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小学3年生から英語教育、本当に効果あるのか?【争点:教育】

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SHIMOMURA JAPAN
「教育再生実行会議担当室」の看板を掛ける(写真右から)安倍晋三首相、下村博文文部科学相、義家弘介文部科学政務官=1月15日午後、東京都千代田区の文部科学省[代表撮影] | 時事通信社
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文部科学省が、小学校3年生から英語教育を開始する方針を固めた。しかし、小学校3年生から英語を始めても、英語はうまくならない理由があるという人もいる。どうしてだろうか。

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文部科学省は10月23日、小学校3年生から英語教育を開始する方針を固めた。2011年度から公立小学校の5、6年生において必須となっていた「外国語活動」を、正式に教科に格上げする。初等教育の段階からグローバル化に対応した教育を充実することで、世界の中で戦える人材を育成することが狙い。東京オリンピックが開催される年と同じ、2020年までの実施を目指すという。47NEWSが報じた。

 正式な教科でない「外国語活動」として実施している小学校英語の開始時期について、文部科学省が現在の小5から小3に前倒しする方針を固めたことが23日、同省への取材で分かった。3、4年は週1~2回、5、6年は週3回の実施を想定。小5からは教科に格上げし、検定教科書の使用や成績評価も導入する。

(47NEWS「英語教育、小3へ前倒しへ 5、6年は正式教科に」より。 2013/10/23 11:31)

小学校における英語教育は、小学5・6年生で年間35単位の「外国語活動」として2011年度から必修化されているが、歌やゲームなどを通じて、英語に親しむ内容に留まっている。この内容を小学校3年生程度から始めるとし、小学校高学年においては、現在中学校で学習している内容を学ぶことも検討されるようだ。

正式な教科となる5、6年の授業では、基本的な読み書きなど中学校の学習内容を一部取り入れる。主に専門教員が担当するが、担任が指導するケースも。

(MSN産経ニュース「英語教育、小3へ前倒し 5、6年は正式教科に 文科省が方針」より。 2013/10/23 13:20)

グローバル人材の育成に関する議論を行っていた政府の教育再生実行会議は、今年5月28日に「これからの大学教育等の在り方」に関する第三次提言を下村博文・文部科学相に提出。この中で、フランスでは小学校1年生から、ドイツでは小学校3年生から英語教育を開始しているなどの非英語圏諸国の例をあげ、英語教育実施学年の早期化を提言している。

進学塾を運営する「成基コミュニティグループ」代表の佐々木喜一氏は、教育再生実行会議の中で、中国や韓国の英語教育事情と日本の状況を比較し、次のように話している。

学校で学ぶ英語の単語数は、中国は 6,150 語、韓国は 8,200 語、台湾は 5,180 語であるのに、日本は 3,080 語。このままだと日本はグローバル時代に勝っていけない。現状の学習指導要領と TOEFL の内容には大きなギャップがある。特にスピーキングにおいて日本人の TOEFL の点数が低い。日本人に語学力がないとは思わない。小学校低学年から英語学習を始めて、鍛えていくべきである。現在の学習指導要領をベースにしてはダメである。

(「教育再生実行会議(第7回)議事要旨」より。2013/05/08)

下村文部科学相は国内でもすでに、小学校1・2年生から英語教育を実践している研究開発学校が相当数あると述べ、今後、英語学習の早期開始を検証して行くと話していた。

しかし、英語教育開始時期の引き下げについては懸念点も多い。最も多いのが、教員の確保と質に関するものだ。

教員の確保については、東京都三鷹市の貝ノ瀨滋教育委員会委員長は、次のような案を述べている。

義務教育段階では、目標を持たせる、学び方を学ばせる指導が必要で、自尊感情、自己肯定感を育てていくことが基本になる。英語については、小学校高学年からの教科化も可能であり、中学校では一部の授業を英語のみで行うことも考えてよいのではないか。


英語教員の養成については、ネイティブによる英語科目受講を必須とすべき。採用に当たっては、目的に応じて外部試験の活用もいいのではないか。現職の英語教員の研修を充実・強化することが必要。特に優れた教員は国が認定するなど、ノウハウの普及啓発を図るべき。先進的に取り組んでいる高校を国や自治体が指定したり、国際バカロレアの認定校の大幅増加が必要。官民共同で留学基金を創設することも重要。


また、海外の日本人学校等に通う長期滞在者、永住者への教育として、国際人としては良いが、日本人としてのアイデンティティを持ってもらう教育支援も必要ではないか。


英語や理数教育を充実のための専科指導や少人数指導のための教員の加配が必要。英語圏の指導者の活用を促進することが必要。土曜日などの活用により、生きた英語に触れる機会、イングリッシュキャンプなども必要。全国学力テストについても英語を早期に導入すべき。

