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【産業競争力強化法案】「儲からないなら事業撤退せよ」経産省が産業界にプレッシャーをかける法案とは?

2013年10月27日 21時57分 JST
jiji

kyokasho

経済産業省がこのタイミングで国家統制色の強い法案を出してくる背景とは?

政府が秋の臨時国会に提出する産業競争力強化法案は、政府主導でリストラやM&Aを推進したり、特定企業に対して規制を免除するという、国家統制色が極めて強い内容となっている。この法案を作成したのは経済産業省だが、同省がこのタイミングで国家統制色の強い法案を前面に押し出してきた背景には、経産官僚の日本の産業界に対する強い苛立ちがある。

産業競争力強化法案には、政府主導による事業再編の実施が盛り込まれている。

法案では、政府が企業の事業再編や不採算事業からの撤退などを促進すると明記する一方、事業者に対しても、経営改革や生産性の向上を義務づける内容となっている。業界ごとに目標とする生産性水準などを政府が目標設定し、それに合致する事業再編計画に対しては政府が支援を行うとしている。

だが支援内容は登録免許税の減免など軽微なものであり、こうした優遇措置がこの法案の趣旨ではない。本当の目的は、政府が目標を設定し、事業者に合理化を実施するようプレッシャーをかけることにある。

経済産業省(旧通商産業省)は戦後一貫して、政府主導の産業政策を提唱してきたが、その結果はあまり芳しいものではなかった。通産省主導の国家プロジェクトは多くが失敗に終わっている。だが1990年代に入り、同省は市場メカニズムを軸に企業の競争を促進する、抽象度の高い政策に方針を転換、ベンチャー投資に関する法体系を整備するなど一定の成果を上げた。また企業に対しては、市場原理を軸にした事業再編や新規事業への参入を促すようになった。

マクロ経済的に見ても日本の産業界の設備過剰は明らかであり、企業は事業再編やリストラでこの状態を解消する必要に迫られている(同法案にも供給過剰状態を解消することが必要とストレートに明記されている)。しかし長年、官庁主導の護送船団方式に慣れきった日本の産業界は、こうした自主的な経営改革を頑なに拒んできた。

経産省は電機業界などに対して何度か大規模なリストラやM&Aを実行するよう非公式に打診してきたが、企業側の抵抗によってほとんど実現していない。

経産官僚には、このままでは日本の製造業の競争力は低下するばかりという苛立ちが募っていた。安倍政権になり、首相秘書官が経済産業省であるという好条件も重なり、同省主導の法案提出が実現したというわけである。

日本の産業界がだらしないという経産官僚の苛立ちは正論ではあるのだが、仮にそれが本当だとすると、そのようなアニマルスピリットを失った産業界を作ってきたのは、ほかならぬ護送船団方式を主導してきた経産省自身である。政府主導の業界再編は経産官僚の八つ当たりにも見えなくない。一方、公務員の処遇ばかりが優遇される中、民間だけがリストラという痛みを背負うのはゴメンだという民間側の意識も理解できる。このような状態こそが、まさに日本の構造的問題といってよいだろう。

いずれにせよ、日本の産業界が自律的に供給過剰状態を解消する意思と能力に乏しいのは明らかであり、そうなってしまう何らかの原因が存在している。この根本原因を取り除かないことには、いくら政府主導で業界再編を実現したところで、本当の意味での競争力回復は実現しないだろう。

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