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日本人が傾聴すべきローマ教皇の説法 保守的なままでは伝統文化を守れない

2013年09月24日 16時23分 JST | 更新 2013年09月24日 17時23分 JST
AFP時事

kyokasho

排他的になると逆に伝統文化はダメになる。日本人が傾聴すべきローマ法王の説法

伝統的な価値観を守るためには、新しい価値観を攻撃するのではなく、うまくバランスを取ることがむしろ重要である。ローマ・カトリックのフランシスコ法王が発したメッセージが世界で話題となっている。これはカトリック圏内だけの話ではなく、日本も含め、保守的な価値観と新しい価値観の狭間で揺れる多くの国にあてはまるテーマといえる。

フランシスコ法王は9月18日、自らの出身母体であるイエズス会系の雑誌とのインタビューの中で、カトリック教会は「同性愛や中絶の禁止といった狭量な価値観にこだわりすぎている」と発言した。新しい価値観やグローバリズムに対してもっとバランスを取るよう世界の聖職者に対して求めている。

カトリック教会はこれまで、男尊女卑、中絶の禁止、同性愛の禁止など、伝統的価値観を重視してきた。だが最近はグローバル化の進展に伴ってこうした古い価値観は許容されなくなってきている。これに反発した聖職者が過激な発言をすることも多く、これが信者獲得の妨げになっているとの指摘もあった。フランシスコ法王はこれに対して、もう少し現実的な対応をするようにとのメッセージを発したわけである。

この発言が、進歩的なスタンスの法王から発せられたのであれば話は分かりやすいのだが、そうではないところに意味がある。フランシスコ法王は、カトリック教会の中でもかなりの保守派で、個人的には同性愛を嫌い、男尊女卑の考えが根強い人物といわれている。その保守的な人物が、新しい価値観に対してバランスを取るべきと発言しているのは、このままでは、保守的な価値観が本当に消滅してしまうと危惧しているからである。あえてリベラスなスタンスで外部とのバランスを取る方が、結果的に保守的な価値観を守れると判断しているのだ。

この話は、カトリックの価値観という部分を、日本文化、日本市場、終身雇用、共同体といったキーワードに置き換えれば、そのまま日本にもあてはまるものである。

近年、日本の国力低下が著しくなっていることを背景に、保守的、排他的傾向が強まっているといわれる。フランシスコ法王の言葉を借りれば、感情的にグローバリズム反対、外資反対、TPP反対と叫んでいても、現実は悪化するばかりということになる。

グローバリズムの権化と思われている米国でさえ、本気でグローバリズムを唱えている人は少ない。あくまで交渉の手段としてグローバリズムを持ち込んでいるだけである。国際的な研究機関から出される各種の比較ランキングなどはまさにその典型であり、国際ランキングの結果が不当だと怒る側に回っていては、勝負は最初から負けなのである。

そろそろ日本も、グローバリズム、英語、男女平等、コモディティ化、といったキーワードに対して、道具として淡々と使いこなせるよう成熟していく必要がある。もしかすると、時はすでに遅すぎるのかもしれないが。

【参考記事】

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