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公述人たった3人 特定秘密保護法案の「地方公聴会」野党は共産だけ

2013年12月04日 18時50分 JST | 更新 2014年02月06日 01時59分 JST
Taichiro Yoshino

自民・公明両党は12月4日午後、特定秘密保護法案に関する参院国家安全保障特別委員会の地方公聴会を、さいたま市内の結婚式場で開いた。法案に反対する民主、社民に加え、衆院で法案修正で合意した維新、みんなも欠席する異例の公聴会となった。

与党は公聴会を開催したことで手続きを踏まえ、幅広く意見を聞いて審議を尽くしたとして5日の特別委員会で採決し、6日の臨時国会最終日までに本会議で可決・成立させる構えだが、野党は特別委員会の中川雅治委員長(自民)の解任動議や森雅子・同法案担当大臣の問責決議案などを検討しており、最終日までに成立するかは予断を許さない。

公聴会は午後3時半すぎから、さいたま市の大宮駅近くの「ラフォーレ清水園」で、自民・公明と共産の3党が出席して始まった。3党から推薦された公述人が1人ずつ出席し、10分ずつの持ち時間で法案への意見を述べた。45席の傍聴席は事前に各政党から案内状を受け取った人が入場できる仕組みになっており、約30人が出席した。

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公聴会に出席した公述人。左から川上幸則氏、伊東寛氏、山崎徹氏

■「外国との情報共有に枠組み必要」

最初に自民推薦の川上幸則・前陸上自衛隊化学学校長が賛成の立場から陳述した。「陸自化学学校は、化学兵器からの防護と、地下鉄サリン事件のような化学テロ対策のための特定物質製造を許可されている。米英との間で防護の研究がまさに行われており、ギブアンドテークの関係。相手国との情報共有に枠組みがなければ相手国もギブはしてくれない。今までは隊員の守秘義務で管理されてきたが、今後本当に守っていけるかは何の保障もない。外国との関係においても枠組みは必要」と訴えた。

■「秘密の共有のために信頼得ないと」

続いて公明推薦の伊東寛・サイバーセキュリティー研究所長が、民間企業などのセキュリティーの専門家として、以下のように話した。

「現実、日本は大変な状況にある。誰がやったのか、そもそもやっているのかも分からず、やられていてもみんな言いたがらない。我が国の対策が遅れている原因でもある。侵入されて1年以上気づかない企業がたくさんある。いちばん問題なのは、恥ずかしい情報が漏れると株価が下がるので箝口令が引かれ、国全体で対策が取られていない。国の機関が情報共有してアラートする仕組みはあるが、企業から見ればそこから漏れてしまうのではないかと恐れている。秘密を共有するためには心から信頼できないといけない。

もし外国の政府が日本との関係で必要な情報だと思ったとしても、私たちの国が秘密を守れないと思ったら渡してくれるだろうか。この法案はぜひ進めていきたいし、むしろ遅すぎたのではないか。よく審議して通して頂きたいというのが専門家としての観点。

気になっている点についてお話ししたい。罰則10年以下というのは軽すぎる。国の安全保障ですよ。もう一つはチェック機能。確かに行政がこの仕組みを作るのは絶対必要で、行政の中でチェックがクローズするように感じられる。国会や裁判所もチェックをかけるべきではないか。では国会や裁判官の信頼はどうするのかは入ってないので、今後検討する必要があるのではないか」

■「知る権利を根こそぎ奪う」

公述人の最後は共産推薦の山崎徹・元埼玉弁護士会副会長が反対の立場から意見陳述した。

「民意は秘密保護法に反対している。パブリックコメントで80%近い反対。多くの国民が反対ないし慎重審議を求めてきた。学者、研究者、文化人、NGOなど各分野にも広がっている。国民主権のもと、議会は民意を反映するものでなければならない。もしこの法案を参院でも強行採決すれば議会制民主主義の破壊であり、良識の府としての存在価値もなくなる。

この法案は米との集団的自衛権行使に踏み切ろうとしている安倍政権がNSC法案とセットで提出した。4大臣が安全保障に関する情報を独占し、国会議員ですら排除される。戦前の大本営を再び創設しかねない重大な問題をはらんでいる。日本は治安維持法など情報統制によって侵略戦争に突き進んだ歴史を持っている。

防衛、外交など極めて広範。大臣の一存で隠蔽できる。原発の警備の実施状況が特定秘密にされない保障はない。

適性評価は特定有害活動、テロリズムとの関係事項から薬物乱用、精神疾患、飲酒、経済状況などプライバシー性が極めて高い。これらの調査が公安警察にゆだねられれば日常的監視に置かれる監視社会になる可能性が大きい。国民の知る権利を根こそぎ奪う人権抑圧法案であり、廃案にすべきだ」

特定秘密保護法案の地方公聴会

その後、委員からの質問に公述人が答えた。「今の日本をめぐる安全保障環境をどう認識しているか」との質問に川上氏は「いろんな国が意図を持って化学剤を開発している。それは日米、欧州も新しい化学剤が出てるのではないか。そういう情報をくださいというときに、この枠組みがなければ国家として国民を守っていくことが不可能になる」と答えた。

「この法案では著しく不当な方法でなければ報道しても罰せられない。そもそも刑法に引っかかる。私はもう少し知る権利に冷静な議論が必要だと思っている」との問いに山崎氏は「秘密指定が妥当かどうか判断する機会もなく、何が秘密なのか検証する機会もない。この枠組みがそもそも出発点がおかしい。国民の知る権利を根こそぎ奪われる」と反論した。

終了後、中川雅治委員長(自民)は記者会見を開かず会場を後にした。

一方、法案に反対する人々が会場のホテル周辺に集まり、公聴会の中止や法案の強行採決反対を叫びながら、警備の警察官らとにらみ合った。会場周辺はシュプレヒコールなどが鳴り響き騒然となった。

【※】共産党以外の全野党が欠席した特定秘密保護法案の「地方公聴会」は、開いた意義があったと思いますか?コメント欄にご意見をお寄せください。

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