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山本太郎氏らと共に三宅洋平氏が「大デモ」開催「デモは、いてもたってもいられない人たちの行き場所」

2013年12月07日 23時56分 JST | 更新 2013年12月09日 00時20分 JST

7月の参議院選挙に立候補し、17万票を獲得したミュージシャンの三宅洋平氏が提唱した「大デモ」が12月7日行われ、スタート時におよそ3000人の参加者(主催者発表)が東京都渋谷区の代々木公園から渋谷・原宿を巡った。デモには山本太郎参議院議員や山田正彦元農林水産大臣らも参加した。

デモは、前日に成立した特定秘密保護法案成立を受けて反対の声を上げる人が多くを占めた。その他、政府が「原発ゼロ」政策の転換を改めて示したことへの反発、7日から閣僚会合が始まったTPP(環太平洋経済連携協定)に反対するアピールなど、参加者はそれぞれの主張を掲げながら、サウンドカー上の生バンド演奏やDJの音楽に合わせて行進していった。

デモといえば、全共闘時代に行われていたように、市民団体や労働組合が主催し、シュプレヒコールを上げながら行進するイメージを持ちがちだ。しかし、今回のデモは個人の意志で参加する人が多く、プラカートを掲げなから叫ぶ人もいれば、家族連れで散歩のように付いていく人もいるなど、それぞれの人が思い思いにデモに参加していたことが特徴である。なぜ人々はこうした「新しいデモ」に参加しているのか? そして、デモで政治を変えることができるのか? 現場の声から模索する。

■ 山本太郎氏「デモは普段一人ひとり行動している人たちが勇気をもらえる場所」

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デモ参加者に、今回参加したきっかけと、こうしたデモで日本を変えることができるかを尋ねてみた。

デモで日本を変えられるとは思いません。変えられるのは選挙だから、選挙で変えられるような方向に持って行くにはどうしたらいいかを考えています。秘密保護法が通ったということもあって、今は何もできない中で自分の意志を示すとしたらデモに参加することかな、と思います。(カット―さん)

秘密保護法とか、原発とか、洋平くんの話を聞いていると、いてもたってもいられなくなって長野からみんなで来ました。デモで日本は変えられると思います。デモをすることで知らない人を巻き込めば、みんな目が覚めるんじゃないかな。(ヒガシさん)

娘が7カ月なんですが、この子たちの未来を作っていくために富山県から参加しました。まだ、子供は喋れないので、この子の代わりになって声を出していきたい。秘密保護法案は支持していないし、私たちは声ある市民であることの意思表示をしていきたい。こうしたデモで今日明日すぐに変わると思いませんが、続けていくことで変わると信じています。(カオリさん)

じっとしていられない気持ちでデモに参加しました。歩くことで何か示すことができるんだったらいいじゃないですか。黙っていると何も変わらないと思うんですよ。今の時代は昔みたいにシュプレヒコールを上げてデモ行進するものではないと思います。こうやって渋谷の街を歩けば、同じように思っている人が多くいるんだな、と伝わるんじゃないでしょうか。(アキオさん)

三宅洋平さんのバンド「(仮)ALBATRUS」のライブに行ったときに今日の大デモの告知があったので、それで知って神戸から参加しました。デモに参加したのは今日が初めてです。特定秘密保護法が通ってしまって、このまま何もせずに待っているのではダメだし、一人だけでも力になれればいいなと思って。

こうしたデモで変わるかと言われれば正直わかりません。しかし国民が意志を示すことは大事なんじゃないかなと思います。(アイさん)

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特定秘密保護法が通ってしまったことは大変悔しいのですが、数の論理から言えば結果はわかっていました。秘密保護法は最悪の法案ですけれども、多くの人たちが、権力は僕たちの幸せとは真逆の方向に動いてしまっていることを意識できたし、現実を知ってもらえたと思うんです。皮肉なことですが、国民の力を集めて一つにすることに大きな役割を果たしてくれたと思います。

この最悪な状況の中でも、一つだけいいことを見つけるとするならば、今回の秘密保護法によって、多くの人がとんでもない不条理を押し付けられたという意識が芽生えたと思うんですよね。だから今回のことは次のステップに進むために重要なことで、秘密保護法が成立した瞬間からが始まり、そして今日からが始まりだと思っています。

