の放射性物質が漏れるリスクを減らすべきだとしている。この日公表した最終報告書の原案の中で示した

■ 汚染水問題、安倍首相「抜本策講じる」政府が総合対策提示へ

安倍晋三首相は2日午後、官邸で開かれた政府与党連絡会議であいさつし、福島第一原子力発電所の汚染水問題について、国が前面に出て抜本的な対策を講じると強調し、解決に向け早急に基本方針を取りまとめる、と述べた。会議では、菅義偉官房長官が3日の原子力災害対策本部において、政府としての総合対策を提示することを明らかにした。ロイターが伝えた。

NHKによると、安倍総理大臣は2日、総理大臣官邸で開かれた政府与党連絡会議で「今後は東京電力任せにせず、国が前面に出て必要な対策を実行していく。従来のような場当たり的な事後対応ではなく、抜本的な対策を講じる必要がある」と述べた。

公明党の山口那津男代表も「(汚染水漏れは)極めて深刻だ。政府の全面的な取り組みをお願いしたい」と要請した

また菅義偉官房長官は「予備費の活用も含めて、政府としてできるかぎりのことを行うことにしており、関係閣僚会議の設置や国土交通省や農林水産省の職員の応援態勢を組む作業を進めている。原子力災害対策本部で政府としての対策、総合パッケージを提示したい」と述べ、3日にすべての閣僚で作る原子力災害対策本部を開き、政府としての汚染水対策の基本方針を取りまとめる考えを示した

■ 茂木経産相、汚染水対策は「数百億円になる」

茂木敏充経済産業相は2日、BSフジの番組に出演し、東京電力福島第1原発の放射能汚染水漏れ対策の費用について「数百億円になる。(2013年度の)予備費を使って積極的にスタートする」と述べ、国費も投入して作業の前倒しを目指す考えを示した

また、茂木経産相は2日夜、記者団に対して、「緊急性を要する事業、技術的に難しいものについては、国が責任を持ちたい」と述べ、汚染水が海に流出するのを防ぐため、原発の敷地内の地盤を凍らせて壁を作る費用の全額を、国が負担する考えを明らかにし、汚染水から放射性物質を取り除く「多核種除去装置(アルプス)」を拡充する考えも示した

■ 高線量タンク、別箇所から1700ミリシーベルト 汚染水漏えい拡大の恐れ

東電は1日、8月31日に毎時約1800ミリシーベルトの高線量を測定したタンクの反対側で、同約1700ミリシーベルトを確認したと発表した。同じ底部の接合部付近で測定した。東電はこのタンクを含め接合部で高線量が確認された2基の汚染水を、別のタンクに移送する方針。時事ドットコムが伝えた。

東電によると、毎時約1700ミリシーベルトの線量が確認されたのはタンクの北側。31日に同1800ミリシーベルトを確認したタンク南側は、1日は1100ミリシーベルトだった。

福島民報によると、このタンクは鋼板の接合部をボルトでつなぐ方式で組み立てられ、300トンの汚染水が漏れたタンクと同型。ボルト型タンクの安全性が疑われている。

高線量が計測されたタンクは「H3エリア」にある。作業員が1日にタンク北側の底部の接合部を計測したところ、1700ミリシーベルトだった。31日にはタンク南側の底部で1800ミリシーベルトが確認されているが、この日の測定では1100ミリシーベルトだった。

■ 汚染水漏れの見回り、10人から90人に増やして1日4回に

汚染水をためるタンクから水漏れが相次ぎ、極めて高い放射線量が計測されている問題で、東京電力は2日からパトロールの人数を90人に増やし、これまでの倍の1日4回、見回るよう態勢を強化した

パトロール要員を当初の10人から90人に増やし、これらのおよそ300のタンクについて、それぞれこれまでの倍の1日4回、見回るよう態勢を強化。このうち2回は放射線の測定器で調べ、高い放射線量が計測された場合、タンクに近づいて詳しく調べるとしている。

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