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産業競争力強化法案は「劇薬」となるのか? 安倍政権の成長戦略の柱

2013年11月10日 01時17分 JST | 更新 2013年11月10日 01時21分 JST
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安倍政権が成立を目指す「産業競争力強化法案」 問題点はないのか?

安倍政権が成長戦略の柱と位置づける「産業競争力強化法案」が10月下旬、衆議院本会議で審議入りした。企業再編や設備投資の促進を通じて、企業の競争力を高めることが目的とされている。

法案には、企業単位で規制緩和を特例的に適用する「企業版特区」制度の導入や、「産業の新陳代謝」を加速させるため、政府主導での事業再編の促進やベンチャー支援などが盛り込まれているという。

この「産業競争力強化法案」を弁護士はどう見ているのだろうか。企業法務にくわしい舛田雅彦弁護士に聞いた。

●これまで以上に「自己責任」が強調される社会になる!?

「産業競争力強化法の中心に据えられている規制緩和は、積極的事業展開を目指す企業の足かせを外すことで、産業の成長を加速化します。

しかし反面、規制によって守られていた消費者や労働者などに対する保護が弱くなり、これまで以上に自己責任が強調される社会になってしまう可能性があります」

舛田弁護士はこう指摘する。産業が成長するというメリットの反面、消費者・労働者保護という観点からは、それがマイナスに働く場面も出てくるようだ。

「また、この法律は、競争力の低下している事業分野においては、企業再編や事業からの撤退を促すことも目的としています。そのため、それらの事業分野に従事している人たちが廃業や転職を迫られることになるという、痛みを伴う改革でもあります」

そうなると、競争力が低い分野では、廃業や転職を余儀なくされる人が出てくることになるだろう。政府の方向性に、問題はないのだろうか。

「国家における限られた人的・物的資源を、停滞している事業分野から成長が見込める事業分野にシフトするよう誘導して、国全体の競争力を強化するという方向性は間違っていないと考えています。ただし、やり方を誤ると、格差拡大などの副作用を招く恐れのある『劇薬』になりかねないということも認識しておく必要があるでしょう」

舛田弁護士はこのように警鐘を鳴らしていた。

一言に「新陳代謝を加速」といっても、どんな産業を保護し、どの規制を撤廃していくのかという判断は一筋縄ではいかないだろう。政治的な影響力の大きい一部の業界だけに有利な改革とならないよう、国民はその一挙手一投足をしっかりと監視していく必要があると言えそうだ。

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【取材協力弁護士】

舛田 雅彦(ますだ・まさひこ)弁護士

札幌弁護士会・司法修習委員会委員長、日本弁護士連合会・司法修習委員会副委員長、札幌弁護士会・会館問題検討プロジェクトチーム座長、札幌弁護士会・財務労務委員会委員

事務所名: 札幌総合法律事務所

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