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ドイツ人容疑者を「善意」で助けた住民に罪はあるか

2013年12月01日 23時29分 JST | 更新 2014年06月18日 14時23分 JST
時事通信社

ドイツ人容疑者の逃走を「善意」で助けた住民たち 「罪」に問われる可能性はあるか?

仙台の警察署に逮捕されたドイツ人容疑者が逃げだし、住民の「手助け」を受けながら、丸一日以上にわたって逃亡を続けたという事件が起きた。報道によると、この容疑者は11月13日に仙台中央署から逃走。その翌日、自ら出頭して身柄を確保されたが、逃走中は住民に助けられながら、身を隠していたようだ。

たとえば、たまたま通りかかった車の運転手は、道端で手を上げる容疑者を乗せ、約11キロ離れた場所まで運んだという。また、寒そうにしている容疑者に服を貸したという住民もいたようで、シャツとジャージに裸足で逃げ出した容疑者は出頭時、上下のスーツを着て、野球用のスパイクを履いていたそうだ。

たしかに、寒空のもと、困っている人を助けたくなるのは、自然な気持ちだろう。しかし、そういった「善意」が、結果的に容疑者の逃走を支えてしまっていたという場合、助けた人が何かの罪に問われる可能性もあるのだろうか。仙台市で開業する高橋善由記弁護士に聞いた。

●逮捕された容疑者の逃走を助ければ「逃走援助罪」になる?

「法令により拘禁された者(逮捕・勾留されている人、刑務所に服役している人、少年院に収容されている人など)を逃走させる目的で、器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした場合、『逃走援助罪』となり、3年以下の懲役に処せられることになります(刑法100条1項)」

高橋弁護士はまず、このように説明する。逮捕中の容疑者が逃亡するのを助ければ、「逃走援助罪」に問われる可能性があるということだ。今回のようなケースも問題となるのだろうか?

「逃走援助罪は『故意犯』といって、対象の人が法令により拘禁された者であることを知っていることが要件です。また、条文の通り、その人を『逃走させる目的』も要件となっています。

したがって、車に乗せるなど、拘禁から逃げだした人を援助するような行為をしても、逃走援助罪が成立するのは、(1)その人が拘禁中と知ったうえで、(2)その人を逃走させる目的があった場合に限られます。

今回のように車に乗せたり服を貸したりしても、対象者が脱走した容疑者であることを知らなかったり、逃走を手助けする目的がない場合、逃走援助罪には問われません」

高橋弁護士はこのように解説してくれた。つまりは「善意」の人助けで処罰される心配はないということで、ほっと一息というところだろう。

なお、今回の逃亡劇をめぐっては、逃亡時に容疑者を見張っていた警察官が実習中の新人巡査だけだったなどとして、警察の管理体制を見直す必要性も指摘されているようだ。

【取材協力弁護士】

高橋 善由記(たかはし・よしゆき)弁護士

1972年宮城県仙台市生まれ。2002年弁護士登録(仙台弁護士会)。地元仙台で、離婚問題、交通事故等で困っている方々のサポートに力を入れており、月に30件以上の相談を受けている。

事務所名: 高橋善由記法律事務所

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