(「教育再生実行会議(第7回)議事要旨」より。2013/05/08)

貝ノ瀬委員が指摘する、ネイティブ人材の登用については、嘉悦大の高橋洋一教授も指摘している。

教育再生実行会議に有識者として参加した三菱重工業株式会社相談役の佃和夫氏は、教員の確保の手段として「IT活用」もあり得るのではと話している。

産業界の立場から大学教育について意見を述べたい。まず、産業界が学生に期待する能力は、専門課程と一般教養の基礎的能力、タフな精神力、コミュニケーション能力。 まず、総合的なコミュニケーション能力については、スキルとしての語学力、思考力・表現力、リベラルアーツの3つを兼ね備える必要がある。 スキルとしての語学力は、小学校から高校までの間に一定の水準に達することが望まれる。基礎的な英語コミュニケーションは小学校における英語教育を、できればネイティブの外国人教師により週2時間以上実施してはどうか。人の確保が難しければ、IT 活用で出来るだけフェース・トゥ・フェースで行う。


(「教育再生実行会議(第7回)議事要旨」より。2013/05/08)

他にも、英語教育よりもまず日本語の教育が必要なのではないかとする意見もある。高崎経済大学教授の八木秀次は、国際化が進む上で日本語を英語教育にとりいれている国際教養大学の例を紹介した。

日本文化の価値、日本人としてのアイデンティティについて軽視又は否定的に扱ってきた。しかし、国を開いていく中で、これらを初等教育段階から意識的に取り扱わなければ、日本文化への理解が低下し、または日本人としての意識を持たない、アイデンティティ・クライシスに陥ることも予想される。秋田の国際教養大学では、新渡戸稲造の「武士道」を全員に読ませていると聞くが、それが肝の部分。いかに日本語を守るか。日本語の国際的地位を高める言語戦略も必要。


(「教育再生実行会議(第8回)議事要旨」より。 2013/05/22)

文部科学政務官の義家弘介議員は、今年9月に2020年の東京オリンピック開催が決定した後、産経新聞のインタビューで次のように話している。

--東京五輪に向けた政府の取り組みは


「7年後に若者たちが日本を案内、説明できるよう小学校の英語教育を強化していく。海外留学生の増加計画も充実させたい。日本の良さである『おもてなしの心』を外国人に語れるようになってもらいたい」

(「「おもてなし」へ小学校で英語教育強化 義家文科政務官インタビュー」より。 2013/9/14 07:39)

しかし、オリンピックの開催が予定されている2020年に英語教育をはじめたのでは間に合わない。これまでにも、全国に先駆けて一足早く英語教育が始まる地域もあるのではないかとの指摘があったが、さらに早期導入が検討される地域も増えそうだとも考えられる。

一方で押さえておきたいのは地方自治体の動きです。教科化が仮に2021(平成33)年に実施になるとしても、東京都品川区や金沢市などがすでに小1からの英語教育を実施しているように、「教育課程特例校」の指定を受けて特別に英語教育を実施することが可能です。また、文部科学省の調査によると、2013(同25)年度実施の小学校教員の採用選考で英語の実技試験は21都道府県で行われる予定で、毎年増えてきています。2021(同33)年に先駆けて、地方自治体が英語教育施策を積極的に打ち出してくる可能性はあります。保護者のかたは、お住まいの自治体独自の動きにも関心を持っていただくとよいと思います。

(Benesse教育情報サイト「小学校で英語が正式教科となるのか? ‐加藤由美子‐」より。 2013/06/05)

ところが、日本人が英語をなかなか使えない問題は、英語の教育方法に原因があるのではなく、日本の風土が問題になっているのではないかという指摘もある。ブロガーのかさこさんは、海外に留学した日本人が感じた話を次のように紹介している。

「日本では自分の意見をはっきり言うのを嫌う傾向があるから、

英語に限らず、話ができないのだと思います。

先生や上司の言ったことに逆らえない雰囲気。

みんなの意見と同じでなくてはならない雰囲気。

変に目立つことをよしとしない雰囲気。

自分で積極的に発言などせず、周囲の空気を必死に読みながら、

自分はできるだけ目立たないようにして、

上の言ったことには逆らわない、周囲に同調することが当たり前という社会で、長年育ってきたら、いくら英語を勉強しても、自分の意見がない、もしくは自分の意見は言ってはならないと思っているから、話せないのではないか」



同調圧力が強くて、日本では違う意見を言ってはいけないと、彼女が強く感じたのは、中学生の時だった。


(つぶやきかさこ「日本人が英語を話せない本当の原因は同調圧力~留学生の経験から」より。 2013/10/21 22:04)

英語教育の早期開始で、日本人は英語を上手に使えるグローバル人材となり得るのか。足りないものがあるとしたらどのようなものか。あなたの考えをお寄せください。

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