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女性が「官能」をサプリメントにする時代 大人の女性のための恋愛小説「フルール」創刊

2013年09月20日 17時30分 JST | 更新 2013年09月27日 01時07分 JST
MEDIA FACTORY

2013年、大人の女性のための「官能」の世界が注目されている。

今年3月に、「TENGA」から発売された女性用セルフケアアイテム「iroha」は、発売後すぐに品切れとなり1ヶ月以上の欠品が続く大人気商品に。2013年上半期のAmazonの売上げランキングでも「ローター」部門の1位と2位を独占した。

また、女性向けのAVレーベル「SILK LABO」の作品も話題だ。エロメンと称される人気AV男優・一徹さんの出演DVDは、3000本売れればヒットとされるAV業界において、1万枚を超える大ヒットとなっている。

毎年『anan』のSEX特集は話題となるが、今年は『CanCam』『InRed』などをはじめとるする、さまざま女性誌で「官能」が特集されている。

そんななか、大人の女性のためのエロティックな恋愛小説レーベル「フルール」(メディアファクトリー)が9月13日に創刊された。

■大人の女性のサプリメントに

「鏡越しに向けられた眼差しから目を逸らした時点で、美里の負けだった」

「そういって彼は、私の肌に数えきれないほどのキスを落としていった——」

創刊第一弾の小説、かのこ氏の『欲ばりな首すじ』(写真)には、大人による濃密な恋愛が描かれている。

「フルール」は、女性のためのエロティックな官能小説レーベル。ルージュラインとブルーラインの2つのラインを楽しむことができる。ルージュラインは男女の恋愛、ブルーラインは男同士の恋愛、いわゆるボーイズラブの作品だ。「フルール」編集長の波多野公美さんは、創刊の背景についてこう語る。

「今の女性たちは、仕事に家庭に一生懸命がんばっています。このストレスフルな時代に、明日をがんばるためのサプリメントはどれだけあってもいい。美味しい食事や、新しい洋服は、自分を元気にしてくれるチアアップ・アイテムですが、そのなかに今までエロティックなものはほとんど存在していませんでした。かつての男性と同じように女性が働くようになった今、癒してくれる官能の存在も必要だと感じています」

また波多野さんは、映像やグッズとは違う官能小説の魅力について「小説は文字だけなので、みなさんの頭の中で自由に想像することができます。フルールは、女性が本当に読みたい官能と、読み物としてのクオリティの高さを両立した作品を揃えました。普通の大人の女性が、大好きな小説を読むように、通勤電車のなかでも楽しめるはずです(笑)」と話す。

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■電子書籍やネット販売の普及が、女性の官能の追い風に

フルール創刊を記念し、フルール編集長・波多野公美さん、女性向けのAVレーベル「SILK LABO」のプロデューサー・牧野江里さん、人気AV男優のエロメン・一徹さん3人によるトークイベント(写真)が9月16日、下北沢B&Bで開催された。会場は、20〜40代を中心とした女性で満員。チケットは発売後、3分で完売したという。

トークの冒頭では、世界的にも女性の官能がブームになっていることを紹介。イギリスで発売された女性作家による官能小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』が、大ヒットした『ハリーポッター』や『ダ・ヴィンチ・コード』を超えるベストセラーとなった。全世界で累計6300万部を突破、来年映画化されるこの作品は、ママたちが家で電子書籍を読む「マミーポルノ」と呼ばれ話題となったという。

さらに、スマートフォンや電子書籍が広く普及し、人目を気にせず買えるネット販売が充実したことが追い風となり、女性が気軽に官能を楽しむ環境が整ってきたことに触れた。エロティックなものはなかなか部屋に置いておけないが、ダウンロードした電子書籍や映像作品は、いつでも見たいときに読むことができる。ここ数年の環境の変化も、女性の官能が広まるきっかけになったようだ。

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■女性による女性のための官能。制作スタッフは、すべて女性

また、女性向けAVレーベル「SILK LABO」プロデューサーの牧野さんは「女性のための官能コンテンツは、制作スタッフが女性であることが大事」だと語る。

「女性が望む官能アイテムは、男性が望むそれとは大きな隔たりがあるのが現状です。実際に「SILK LABO」は、制作過程で男性社員と意見がぶつかり合うことも多い。今まで、AVは男性向けのものしかなかったが、女性が本当に望むものを作ったことで、ようやくAVを女性が楽しめるようになりました」

女性向けのAV作品は、男性向けとは異なり、登場人物に感情移入できるように作中のドラマパートをしっかり描かれているのが特徴だ。リアリティがあって自然体を心がけている。観る側も、同じ女性が手がけていることで、抵抗感なく物語に入り込むことができるという。

フルール編集部も、スタッフはすべて女性だ。波多野さんは「今後、“女性による女性のための官能”を「ジョジョカン」として広げていきたい」と話した。 

■女性の官能を表現する、一徹さんの存在

「つき合っている彼がいたとしても、彼は彼で忙しい。疲れて夜遅く帰ってきても彼に甘えるのは難しい……」牧野さんは、そんな働く女性の本音に触れ、そんななかで女性の思い描くファンタジーを体現してくれるAV男優・一徹さん(写真)が現れたことも大きいと分析した。

一徹さんは、女性向けAV人気の火付け役となったイケメン男優だ。4年前、『anan』のSEX特集の付録DVDが話題となり、今やエロメンと呼ばれアイドル的な人気を誇る。今までのAV男優のイメージを覆す親しみやすい雰囲気が魅力だ。

波多野さんも「一徹さんは、普通の男性なのにエロティックな香りを持っていて、私たちに合わせて官能を表現してくれている。いい意味で、女性と男性をつなぐ架け橋のような存在です」と語った。

自身の人気について、一徹さんは「最初は、僕の作品を見た女性がファンになってくれることに驚きました。僕はAV男優ですからね。でも、それだけ女性の方にとって、官能が一般的でカジュアルな存在になってきたんだなと実感しています」と率直な思いを語った。

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イベントに来ていた40代の女性(神奈川県)と30代の女性(東京都)は、夫や彼に、一徹さんのファンであることを伝えているそうだ。最初は「AV男優なんて……」とよく思わなかったそうだが、彼のことを知った今は理解してくれているという。

また東京都の30代の女性は「最近、流産をして落ち込んでいました。妊活のために、病院に通っていてセックスがただの行為になっていたんですが、流産した後、久しぶりにセックスに対して前向きになれました。そんなときに、一徹さんの作品に出会って、夫との妊活が楽しくなったんです」と感謝の思いを口にした。

イベントの終わりに、波多野さんは「海外では、女性が性に対してポジティブであることは普通のことですが、日本の女性は、まだまだオープンであるとはいえません。でも、人間として当たり前のことなので、エロティックなものをナチュラルに取り入れてもらえればいいなと思います」と抱負を語った。

小説や、映像、グッズ……。現代の女性の生き方を反映するように、女性向けの官能アイテムが誕生している。女性の官能は、新しい文化となるだろうか。あなたの意見をお聞かせください。

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