ニュース

高額所得者への増税は限界か 日本の税制問題の行方は

2013年12月16日 15時50分 JST | 更新 2013年12月16日 15時50分 JST
Jeremy Horner via Getty Images

kyokasho

高額所得者の税負担が増加。今後もこの傾向が続くのか?

政府は、来年度の税制改正において年収1000万円を超える会社員の給与所得控除を2017年から縮小し、税負担を重くする。2016年から1200万円以上の給与所得者の控除が縮小されることになっており、今回の措置はこれに続くもの。年収1500万円の会社員(夫婦子供2人)の場合、2016年の段階で7万円、2017年ではさらに4万円負担が増える。

日本は所得が上になるほど税負担が重くなる累進課税制度を導入しているが、高額所得者の負担をさらに重くすることを求める声は少なくない。一方、これ以上高額所得者の負担を重くすると、高額所得者のインセンティブを低下させ、経済にマイナスとなるとの意見もある。

日本の税収の実態を見てみると、確かに高額所得者の税負担は重いことが分かる。年収1000万円超の供与所得者の数は全体の4%しかいないが、所得税の税収に占める割合は46%に達する。全体の4%に過ぎない高額所得者が、所得税の約半分を支払っている。また年収300万円以下の人の所得税は給与の1.5%以下であり、ほとんど無税に近いというのが実態だ。

だが高額所得者の負担が大きいことが経済にマイナスかという必ずしもそうではない。欧州や米国は、日本ほど極端な累進課税にはなっていないが、年収3000万円以上の人の税負担はむしろ日本より重くなるケースもある。だがこうした高い税率が経済成長の阻害要因にはなっていない。

もっとも日本の場合、理想的な税制はどうあるべきかという議論ができる段階はすでに過ぎ去っている。医療と年金という社会保障費の負担増から日本の財政は危機的な状況となっており、高齢化の進展で状況はさらに悪化していく可能性が高いからだ。

年金と医療を合わせた全体規模は100兆円を超えており、一般会計の予算を上回る。確かに官庁の無駄使いや公務員の高すぎる給与、生活保護の給付水準など、個別に議論する点はたくさんあるが、マクロ的に見れば社会保障費の国庫負担があまりにも大きく、小手先の経費削減ではまったく対応できない状況になっている。税務当局としては取れるところから取る以外に手段がなくなりつつあるといってよい。

税収増という意味では、人数が多く、ほとんど税金がかけられていない低所得者の課税を強化するのがもっとも手っ取り早いが、政治的環境がそれを許容しない可能性が高い。一方、高額所得者からの課税を大幅に強化する方策は、そもそも高額所得者が少ないという状況では限界がある。また仮に実施しても、節税対策などが活発になり、思うように税収が伸びない可能性が高い。

高額所得者は多少の負担増であれば、あまり反発しない可能性が高く、結局のところ、高額所得者の負担をある程度増加させるとともに、低所得者から効率良く税金を徴収するため消費税を増税するというやり方がもっとも効果的ということになる。さらに足りない部分については、最終的に資産課税(相続税)を大幅に拡大する方向で検討が重ねられている。

高額所得者の負担を増加させるという今回の決定は、今後の税制の中核的な方向性ではない。あくまで補助的な存在であり、本命は消費税の増税と相続税の強化にある。まだ日本に税制のあり方について議論する余地が残されているのだとすると、国民皆保険制度を前提にした現在の医療保険制度、世代間扶養を原則とした現在の年金制度に改革の余地があるのかどうかという点に行き着く。税制問題=社会保障問題なのである。

【ニュースの教科書内の関連記事】

関連記事

お金持ちのクレイジーなお金の使い道