「25年で半分が沈んだゴラマラ島」シュールな写真集

2009年には、それまでの25年間で島の半分が消失し、人口の3分の2がほかの土地に移り住む必要に迫られていると報道された(リンク先によると、年間3.12mmと、ほかの地方より急速な海面上昇と、近年多発しているサイクロンによる高波で海岸が激しく侵食されており、面積は25年前の9平方kmから4.7平方kmに減少した。動画はこちら)。

インド、西ベンガル州のデルタ地帯にあるゴラマラ島は、気候変動による海面上昇の影響を受けて、海に飲み込まれようとしている。

2009年には、それまでの25年間で島の半分が消失し、人口の3分の2がほかの土地に移り住む必要に迫られていると報道された(リンク先によると、年間3.12mmと、ほかの地方より急速な海面上昇と、近年多発しているサイクロンによる高波で海岸が激しく侵食されており、面積は25年前の9平方kmから4.7平方kmに減少した。動画はこちら)。

写真家のテソン・リー氏は、ゴラマラ島で今も生活を続ける人々を撮影している。

リー氏が2011年に発表した作品シリーズ「消え行くゴラマラ島の岸辺にて(On The Shore of a Vanishing Island, Ghoramara)」では、広がり続ける海に囲まれながら、残された島の大地に立つ農民や漁師たちの姿がとらえられている。現実離れしていて、心に強い印象を与えるこれらの写真は、自然現象が引き起こした悲劇の記録というより、シュールレアリズムの芸術作品のようだ。

リー氏は米ハフィントン・ポストに対して、電子メールで次のように語ってくれた。「海面の上昇によって、この島が次第に失われていった形跡が見て取れる。侵食によってむき出しになった植物の根は、この土地の人々の暮らしに基盤がないことを物語っているようだ。島の歴史は海に飲み込まれ、これから先のことは誰にもわからない」

リー氏が聞いた役人の話によれば、インド政府はこの島への財政的な援助は行わず、この地区をあきらめて、住民をほかの場所に移そうとしているという。

リー氏は2008年から、地球規模で進む環境の変化を作品によって見せようとしている。「World Photo」の取材に対し、リー氏は「(西洋世界に住む)私たちは、沈没しかけた船の上で、より多くの富を得ようと議論しているようなものだ」と語っている。「私たちの生活スタイルが、世界の誰かの生活を壊すものになりかねないという事実に気付いてほしい」

リー氏は電子メールでこう書いている。「彼らの生まれた島はある日、記憶のなかにしか存在しなくなるかもしれない」

[Priscilla Frank(English) 日本語版:兵藤説子/ガリレオ)]

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