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TPPとは、3つのポイントで振り返る 「そもそもメリットは何?」

2013年12月11日 19時16分 JST | 更新 2013年12月12日 00時46分 JST
Bloomberg via Getty Images
Jacob 'Jack' Lew, U.S. treasury secretary, left, and Akira Amari, Japan's minister of state for economic and fiscal policy, attend a meeting in Tokyo, Japan, on Tuesday, Nov. 12. 2013. Amari confirmed with Lew further cooperation to conclude the Trans-Pacific Partnership (TPP) trade agreement by year-end. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images

12カ国が交渉している環太平洋経済連携協定(TPP)は、目標だった年内合意を事実上断念した。年明けの2014年1月にも再開する予定だが、長期化も懸念されている。改めてTPPとは何なのか、概要とこれまでの経緯を振り返った。

■そもそも、TPPって一体何なのか?

TPPは「経済連携」や「パートナーシップ協定」という名前が示す通り、単なる貿易協定ではない。人、モノ、お金などの移動を自由にして、経済を活発化させようという協定だ。だから取り決めは輸入品の関税だけでなく、知的財産権(著作権の保護期間など)や金融などのサービス、一時入国の取り扱い、政府や企業との間で国際紛争が起きたときの解決方法など、様々な分野に及ぶ。

日本は2010年10月1日に民主党政権の菅直人首相(当時)が国会の所信表明演説で「参加を検討」と表明したが、国内や党内の調整がつかずに正式な参加手続きが遅れ、実際に交渉に参加しはじめたのは、自民党の安倍政権になってからの2013年7月だった。

■参加すると、どんないいことがあるのか?

安倍政権は、参加国の間で仮にすべての関税が撤廃された場合、1年で差し引き3.2兆円の利益があると試算している。日本の自動車の輸出が好調になる半面、安い農産物が輸入されて農業への打撃は免れないとの計算だ。

安倍政権は15日、甘利明経済再生相をTPP担当相兼務にした。甘利氏はこの日夜、日本がTPPに参加した場合、各国が輸入品にかけている「関税」がすべてなくなると、日本経済が1年間に生み出す国内総生産(GDP)が実質3・2兆円(0・66%)増えるという試算を発表した。ただ、国内の農林水産業の生産額は3兆円も減るという。

(中略)

プラスになるのは、自動車などの輸出で2・6兆円になる。働く人の給料が増え、消費も3兆円増える。もうかった企業の投資は0・5兆円増えるという。
ただ、安い農産物を中心に輸入が増えることでGDPは2・9兆円も減る。国内でどれだけモノやサービスが生まれたかをはかるGDPでは、海外でつくられたものを買う輸入はマイナスに評価されるためだ。
国内の農林水産業は、コメや小麦、砂糖などの33品目で計7・1兆円ある生産額が4・1兆円に落ち込む。外国の安い農産物が入ってきて国産と置きかわる割合を計算してはじいた。

(朝日新聞デジタル「TPP、関税ゼロなら農業打撃 GDPは増加 政府試算」より 2013/03/16 05:52)

背景には、韓国などアジア新興国との競争が熾烈になる自動車業界の焦りがあった。工業製品の輸出で生き残りを図る韓国は、2国間の貿易協定(FTA)をすでにアメリカと結んでおり、自動車の関税が下がれば小売り価格も下がって日本車との競争で有利になる。ロイターニュースは民主党政権の野田佳彦首相(当時)が参加表明したとき、以下のような分析と自動車業界の声を伝えている。

現代自動車(005380.KS: 株価, 企業情報, レポート)などはウォン安や欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)締結などを背景にグローバル市場で攻勢をかけており、日系自動車メーカーも危機感を募らせてきた。

韓国は米国とのFTA発効が間近に迫っており、米国が乗用車にかけている2.5%の関税も5年以内をめどに撤廃される見通しとなっている。日本が、関税を原則撤廃するTPPに参加しなければ、韓国車が米国市場で免税される一方、日本車には課税が続くことになる。

日本自動車工業会(自工会)の志賀俊之会長(日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)最高執行責任者)は10日の野田首相の政治決断を受け、「アジア・太平洋地域におけるビジネス環境の整備と、自由貿易の進展が期待される」と歓迎するコメントを発表した。

(ロイター「〔アングル〕TPP交渉参加表明に自動車業界から歓迎の声、韓国との競争条件悪化ひとまず回避」より 2011/11/11 20:49)

■なぜ難航しているのか?

一方、農業への打撃が予想されるため、農協などは強く反対してきた。農村地帯の票の取り込みを狙った自民党は2012年の衆院選で「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対」と公約に掲げた。自民・公明の与党は、守るべき「聖域」を農産物の重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の原料)と決め、2013年7月からの参加国間交渉に臨んだ。

交渉で焦点になったのは、すべての関税撤廃を要求するアメリカに、日本がどこまで譲歩し、取引するかだった。朝日新聞デジタルは、双方が歩み寄れず年内の合意がなくなったと伝えている。

交渉関係者によると、貿易自由化率を90%台まで引き上げれば、これまで日本が結んだ自由貿易協定では過去最高になる。しかし、米や麦など「重要5項目」とよばれる農産品の関税はあくまで守るという考えは崩しておらず、その場合の自由化率は93・5%にとどまる。だが、米国はあくまで「全品目の関税撤廃」の主張を譲らなかった。

そもそも2月にあった日米首脳会議では、日本の農産品と米国の工業製品を「センシティビティー(重要項目)」と認め合い、互いに国内事情に配慮することにしたはずだった。しかし、4月の日米の事前協議では、米国の自動車関税はなるべく長い期間をかけてなくすと決めたものの、日本の農産品関税については何も決めなかった。そのツケが交渉の大詰めで噴き出してきた。

朝日新聞デジタル「TPP、農産品巡り溝 越年見通し 米、関税撤廃譲らず」より 2013/12/10 05:00)

【※】改めて、TPPの協定締結は日本にとって利が大きいと思いますか?皆さんのご意見をコメント欄にお寄せください。

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