「WORK FOR 東北」で被災地への復興人材派遣マッチング 個人の応募もOK【争点:震災復興】

復興庁は10月4日、被災地への人材の派遣を促進する「WORK FOR 東北(復興人材プラットフォーム構築事業)」の取組開始を発表した。被災地が必要とする人材を、企業等から現地に派遣することを目的とした取組みで、人材やニーズに関する情報の集約やマッチングなどを行う。
WORK FOR 東北

復興庁は10月4日、被災地への人材の派遣を促進する「WORK FOR 東北(復興人材プラットフォーム構築事業)」の取組開始を発表した。被災地が必要とする人材を、企業等から現地に派遣することを目的とした取組みで、人材やニーズに関する情報の集約やマッチングなどを行うとする。

震災以降、被災地では復興人材の不足が課題となっている。需要拡大に伴い新規求人数は増加基調にあるが、新規求職者は減り続けており、震災以前の状況を下回っている。このため、復興庁の復興推進委員会は6月5日に発表した中間報告の中で、復興人材プラットフォームの構築に乗り出すことを発表した。

これまで被災地では、全国の自治体からの職員派遣をはじめとした人的支援が行われてきた。しかし、復興のためには専門的な人材も必要となる。そのため復興庁は民間人材を被災地に派遣する仕組みを作り、民間人材の給与等の経費は復興特別交付税によってまかなうことなどの支援を行ってきた。

今回開始された「WORK FOR 東北」は、民間人材活用の動きを加速するものとなる。各自治体から上がってくる人材ニーズを集約することで、派遣が円滑かつ効果的に行われることになる。また、派遣された人材が横の連携を図るためのネットワークづくりにも乗り出す。

WORK FOR 東北では、既に9月7日には企業向けの説明会を実施。味の素やパナソニック、よしもとクリエイティブ・エージェンシーなど、16社が参加したという。

東北復興新聞は、この説明会の様子と企業側のメリットを次のように報じている。

自治体によって違いはあるが、特にプロジェクト・マネジメントのスキルや新規販路の開拓など民間企業が持っているノウハウに対する需要が大きい。双葉町役場の橋本氏は「行政がこれまでに直面したことのない状況だ。ぜひ民間の知見を教えてほしい」と語った。

主催者側から度々強調されていたのは、被災地へ自社の社員を派遣することは復興支援であるとともに、企業と自治体の深い交流を築くきっかけにもなるということだ。また自らのスキルを生かしつつ、ひとりで新たな環境に飛び込みビジネスを行うことは、今後グローバル化が加速する中で活躍できる人材を育成する非常に良い機会となりうる。

(東北復興新聞「復興庁 「WORK FOR 東北」始動 被災地への人材派遣に専門部隊」より。 2013/10/04 15:28)

実際に民間人材として働く人はどのように感じているのだろうか。福島県浪江町に派遣されている陣内一樹さんは、現在担当している復興計画の進行管理の仕事と、派遣前の職場であるNECの事業管理の仕事を比較して下記のように話しているという。

すぐに直面したのは、東京や民間企業との様々な違いでした。以前は目標とするターゲット数字は明確で、実施にあたってはスピード感が強く求められた。ビジネスの判断の多くは数字をベースにできました。

ただしここでの仕事は、進むべき道も明確にしきれないところがあるし、見ている町の未来は5年10年先のもの。コミュニティとしてさまざまな人間関係もあります。どちらが良いというのではなく、文化が違う。一律にビジネスのしくみを持ってくるのではなく、いかに双方がフィットする形で復興を前に進められるのか、大きなチャレンジです。

(WORK FOR 東北「復興人材事例」より。)

WORK FOR 東北では、今後も10月21日に企業向け説明会、10月26日には一般個人向け説明会が決定している。震災から2年半が経過したが、まだまだ復興は始まったばかりだ。「やりがい」を感じるとともに、自己成長にもつながる、そんな仕事に興味を持った人は、是非参加してみてはいかがだろうか。

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