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タバコ、消費増税後に最大20円値上げ 税収は増えるのか【争点:アベノミクス】

2013年10月16日 18時41分 JST | 更新 2013年10月16日 19時15分 JST
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People smoke cigarettes in Tokyo, Japan, on Friday, Dec. 11, 2009. Yoshiyasu Okihira, an analyst at Credit Suisse, said on Dec. 4 he expects the Japanese government to raise tobacco taxes by 40-60 yen a pack after a media report by the Mainichi Daily News. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images

タバコ大手3社は2014年4月の消費増税にあわせて、タバコの価格を最大で20円、値上げする方向で検討していることがわかった。

各社とも引き上げ幅について、1円単位での値上げが難しい自動販売機での販売を踏まえ、銘柄によって(1)据え置き(2)10円(3)20円-の組み合わせを検討する。ただ、「転嫁は(消費税率引き上げ幅の)3%以内にとどめるべきだ」とする財務省に配慮し、大手3社は価格上乗せについては全銘柄の売上高全体で3%以内に抑える方針だ。

(時事ドットコム「消費増税分、一律転嫁見送り=たばこ値上げは総額3%内に-大手各社」より。 2013/10/15 15:44)

タバコ価格のなかには消費税だけでなく、たばこ税などの税金が含まれており、その割合は次のようになっている。

tabaco

このたばこ価格は公共料金の一つとされており、タバコの価格を変更する際は財務省の認可が必要になる。消費税率が上がると、その分、利益を圧迫することになるため、タバコメーカー側は価格を上げたいとしていた。そのため、各メーカーは銘柄ごとの値上げ幅を10月末までに財務省に申請し、来年2月初旬までの認可を目指す。

しかし、「20円値上げ」の報道には、異を唱える人もいる。日本財団会長の笹川陽平氏だ。笹川氏はかつてから「タバコは1,000円にした方が良い」との持論を展開している。1,000円に値上げすると、タバコを吸う人が減ることになり、健康面のメリットがある。しかし、税収は上がるという計算もあるため、国にとっては一石二鳥ではないかという内容だ。

そのため単に消費増税分を価格に反映するだけの20円の値上げは、笹川氏にとっては生ぬるいと映るようだ。各メーカーはかつて、笹川氏の「タバコ1000円論」に対して売上減になると反論していた。笹川氏はその点を指摘し、「虫の良い話」と斬っている。

価格値上げは売上減になると、筆者のたばこ1000円説に(たばこ大手3社は)鋭く反論してきたのにである。結果的に、前回の大幅値上げによってもたばこ会社は大幅利益増となり、税収も増加したことには固く口を閉ざしている。その上、更にたばこ会社だけ値上げしたいという。虫の良い話である。

(笹川陽平氏ブログ『たばこ値上げ20円」―たばこ1000円に―』より。 2013/10/16)

また、みんなの党参議院議員の松沢成文氏も、笹川陽平氏の「タバコ1000円論」を支持しており、日本のタバコは安すぎると批判している。

(笹川)氏の提言を受ける形で設立された「たばこと健康を考える議員連盟」が日本学術会議から聴取した試算では、価格が一○○○円になると喫煙人口が約一四%減り、たばこ消費量が約半分になる一方、税収は六兆円余と四兆円以上の増収になるという。

諸外国と比較してみると、たばこの一箱あたりの価格はドイツが七○○円程度、フランスが八○○円程度、英国やノルウェーでは一○○○円を超えており、海外との比較では日本のたばこの価格はまだまだ安いと言っても過言ではない。

たばこ増税は、このようにたばこ税収を増加させるだけでなく、たばこ消費減によって喫煙率を下げて国民医療費を減少させる可能性が高く、まさに一石二鳥の特効薬なのである。

(松沢成文氏ブログ「たばこ増税は一石二鳥」より。 2013/10/01)

一方、タバコ税増税を「魔女狩り」と指摘していた森永卓郎氏は、健康な人が増えることで長生きする人が増える点を指摘して、2011年に下記のように書いていた。

値上げして販売量は落ちても、1箱あたりの税収は増えるので、たばこ税の税収は減らないかもしれません。しかし、葉タバコ農家や、たばこの葉を巻くライスペーパーの会社など、関連会社の売り上げは落ちる。その分の税収は確実に減ります。

また、喫煙者が減れば医療費も減るというのも間違いです。この20年、喫煙率は劇的に下がっていますが、医療費は減っていません。非喫煙者は喫煙者と比べて寿命が約3・5年長いと言われています。寿命が延びると年金給付額が増える。

(dot.「森永卓郎「タバコ増税は魔女狩り」」より。 2011/10/12 17:38)

医療費が増える点は、東京大学先端科学技術研究センター准教授の菅原琢氏も今年8月に指摘している。菅原氏はたばこ税が地方にとっては記帳な財源になっていることも合わせて指摘しながら、それでもたばこ税の値上げは将来にツケを回す性質があるという。

オーストラリアでは今年8月、たばこ税増税が発表された。今後4年で53億豪ドルの税収がみこまれるが、税収よりも健康増進のほうが目的だという。

政府はタバコ税の引き上げについて、歳入を増やすためではなく、タバコによる健康被害の抑制が目的と説明した。シドニーのロイヤル・プリンス・アルフレッド病院のがんセンターを訪れたラッド首相は、がん患者の約3割が喫煙を原因とするがんを患っており、タバコ被害による死亡者数は年間1万5,000人に上っていると指摘。「喫煙を原因とする病気にかかる医療コストは高く、年間315億豪ドルものコスト負担になっている」と話した。

(NNA「タバコ税さらに引き上げ:今後4年で60%増に[経済]」より。 2013/08/02)

また、今年4月には、アメリカでもたばこ税増税の議論が起こっているが、財政政策の一つとして話が出ているようだ。

アメリカ人の5人に1人は喫煙者なので、オバマのたばこ増税案は「国民の健康問題に多大な効果を発揮する可能性がある」と、好意的に報じるメディアもある。疾病対策センター(CDC)が90年代初めに行った大規模調査によれば、たばこによって発生する医療費や、たばこが原因で起こる生産性の低下などを計算に入れれば、アメリカは毎年、喫煙関連で1930億ドルの出費を強いられていることになるという。

(Newsweek「たばこ増税は財政赤字削減の特効薬?」より。 2013/4/11 14:42)

さて、今後タバコの値上げは、どのように行うべきなのか。税収は本当に増えるのか。あなたの考えをお寄せください。

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