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「休暇無制限」何日休みをとってもOKという制度の「甘い罠」【争点:雇用】

2013年11月03日 14時28分 JST | 更新 2013年11月03日 14時28分 JST
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「休暇無制限」の会社がアメリカで増加中!? 日本でも広がるか?

休暇を何日取ってもいい――。そんな夢のような会社が、アメリカにはあるという。CNNによると、「仕事さえきちんとできるなら、どんな働き方をしても良い」という考えで、優秀な人材を集め、労働意欲を高める方策だという。まだ導入している企業は1%以下だが、スタートアップベンチャー企業などに徐々に広がっているようだ。

だが、この考えは、裏を返すと「仕事がきちんとできないなら、どんな働き方をしてもダメ」という考え方につながる。アメリカでも「職を失うプレッシャーから、逆に全く休めなくなる」とする声もあるそうだ。メリットもデメリットもありそうな「休暇無制限」制度だが、日本の会社で導入されることはあり得るのだろうか。労働法にくわしい波多野進弁護士に聞いた。

●「休暇無制限」が機能するのは極めて限られた場面だけ

「休暇無制限制度が本当に機能するのは、仕事に費やした時間は問われず、結果が全てで、しかもその成果を客観的に計ることができる、という極めて限られた職種だけだと思われます」

波多野弁護士はこのように指摘し、「休暇無制限は、裏を返せば、結果が出るまでは労働が無制限ということにつながりかねません」と懸念を示す。

「日本の企業では通常、業務量と納期を決定するのは企業側です。従業員自身が、業務量と納期を決められる、という状況はかなり希有だと思われます。

現実には多くの企業で、《時間外労働や休日労働を前提とした納期・業務量》が設定され、従業員はそれに従うしかない、というケースばかりでしょう」

波多野弁護士が言うとおり、この制度を上手く使いこなせるのは、従業員一人ひとりが相当な権限・能力・交渉力を備えており、マネージャーの調整能力も文句の付け所がないというような職場だけかもしれない。

「山のような仕事と締め切りに追われる労働者に『休暇無制限』といったところで、休むどころか逆に休めなくなる危険性の方が高いのではないでしょうか。現代の日本においてはむしろ、法の枠組みをないがしろにし、労働基準法の趣旨に反する事態を生みかねない制度だと思います」

波多野弁護士はこのように悲観的な見方を示している。確かに、「実際には消化できない休暇」をいくら与えられても意味がない。むしろ休暇に限度があったとしても、無理なく働き、約束通りの報酬をもらえるほうが、ずっと労働者にやさしいと言えそうだ。

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【取材協力弁護士】

波多野 進(はたの・すすむ)弁護士

弁護士登録以来10年以上、過労死・過労自殺(自死)・労災事故事件(労災・労災民事賠償)や解雇や残業代にまつわる事件に数多く取り組んできている。

事務所名: 同心法律事務所

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