僕が初めてデモに参加した時から考えていたことなのですが、デモというのは、関心のない外側の人に知ってもらうという側面もあると思うんですよ。その一方で、普段一人ひとり行動している人たちが勇気をもらえる場所でもあると思います。デモは外に向けてのアピールという意味合いもあるけれども、横のつながりをもっと太く、深くする役割を果たしていますから、必要なものだと思います。(参議院議員・山本太郎さん)

私は福島出身で上京してきたのですが、3.11以降の国の体制や福島原発事故への対応を見ていたら、ちょっとおかしいんじゃないかと思って。恥ずかしい話ですが、そこからメディアに対する不信感や政治に対する関心が芽生え始め、同じ気持ちを抱えていた仲間が集まって…という流れの延長線上で、今日のデモに参加しました。

デモで日本は変えられると思います。2012年7月16日の「さようなら原発集会」に17万人が集まったときに、一人の力は自分たちが気づいている以上に大きいということを実感しているからです。だから絶対に日本は変えられると確信しています。(リナさん)

今日の大デモは、三宅洋平さんのTwitterで知りました。デモに参加するのは今日が初めてです。秘密保護法が大きなきっかけですね。子供も連れて気楽に参加しましたが、子供の将来に関わることなので、デモに参加すること自体が大切なことかな、と思っています。

デモで何かが変わるかと言われたら…うーん、わからないです。しかし、三宅洋平みたいな人が出てきて、時代が大きく変わっているんだなということは感じますね。(サトシさん)

納得いかないことがたくさんあることと、洋平が頑張って煽ってくれているんで付いていかないという気持ちで参加しました。デモで日本を変えられるかどうか分からないけれど、自分たちの考え方が変わったらいい方向に転がっていくんじゃないかな。(きっしーさん)

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■三宅洋平氏に聞く「デモのあり方」

このように、参加者のモチベーション、スタンスには違いがある。また、デモに参加していない沿道の人たちに話を聞いてみると、「騒がしい」「邪魔」と眉をひそめる人も少なからずいた。そして、もっとも多かった意見が、「何をしているのかわからない」というものだった。

また、自民党の石破茂幹事長は、自身のブログでデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないと思います」(後に、[本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思います]と訂正」と疑問を呈するなど、デモのあり方そのものを問う動きもある。

デモは参加者の求心力を高めることはできるが、それ以外の人たちとの温度差は埋められない。デモは果たして有効な手段なのか。政府や国を動かす原動力となりうるのか。そうした疑問を今回のデモの提唱者である三宅洋平氏に尋ねてみた。

「おそらく、デモをやったからって何かすっきりするということは永遠にないと思います。デモで変わるかどうかというよりも、いてもたってもいられなくなった人の行き場所の一つとしてデモがあると思うんです。いてもたってもいられなくなった気持ちそのものは、間違いなく友達や家族、たまたま通りすがった人に何かしらの影響を与えられる。そういった意味では効果は絶対にあると思います。

ただし、秘密保護法案を廃案にするといった政治的実行力を求めるとするのなら、選挙に立候補するしかないと思いますね」

デモにもさまざまな形がある。年輩の人には、安保闘争や労働組合のデモがイメージとして残っているだろう。海外を見れば、チュニジアやエジプトなどでの革命につながった「アラブの春」など、一部で暴力的な手段につながったものもあれば、医療や教育の充実を求めてワールドカップに反対したブラジルのデモなど、平和的に行われたものもある。三宅氏が考える日本のデモのあり方はどのようなものだろうか。

「日本では、平和なデモが根幹にあると思いますし、安保闘争のようなデモが成功体験になっている世代がいる一方で、トラウマになっている世代がいますから、そのトラウマの原因を明らかにしていかないといけないと思います。僕自身、『平和のために闘ってどうするんだ、闘ったら平和じゃないじゃないか』と思ってきた世代なので、楽しそうだし、子供も参加できるデモを志向したい。

僕が思うのは、デモの場を通じて、参加者がお互いにモチベーションを喚起し合えればいい、ということです。政治について知ろうとする、政治について自分で動こうとする、社会に対して自分が何をできるかを考える、あるいは政治や社会で何が起きているかを知る、それについて動いている人たちの姿を目の当たりにすることでやる気を補填しあう場になればいいと思います。デモから自分たちの住む街に帰っていって、より具体的な社会参画に向けての『やる気』を養っていくきっかけになったらいいなと」

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■「何のデモかわからない、という声もあるけど、それがテーマなんです」

