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小泉純一郎元首相が「脱原発」発言を加速する理由とは【争点:エネルギー】

2013年09月28日 22時18分 JST | 更新 2013年11月12日 17時28分 JST
時事通信社

小泉純一郎元首相は9月27日、みんなの党の渡辺喜美代表と会談した席で、安倍首相は脱原発のリーダーシップを取るべきだと語った。朝日新聞デジタルが報じた。

小泉氏は「脱原発は政治がリーダーシップを発揮しないと進まない。自分は数十年後には死んでいて、原発のない日本は見られないかも知れないが、それをするのが本物の政治家だ」と語った。また、今年8月にフィンランドを訪れ、高レベル放射性廃棄物を地下に埋めて10万年かけて無毒化する核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察したことに触れて「フィンランドには原発が4基しかないが、日本には50基もある。いますぐ止めないと最終処理が難しくなる」と即時原発ゼロを訴えた。


朝日新聞デジタル「小泉元首相「首相が決めれば脱原発進む」 みんな渡辺氏に即時ゼロを訴え」より。 2013/09/29)

小泉元首相の原発依存度を下げる考えについては、東日本大震災以降、度々報じられている。2011年5月に横須賀市内で特別講演した際には、「自民党政権時代も原発の安全性を信用して推進してきた。過ちがあったと思う」と反省の弁を述べた上で次のように話していた。

小泉元首相は「原発は安全かといえば必ずしもそうではない」との認識を示し、今後の原子力政策については「これからはもう原発をさらに増やすのは無理。原発への依存度を下げ、自然エネルギーの開発促進をしていくべきだ」と持論を展開した。


(カナコロ「「原発の安全性過信」原子力政策で小泉純一郎元首相が自戒の弁/横須賀」より。 2011/05/28)

これが最近、「原発依存度を下げる」という言い回しから「原発ゼロ」へと転換してきた。小泉元首相は最近、人に会うたびに「脱原発」を唱えているとゲンダイネットは報じる。脱原発に転じた理由はテレビ番組だったようだ。

(小泉元首相は)なぜ、自分が「脱原発」を訴えるようになったのか理由も明かした。〈大震災の後、NHKで放送された「10万年後の安全」というドキュメンタリー番組を見たんです。衝撃的だった。自分なりに勉強して、原発はゼロにすべきだという結論にいたった〉

(「小泉元首相がまた安倍批判「汚染水は漏れている!」より。)

10万年後の安全をどう守れるか?」は、フィンランドにある使用済み核燃料の最終処分場「オンカロ」に関する番組だ。放射能の影響が弱まる時間は数万年から10万年と言われ、オンカロは10万年後の安全までを考えて設計・建築されるという。

安倍政権は小泉元首相の発言を、元首相「独自」の考えだとしている。菅義偉官房長官は8月26日の記者会見において「小泉元総理の考え方なのだろうと思う。自民党は選挙公約の中で、安定的なエネルギーを供給すると述べ、政府はその責任がある。原発については世界で最も厳しいレベルの基準が、4月に原子力規制委員会から発表された。私達は安全最優先の中で、原発問題に対応する」と発言していると、ハザードラボが報じている。

原発輸出を進める安倍内閣に対し、なぜ小泉元首相は今のタイミングでこのような発言をするのか。

小泉元首相は2005年、フランスのシラク大統領との間で「エネルギー・環境(特に原子力、核燃料サイクル)の分野においても協力を積極的に推進することを確認」しているため、使用済み核燃料の最終処分場についても、知識があったと考えられるうえ、第1次安倍内閣では小泉元首相が安倍首相を指名したとも言われている。

小泉元首相と慶応大学時代の同窓生で、政治評論家の浅川博忠氏は、最近の小泉元首相の脱原発発言について、次のように話している。

「ある種のメッセージでしょう。福島第一の汚染水の問題に対し、中国・韓国だけでなく、欧米各国も日本政府の姿勢を批判し始めています。このままだと日本は外交的に窮地に陥る。今だからこそ脱原発を前面に打ち出すべきだ—小泉さんはそう言いたいのではないでしょうか」(浅川氏)

(現代ビジネス「フィンランドの「核廃棄物」最終処分場を見に行って 小泉元首相がいま思っていること」より。 2013/09/10)

さて、この発言を、復興担当内閣府政務官に起用されることになった、息子の小泉進次郎衆議院議員はどう判断するのか。

進次郎議員は2011年6月27日に行われた講演のなかで、小泉元首相と同様の発言をしていた。

これまでの日本は、エネルギー=原発の発想でやってきました。「コスト面を考えても、CO2削減の観点からみても原発が一番だ」という論理です。しかし今回の原発事故はその前提をすべてひっくり返しました。どんなにCO2を出さずコストが安くても、安全面に問題があればやはり見直さざるをえません。今後の日本の進むべき道は、原発への依存度を限りなく下げていくと同時に、原発にとって代わる自然再生エネルギーの可能性を追求していく方向だと思います。しかしそのためには太陽光発電だけでは無理で、水力や風力、地熱やバイオ、将来的には海底にあるメタンハイドレートなども必要になってくるでしょう。あらゆるベストミックスを試みるべきです。

(President Online「<脱原発>小泉進次郎、孫正義の大胆提言を斬る【1】」より。2011年9月13日)

しかし、このスピーチの中では、原発について「今日すぐにでもスイッチオフすべきだ」という考え方は取らないとの考えを示している。この発言から2年たった今、進次郎議員はどのように考えているのか。今後の発言に注目したい。

小泉元首相の動きについて、あなたはどのように考えますか。ご意見をお寄せ下さい。

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