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魚の水銀汚染、起源は石炭火力発電所

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『Nature Geoscience』誌に発表された最新の研究によると、太平洋で生息する魚に含まれる水銀の濃度上昇には、中国やインドの火力発電所が関連している可能性がある。

『ロサンゼルス・タイムズ』紙の報道によると、ミシガン大学ハワイ大学の科学者らは、(北太平洋亜熱帯循環に生息する9種の魚について、体内に含まれる水銀の化学的な「痕跡」を追跡したという。

この海域は、地球上最大の生態系であると同時に、太平洋ゴミベルト(北太平洋の中央に、プラスチック片などの莫大な海洋ごみが蓄積する場所)がある海域でもある。

同研究では、魚の水銀汚染の主な起源は、石炭火力発電所から大気中に排出された水銀だとしている。大気中に排出された水銀は風によって海洋の上空を数千キロ移動し、雨と一緒に海に注がれ、その海域に蓄積されていく。浅い水域にある水銀の大半は、太陽光による化学反応で無害化するが、深水域に生息するバクテリアは、水銀をメチル水銀(有機水銀化合物)に変化させるのだという。

このメチル水銀という物質は毒性が強く、動物の細胞内に蓄積する。その結果、マグロやメカジキなど、深い水域に生息する魚の体内には、浅水域の魚と比べて、はるかに高濃度の有毒な水銀が含まれることになる。

有機水銀の危険性は、1956年に日本の水俣市で2000人以上(行政に公式認定された患者数)が被害に遭った時に明らかになった。これは、化学会社が産業排水の中に高濃度のメチル水銀を漏出させたことが原因だった。異常行動を起こすネコや、空から落下する鳥などが見られ、周囲の水域では水面上に魚の死骸が浮いた。周辺住民の中には、痙攣を起こしたり、運動機能や認知機能が損なわれるなどといった症状を出す者が現れた。

水俣病は重度の水銀中毒が原因だったが、米食品医療品局(FDA)は現在でも、魚による水銀の過剰摂取を(特に子供と妊婦に関して)警告している

「Biodiversity Research Institute」等による最新の報告(PDF)によると、世界の多数の魚の水銀濃度はすでに危険なレベルにあり、今後その数値はさらに上昇すると予測されている。同報告書は、日本とウルグアイのサンプルについては、水銀汚染が米国環境保護庁(EPA)基準よりかなり高いと指摘している。また、日本を含む8カ国のヒトの毛髪サンプルのうち、82%以上が、EPA基準(1ppm)を超えているという

北太平洋の魚の水銀汚染は、アジアの石炭火力発電所からの排出が原因となっていると見られる。中国とインドには現在非常に多くの石炭火力発電所があり、アジア全体の水銀排出量は、地球全体の50%近くを占めている。火力発電所の排出基準を厳しくして水銀排出を抑制させた欧州諸国(大西洋)の魚では、水銀濃度が低下していることも指摘されている

世界資源研究所調査によると、世界全体で今後建設が予定されている石炭火力発電所の数は1100機にのぼり、そのうち76%が中国とインドで建設されるという。

なお、地元紙『Civil Beat』の記事によると、米ハワイ州では商業的漁業による年間売り上げがおよそ5億ドル。1万1000人が漁業関連に就業し、世界中に海産物を輸出している。また同州は、娯楽目的の漁業でも約7億ドルを売り上げている。消費者としては、自分が食べるものを自分で注意するほかないだろう。

環境保護団体の「National Resources Defense Council」はさまざまな魚類について、含まれる水銀濃度のデータとともに、魚の消費方法についてのガイドラインを公表している。(日本の厚生省等が2003年に発表したガイドラインはこちら(PDF))

[Gabriela Aoun(English) 日本語版:丸山佳伸、合原弘子/ガリレオ]

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