大デモでは「飛び入り参加OK」を掲げ、自由に参加できる方式を模索していた。しかし、現実には参加者が雪だるま式に膨れ上がることは稀である。外部からしたら、「何をしているのかわからない」という戸惑いの方が大きいだろう。それほどデモに参加する人とその外側の人たちとの壁は厚い。その壁を打破し、さらに大きなムーブメントにしていくためには何が必要なのか。

今の東京で通りすがりに踵を返して参加できるスケジュールで動いている人はほとんどいないと思います。ただ、飛び入りOKと言われて、そのときに一瞬躊躇することもあると思います。初めて音楽のライブとかフェスティバルに行った人が、踊るのはちょっと恥ずかしいなと思っていたのが何かのきっかけで『ああ、踊っていいんだ』と感じて、実際に踊ってみたら『ああ、こんな自分がいたんだ』と気づく瞬間があると思うんです。そういう『誘(いざな)い』をしていきたい。周りがみんな踊っているのに自分だけもじもじして踊れない、ということがあると思うんです。そういう思いをしている人はいっぱいいる。

だから僕たちが言っている『飛び入り参加OK』というのも、今回のデモを見て、次はちょっと参加しようかな…と思ってくれるような、それくらいのタイムラグを含んだものなんです。日本の現状や日本人の心理を考えると、それくらいのスパンでゆっくり広げたほうがいい。

何のデモかわからない、という声もあるけど、それがテーマなんです。このデモが何なのかを考えてくれればいいわけで、デモで何を言っているんだろうというところから始まって、今日本で何を言わなければいけないのか、自分なら何をいうのかを考える。それがデモなんです。これは○○のためのデモなんです、という扇動をされないとついていけないような心理状態だと、秘密保護法やTPP、原発に反対しても止めることができない。そんな従順な国民でいることはやめて、自発的に自分が考えたことを訴える場がデモなんです。そういう意味では、『これは一体何なんだ』と思わせたらデモは成功です。

日本人の内気さをブレイクスルーする文化を形成していきたいし、たとえば外国人が気軽に楽しくパーティーに参加しているのを遠巻きに見ているのではなく、「楽しそうだな、みんな一般人なのに芸能人みたいだな、なんか俺たちも垢抜けたほうがいいんじゃないか」と思えるようにしていきたい。だから自分は率先して外国人から見ても驚かれるような生き様を通してきました。そのほうが楽しいからなんですけど。

そうは言っても、日本人はクワイエットな民族、物静かな民族なんだ、という人もいます。それで楽しければいいですけど、本当にそれで楽しいの? と思うんです。言いたいことも言わないで、恥ずかしがってばかりいて、先頭に立つこと、目立つことを恐れる。だから山本太郎くんのような存在が浮き上がってしまって、イメージも抹殺されていくんです。

デモで無数の人たちがもっと『キャラ立ち』してほしんですよ。今日の『何を言っているのかわからない』という周囲の声は、僕も広げていきます。次、デモに来るときはもっとプラカードなどをもって、自分の言いたいことをもっと訴えなよ、と問いかけます。『何を言っているのか分からない』という声が多かったという事実に対して、『いや、それは三宅さんがデモのテーマを言ってくれないからですよ』という人もいるかもしれません。そこで僕は『だから、それを考えるのはみなさんでしょ』とひっくり返していきます。

デモはみんなの空間として常に開かれていて、誰のものでもない場なんです。そして、デモは禅問答のようなものなんです。『これは何のデモなんですか』と聞かれたら、『何のデモだと思います?』と問い返します。僕自身は音楽を通して常にそうした『問い返し』をしています。だから僕の音楽はわかりにくくて売りにくいんですけど(笑)、伝わる人にはちゃんと伝わります。なぜ伝わるかというと、その人が、人から教わったのではなく、『この人の言いたいことが分かった、自分でつかめた』という自負が持てるからなんです。

そういう自立性が、今の日本には足りない。だから民主主義が機能しないんです。だからポピュリズムに走るし、コマーシャルに流されてしまう。しかし、みんなの知力、情報収集能力はかなり高いレベルに来ていると思います。個人的な意見を言ってはいけないという空気の中で、『あなた自身の思っていることを堂々と言ってもいいんだよ』と言いたいですね」

※デモで日本は変えられるのか。みなさんのご意見をお聞かせください。

大デモ 2013.12.07