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中国・南シナ海での動きを日米ASEAN各国が牽制 東アジアサミットで議論要請へ【争点:安全保障】

2013年10月09日 20時20分 JST
時事通信社

南シナ海における中国の動きを東南アジア諸国と連携して足止めさせたい--。

東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の首脳会議への出席のためにブルネイを訪れている安倍首相は、積極的に各国首脳と対談し、南シナ海の領有権をめぐる問題について根回しを図っている。同様に東南アジアを取り込もうとしている中国の李克強首相を牽制したい考えだ。

安倍首相は10月9日、日本とASEAN加盟10カ国による日・ASEAN首脳会議に出席。経済、環境問題などの幅広い分野において、各国と連携を図ることを表明。また、中国と周辺国が対立している南シナ海の状況については、国際法に基づき問題が解決されるべきという考えを示した。

(安倍)首相は安全保障政策で自らが掲げる「積極的平和主義」に関し「地域、国際の平和と安定に、これまで以上に積極的に貢献していく」と表明。集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈見直しや、国連の集団安全保障措置への参加に向けた取り組みに理解を求めた。


首相は、中国とASEANの一部加盟国が領有権を争う南シナ海問題について「力による現状変更の動きを懸念する。国際法に基づき解決されるべきだ」と述べ、平和的解決の重要性を強調した。


(時事ドットコム「安倍首相「積極平和」へ決意表明=日・ASEAN首脳会議」より。 2013/10/09-19:12)

■各国との首脳会談で根回しをする安倍首相

安倍首相は、東南アジア各国首脳との二国間会談も積極的に開催。経済連携を進めるかたわら、海洋安保についても、各国と協力を深めたい考えだ。

9日午前には、安倍首相はブルネイのボルキア国王と会談。ASEANの結束とともに、LNGの輸出とブルネイでの雇用創出への協力について話し合った。

安倍総理大臣が、「LNG=液化天然ガスの安定した供給をお願いしたい。ブルネイが進める産業の多角化と雇用創出に貢献し、再生可能エネルギーや省エネの分野でも日本の技術を生かした協力を進めたい」と述べたのに対し、ボルキア国王は「日本との良好な経済関係を引き続き強化したい」と述べました。


(NHKニュース「首相 ブルネイ国王と会談し連携確認」より。 2013/10/9 15:00)

9日午後には、オーストラリアとニュージーランドの首相と相次いで会談。オーストラリアのアボット首相は、TPPのルールづくりを進めるという考えを示しながら、領有権については法的に解決すべきとの認識を示している。

アボット首相は「(南シナ海における領有権をめぐる)問題については、法による解決が非常に重要だ」と述べ、国際法に基づいて問題の平和的解決を図るべきだという認識で一致しました。また安倍総理大臣は、このあと会談したニュージーランドのキー首相とも、同様の認識で一致しました。


(NHKニュース「首相 南シナ海問題は国際法で解決を」より。 2013/10/09 22:18)

安倍首相は9日夜には、タイのインラック首相、そして、フィリピンのアキノ大統領とも会談し、同様の内容を伝えている。

この他、10月7日にAPECでインドネシアを訪れた際にも、フィリピンやベトナム、インドネシアの首脳と会談。ASEAN全体が一体となって中国に臨むべきという「法の支配」を強調した。ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席との会談については、次のように報じられている。

安倍総理大臣はみずからが掲げる「積極的平和主義」について「地域や国際社会の平和と安定にこれまで以上に貢献していきたい。日本の平和国家としての根幹は不変だ」と述べ、理解を求めました。


そのうえで、安倍総理大臣は南シナ海でのベトナムなどと中国の領有権争いに関連して、「沖縄県の尖閣諸島や南シナ海での力による現状変更の動きを非常に懸念しているが、日本は冷静かつ、きぜんと対応している。南シナ海の問題も、ASEAN=東南アジア諸国連合が一体性を保って臨んでいくことが何よりも重要だ」と述べました。


(NHKニュース「日越首脳 中国は対話と国際法による解決を」より。 2013/10/07 16:50)

■一方、中国は…

一方、中国の李克強首相も9日から東南アジア3カ国を歴訪。中国脅威論を払拭したいとしている。

ブルネイの有力紙、ボルネオ・ブレティンは8日、中国の李克強首相が「自分が嫌なことは他人に対して行わないのが中国の文化的な価値観だ。中国は決して覇権を求めない」と述べたインタビュー記事を掲載した。

(MSN産経ニュース「「決して覇権求めない」 中国首相、ASEANデビュー前に脅威論払拭狙う」より。2013/10/8 18:53)

李克強首相は9日午後に開かれた中・ASEAN首脳会議でも、南シナ海の島々の領有権問題についてはあくまでも当事国間で解決するとし、経済協力を通してASEAN諸国との連携を深めるとしている。

また、中国はロシアを巻き込み、ASEAN諸国や日中米ロなど18カ国による、新たな安全保障対話の枠組みの創設を目指したい考えのようだ。

東アジアサミットを構成する東南アジア諸国連合(ASEAN)や日米中ロなど18カ国による「新たな安全保障対話の枠組み」の創設を、ロシアと中国が共同提案していることが5日、分かった。アジア太平洋地域の安保対話の枠組みとしては既に「ASEAN地域フォーラム」(ARF、27カ国・機構)があり、日本をはじめ各国政府は中ロの真意を測りかねている。


(47NEWS「中ロが新安保対話を提案 アジア対応で思惑一致」より。 2013/10/05 18:17)

一方、東南アジア諸国には、昔からの中国とのつながりがあり、中国との関係を悪化させたくないとの考えもある。

インドネシア、マレーシアに限らず、タイ、ベトナム、シンガポールとASEAN各国ではもともと華人が政治・経済面での力を持っており、実際、多くの首脳が華人だ。


さらに、中国の経済成長で通商面でのつながりは一段と強まり、安易に「反中国」を掲げるわけにはいかない。その一方でほとんどが多民族国家だけに、華人支配に対する他民族の不満は常にくすぶっている。ナジブ首相がブミプトラ政策を維持するのも、こうした事情がある。

(SankeiBiz「【アジアの目】「内なる中国」抱えるASEAN」より。 2013/10/10 05:00)

■注目が集まる10日の「東アジアサミット」

このような中、10日には日本やアメリカなども加わって東アジアサミットが開催される。この会議でも南シナ海での領有権問題をめぐる対応が焦点の一つとなる。

アメリカのケリー国務長官は、この会議のなかで、南シナ海をめぐる領有権争いについても言及予定だという。アメリカはASEAN全体での協議ではなく当事国同士による2カ国間での解決を図ろうとしてきた中国を牽制し、東アジアサミットを通して解決を探るよう促すとみられている。

ケリー長官はブルネイ到着後すぐに行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の冒頭あいさつで、アジアへの「リバランス」という戦略は「継続しており、将来に向けて続く」と強調。米財政をめぐる問題は「政治のある瞬間」に過ぎないという見方を示した。
(中略)


米国は公式な立場は中立としながらも、中国や他の国々に協議を通して解決を探るように圧力をかけてきた。



(ロイター「ケリー米国務長官、中国・東南アジア諸国に領有権問題の協議を要請へ」より。 2013/10/10 00:31)

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