NEWS

「しずる」村上純さんの「ラーメン二郎」を題材にした本が問題に 店の許諾は必要か?

2013年10月07日 00時40分 JST | 更新 2014年06月06日 22時25分 JST
Getty

「しずる」村上さんの「ラーメン本騒動」 店の「許諾」がないと出版できないのか

お笑いコンビ「しずる」の村上純さんが書いた本をめぐって、騒動が起きている。問題になっているのは、9月18日に発売された『人生で大切なことはラーメン二郎に学んだ』(光文社新書)。芸能界きっての「ラーメン通」として知られる村上さんが、東京・三田に本店を置く超人気店「ラーメン二郎」の魅力を紹介するとともに、彼がそこから学んだ人生哲学などを披露する内容だ。

ところがJ-CASTニュースによると、二郎側はこの本の出版を事前に許諾しておらず、現在、出版社側とトラブルになっているのだという。今回のトラブルの詳細はまだ明らかになっていないが、一般的に、本などで実在の店や企業などを大きく取り上げるときには、その店や企業に「許諾」を取る必要があるのだろうか。また、書かれた側がそういった本に対して、何らかの法的措置をとることは可能なのだろうか。著作権にくわしい桑野雄一郎弁護士に聞いた。

●店内の写真撮影をするときは、許可をとったほうがいい

「実在の店舗や企業を取り上げること自体には許可は不要ですが、取材の方法や記事の内容によっては、許可が必要となる場合もあります」

このように桑野弁護士は指摘する。許可が必要になる場合とは?

「店舗の場合について考えてみましょう。取材の方法として問題となるのは、写真撮影です。公道からの外観撮影はともかく、取材目的での店内撮影については、事前の許可を必要としていたり、営業時間中は一切禁止というところもあります。

このような店内での無断の撮影は、損害賠償等が認められる場合は稀でしょうが、違法か、そうでないとしても取材のマナーとしては不適切でしょう。また、名物店長のような有名人の肖像写真の使用については、その人のパブリシティ権侵害となる場合もあります」

●自分の感想や取材結果を文章にしているだけなら、法的な問題になりにくい

では、文章や書籍のタイトルについてはどうだろうか。

「記事の内容としては、自分の感想や自ら取材した事実を記載するのはよいのですが、事実無根の誹謗中傷などは当然NGです。

一方、店舗の名称の書籍や記事のタイトルへの使用については、商標法や不正競争防止法との関係が気になりますが、『スイングジャーナル』事件判決などを踏まえる限り、一般的には問題ないということになるでしょう」

どうやら、本のタイトルや文章で、実在の店舗に言及することは、法律的にはセーフの場合が多いといえそうだ。桑野弁護士も次のように、まとめている。

「店内での無断撮影などをせず、自分の感想や実際の取材結果を記載している限り、マナーとしてはともかく、法的には問題になりにくいと言えます」

今回の本は新書だが、カバーや巻頭にラーメンのカラー写真が掲載されている。また本文中にも、ラーメンや店の外観の白黒写真が挿入されている。それらの写真がどのように撮影されたのかがポイントといえるかもしれない。

弁護士ドットコム トピックス

【関連記事】

【取材協力弁護士】

桑野 雄一郎(くわの・ゆういちろう)弁護士

骨董通り法律事務所。島根大学法科大学院教授。「外国著作権法令集(46)-ロシア編―」(翻訳)、「出版・マンガビジネスの著作権」(以上CRIC)、「著作権侵害の罪の客観的構成要件」(島大法学第54巻第1・2号)等。

事務所名: 骨董通り法律事務所