小林りんさん「2週間で子供は変わる」ISAKサマースクール 軽井沢に全寮制の学校をつくる

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LIN KOBAYASHI
ISAK
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2014年の夏、長野県の軽井沢に誕生する新しい学校「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(以下、ISAK=アイザック)」。アジア太平洋地域で幅広く活躍できる、リーダーシップを発揮できる人材の育成を目指すインターナショナルスクールだ。その設立に情熱をそそぐのがISAK設立準備財団代表理事の小林りんさん(写真)。2012年に、世界経済フォーラムのYoung Global Leadersに選出。今年は日経ビジネス「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー2013」やアエラ「日本を立て直す100人」などに選ばれた。前編につづいて、小林さんに理想の学校を形にしていく挑戦に満ちた歩みを聞いた。

■思い描いた大きな夢を、できることから形にする

2007年、アジア太平洋地域で幅広く活躍できる、リーダーシップを発揮できる人材の育成を目指すインターナショナルスクールの設立を決意した小林さんは、フィリピンで仕事をしながら1年間準備を重ね、2008年にユニセフを辞めて帰国。これからというときに、思いがけずリーマンショックが起こり、当初予定していた出資の話もなくなった。文字通り、ゼロからの再出発となったが、小林さんが立ち止まることはなかったという。

「そうはいっても、やはり2008〜2009年は、すごく苦戦しました(笑)。そんなときに『新しい学校をつくる!』と孤軍奮闘している私を見かねた起業家の友だちが、『そんな最初から十何億の話をしてないで、小さくてもいいからできることから形にしてみたら?』って言ってくれたんです。本当にそうだなと思って、まずは理想の教育プログラムを実践、検証するため、サマースクールをやってみることにしたんです」

■サマースクールで実感した、子供たちの成長

こうして始まったサマースクール。何よりの収穫は、なんといっても生徒たちがカリキュラムによって大きな変化を見せたことだったという。生徒の成長を、小林さんはうれしそうに語った。

「一期生のひとりは、アメリカンスクールに通う控えめな子だったんですが、2週間のサマースクールから帰ってきて人が変わったように自信を持っていたそうです。驚くお母さんに彼は『リーダーシップにはいろんなスタイルがあることがわかったよ。僕はいろんな価値観の人たち協業することができる。それを活かしたリーダーシップを発揮できると気づいたんだ』と話したそうです。お母さんは感激していました」

一昨年のサマースクールでは、ヘッドセットをしたおしゃれなミャンマー人の男の子が、クラス発表で「僕は、ミャンマーの平和的な民主化のために一生を捧げる」と壮大な夢を語ったそうだ。隣で聞いていた日本の男の子が、今年の春休みに彼の家に遊びにいき、たまたまアウンサン・スー・チー氏が補欠選挙で勝利した瞬間に居合わせる。勃興していくミャンマーの様子を目の当たりにした彼は「これからはアジアだ。ミャンマーの建設業に携わりたい」と新しい夢を語っているという。

昨年の参加者の中には、チベット難民と公立中学校に通う中国人の生徒がいた。話し合いによって、お互いの立場に対する理解を深め、現実を知ったという。目の前の友人と、共存のあり方を模索していき、現実は、お互い"間"にあるんだということを、自分たちで学んでいったという。

2週間のサマースクールで、友人たちとの授業(写真)や寮生活から学ぶ真の多様性は、机上の議論では教えられないダイナミックさに満ち溢れている。3年間の高校生活がもたらす可能性を期待するには十分だった。

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■プロジェクトが周りの人を巻き込んでいく

「発足後2〜3年経ったあたりから、私の情熱に対してだけではなくプロジェクト自体を応援してくれる人が増えていきました。プロジェクトに協力することで、自分も社会や教育界にインパクトを与えたいというチームや支援者のかたが増えていったんです」

小林さんが語るように、このサマースクールに参加した生徒のお母さんたちが、口コミでISAKを広めてくれるようになった。子供の成長に感動したお母さんたちは、自発的に寄付してくれるようになったという。その理念に共鳴した人がゆっくりと世界中に広がっていったのだ。

また当初は、世界中の学校をまわり優秀な先生をリクルーティングしていたが、最近では先生同士の口コミによって、世界中の先生がサマースクールに応募してくるようになったそうだ。今年のサマースクール最終日に、ISAKへの参加を決意した先生もいたという。アメリカの名門私学の校長を務めていたロデリック・ジェミソン氏を初代校長として招聘。春から日本に移住して、チームとともに開校の準備を進めているという。

サマースクールの成功体験が、国や長野県との調整、校舎の建設など、新しい試みを一つひとつを形する力となった。なかでも、世の中から受ける期待感が高まったきっかけは、東日本大震災だったと小林さんは語る。

「大きく潮目が変わったのは、2011年の3月11日です。この日を境に、親御さんの意識が変わりました。何が起こるかわからない。自分の子供が、日本に限らず世界のどこに行っても強く生き抜いていく力が必要だと、多くのお母さんが直感的に感じたのでしょう。そして個人個人の勝ち負けではなく、社会全体を変えていくリーダーが望まれるようになったことも追い風になりました」

■当事者として「物事を、意志を持って楽観視する」

今年10月末に、長野県から学校法人の認可が下りれば、来月から生徒募集を開始する。いよいよ、来年から新しい学び舎で3年間を過ごす生徒たちが決まることになる。

小林さんは、今までのキャリアや人脈を、すべてこのプロジェクトに集約させて情熱を注ぐ。小林さんの持つしなやかな強さは、多くの人が関わるISAKのプロジェクトを押し進める原動力となっている。「当初から支援してくれた人たちも『雑草のような子だから』と、思いや信念を認めてくれてましたね」と小林さんはスタート時を振り返る。

「20代のときに働いていた国際協力銀行は統合してJICAになったんですが、そのときの仲間が、今JICAで各国の次長をしていて生徒募集に協力してくれています。今までのお世話になった人たちに、またお世話になっています(笑)。この5年間、無給で働いてきたので、夫には全面的にサポートしてもらいました。本当に感謝しています」と、感謝の思いを口にする。

「私の座右の銘は、フランスの哲学者アランの『幸福論』という本にある「悲観は気分に属するけれども、楽観は意志である」という言葉です。新しいことにチャレンジするときには、リスクが付き物です。でも、それでおろおろするのは、気分。その先に楽観できる未来があるかどうかは、自分が当事者としてどうアクションするかにかかっているんです」

「同じ事象をみて、チャンスだと思う人とリスクだと思う人がいますが、楽観できる未来は自分の手にかかっている。まわりのせいとか社会のせいではなくて、ぜひ若い人には当事者意識をもって人生に挑んでいってほしいですね」小林さんは、若者たちにエールを送る。

「これからの時代は、世界の人口やGDPの半分をアジアが占めるようになります。今までのような一極集中のリーダーシップではなく、いろんな価値観を受け入れながら協業していくリーダーシップのあり方がますます大事になっていく。これは、アジア人が得意な分野だと思います」

「Are you ready to change the world?(世界を変えてみませんか?)」

ビデオを通じて、ISAKは子供たちに問いかける。軽井沢のインターナショナルスクール設立を通じて、自ら変革を起こす小林さん。その背中を追って、いつか学校を巣立った子供たちが、チェンジメーカーとなって世界を変えていく日が来るだろう。

※軽井沢にグローバル教育を目指すインターナショナルスクールが誕生します。このサマースクールの取り組みや、開校に向けた歩みについて、どう思いますか? あなたの意見をお聞かせください。

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