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世界初のヒーローファンタジー系バレエ漫画が話題のバレエ男子雑誌「ダンシン」創刊

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DANCING
猪谷千香
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草食男子、メガネ男子、料理男子……さまざまな男子ブームが到来してきたが、次に来るのは華麗に踊る「バレエ男子」かもしれない。「ダンスマガジン」などで知られる出版社「新書館」(東京都文京区)が新たなバレエ雑誌「ダンシン」を8月に創刊した。ターゲットは、バレエを習っている12歳前後の「バレエ男子」たち。世界的な男性バレエダンサー、熊川哲也さんのインタビューやテクニック解説などを掲載、男子でも手に取りやすいスポーツ誌のようなクールなデザインになっている。中でも注目を集めているのが、足立たかふみさんの新連載漫画「ダンの冒険」だ。英国ロイヤル・バレエのプリンシパル、スティーヴン・マクレイさんがモデルという、(恐らく)世界初となるヒーローファンタジー系バレエ漫画が新しい風を吹き込んでいる。

■踊る男の子たちが増えている?

新書館は現在、バレエを習っている層に向けた雑誌として、大人の女性がターゲットの「クロワゼ」と小学生から中学生の女の子がメインの「クララ」の2誌を発刊しているが、「『ダンシン』はずっとやりたいと思っていた企画でした」とバレエ男子雑誌の創刊理由を阿部さや子編集長は語る。
「女子に比べてまだ数は少ないものの、バレエを習い始める男子が増えています。大きなバレエ学校だけでなく、町の小さなバレエ教室でもボーイズクラスを設けるところが出てきている。中学校でダンスが必修科目になり、男の子も人前で踊ることに対する抵抗感が薄れてきたのではないでしょうか」

また、バレエはすべてのダンスの基本ともいわれる。「バレエは男子にとっては特殊に思えるかもしれませんが、ヒップホップなどストリート系のダンスでも、バレエを素地にしていると回転したり、飛んだりする時の安定性が違います。ストリート系ダンスで人気のあるTAKAHIRO(上野隆博)さんも、スキルアップの中でバレエを取り入れていました。そうした男子バレエの広がりを感じています」

その一方で、「バレエを習う男の子を増やしたい」とのねらいもあるという。「バレエは、男性と女性がそろって初めて美しく、ロマンティックなものが生まれますが、男女の人口差が大きく、バレエ・カンパニーも男性ダンサーを求めています。バレエ人口は65万人ともいわれていますが、感覚的に男性は1割にも満たないと思います。しかし、こうした雑誌が出るのは大きなことだと思いますので、バレエの世界で私達も何かできれば」

■華麗なステップで敵を倒すバレエ漫画

「ダンシン」の編集方針は、あくまでも男子を向いている。「男の子には男の子に必要な情報があるので、女の子向けの『クララ』の延長線にはならないよう気をつけて、できるだけクールに男の子らしく編集しています」
創刊号では、男性ならではのダイナミックな技を写真やDVDで紹介、具体的な練習法や注意するポイントなどが丁寧に解説されている。ただし、ターゲットの読者層が成長段階にある年代ということもあり、「テクニックは、男の子の興味の中心です。熊川哲也さんが高くジャンプする姿に魅力を感じる男の子もいます。ただ、健康的な成長が大事なので、そこは慎重に伝えていきたいところです」と話す。

そして、男の子向け雑誌で忘れてならないのが、ヒーローファンタジー漫画だ。連載がスタートした足立さんの「ダンの冒険」には、英国ロイヤル・バレエのプリンシパル、スティーヴン・マクレイがモデルとなったキャラクターが登場。バレエスクールに通う主人公の少年、ダンの憧れる「マクレイ先輩」として、ダンとともに「バレエヒーロー」に変身して邪悪な敵と戦うというストーリーとなっている。
普通のヒーローファンタジーと違うのは、「バレエヒーロー」が無粋な武器ではなく、華麗なステップを繰り出し、感動的なダンスの力で敵を倒すところ。技も「ランヴェルセ」や「クペ・ジュテ・アン・トゥールナン」など実際のテクニックが採用され、きちんと解説もされている。

dancing
©Takafumi Adachi / Shinshokan Dancin'

この漫画は、もともとバレエファンだった足立さんが、公演のために来日していたマクレイさんと出会ったことから始まったという。「マクレイさんが日本のアニメや漫画を大好きだったこともあり、この企画が生まれました。漫画にどういうステップを入れるか考え、彼自身が飛んで撮影した写真を送ってくれて、足立さんがそれをもとに作画するなど、お二人の密な連携によって作られています。日本には、バレエを描いた少女漫画の名作は多いですが、ヒーローファンタジー漫画というのがユニークです。これはマクレイさんご自身の希望でもありました」

マクレイさんは「ダンシン」の誌上インタビューで、子供時代に「セーラームーン」の放送を見てクオリティの高さに驚き、「いつかバレエをマンガにできたら」と考えるようになったことを明かしている。また、自伝的漫画ではなく、ヒーローファンタジーものを選んだ理由に、男性ダンサーのステップには見る者を圧倒させる「マジカルな力がある」と語っている。
  
この前代未聞だらけのバレエ男子雑誌は、TwitterやFacebookなどネットで広がり、「予想以上の反響でした。滑り出しとしては好調です」と阿部編集長は手応えを感じている。「取材をしていて思うのは、男の子がバレエを楽しく続けていくために必要なのは、一緒にがんばる男の子ということ。でも、地方などはバレエ教室に男の子が一人ということもあります。『ダンシン』自身が、一緒にがんばる男の子のような存在になりたいです」
「ダンシン」は季刊で、11月5日に2号が発売予定だ。

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