消費税増税を前に「税抜き価格表示」 9年半ぶりに復活

10月1日に安倍晋三首相が消費税率引き上げの最終判断をすると言われているが、消費税率の引き上げを見越して、同日から「税抜きの価格表示」が認められることになった。「税抜き価格表示」が解禁されるのは、2004年4月に「値札」や「広告」などで価格を表示する場合には、消費税を含んだ「総額表示」が義務づけられるようになって以来、9年半ぶりだ。
時事通信社

10月1日に安倍晋三首相が消費税率引き上げの最終判断をすると言われているが、消費税率の引き上げを見越して、同日から「税抜きの価格表示」が認められることになった。「税抜き価格表示」が解禁されるのは、2004年4月に「値札」や「広告」などで価格を表示する場合には、消費税を含んだ「総額表示」が義務づけられるようになって以来、9年半ぶりだ。

「税抜き価格表示」が認められることになったのは、「消費税転嫁対策特別措置法」が施行されるため。この法律は現在予定されている消費税率の引き上げが2014年4月1日および、2015年10月1日の2段階にわたるものであることから、主に中小事業者などが消費税を価格へ転嫁しやすい環境を整備していくことを目的に制定されたものだ。

しかし、販売店やメーカーによっては「税抜き価格表示」を採用するかどうかにばらつきがあるようだ。

朝日新聞デジタルによると、下着メーカー「グンゼ」は10月出荷分から順次、値札を「2000円+税」といった「税抜き表示」に切り替えるという。商品の中には、来春以降も店頭に並ぶ予定の物が多く、値札を張り替えるコストを抑えるためだ。

書籍は何年にもわたり販売されるものがあるため、例外的に「税抜き」の表示が認められていた。

日本チェーンストア協会は「税抜き表示」とする方針だ。msn産経ニュースが下記のように報じた。

大手スーパーなど57社でつくる日本チェーンストア協会は20日、税抜きの「本体価格が基本」とする方針を機関決定した。一方、85社が加盟する日本百貨店協会は同日、「各社の判断を制約しない」との原則を明らかにした。

チェーン協は、税抜き表示について「消費税額を明確にし、社会保障充実に協力するため」などと説明した。安値への消費者の期待が強い業態だけに、商品価格自体が値上げされたかのような誤解を避けたいとの思惑もある。食品スーパー100社でつくる日本スーパーマーケット協会も、税抜きの方針を表明済みだ。

(msn産経ニュース「増税後の価格表示バラバラ? スーパーは「税抜きで」 百貨店は「各社が判断」」 2013/9/20 22:17)

また、日テレNEWS24によると、9月24日に経団連・米倉弘昌会長は「税抜き表示」にすべきという見解を示した。「どれだけ税金を払っているかが明らかになるよう表示すべき」と述べたという。

しかし、大手スーパーのイオンとセブン&アイ・ホールディングスは「本体価格と総額の併記」を検討している。また、「税込み」の表示が望ましいとしている業界団体もある。47NEWSによると、日本百貨店協会の井出専務理事は9月20日の記者会見で、「顧客の混乱が少ない」という理由から「税込み」の価格表示にすることが望ましいという見解を示した。加盟企業に求める表示は「縛らないで、(税込みと税抜きの)2本立てになる」と説明したという。

「税抜き価格表示」の解禁によって、

1)「○○○円+税」などの本体価格のみの表示

2)「○○○円(税込○○○円)」などの本体価格と税込み価格の両方併記

3)「○○○円(税込)」などの税込み価格のみの表示

これら3種類の価格表示が混在することになる。

義務化されてから9年が経ち顧客も「税込み価格表示」に慣れていると思われるが、10月1日からは、店舗や商品によって価格表示の仕方が異なるようでは、混乱を招く恐れもあるのではないだろうか。この「税抜き価格表示」も可能となる特別措置は2017年3月31日まで適用される。

※「税抜き価格表示」の解禁について、読者の皆さんはどう思いますか?コメント欄にご意見をお寄せください。

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