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フィンランド教育制度をキウル教育科学大臣が語る 「学費無料、テストなし」で世界トップレベルの理由

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FINLAND SCHOOL
Vaasa (Vasa), FINLAND: Children listen to their teacher 17 August 2005 in a primary school in Vaasa, on the second day of school in Finland. Because of the track and field World Championships in Helsinki, most of the schools have postponed by one week opening of their new season. According to a recent European study, Finland is the country which has best school results in Europe thanks to its teaching system. AFP PHOTO OLIVIER MORIN (Photo credit should read OLIVIER MORIN/AFP/Getty Images) | OLIVIER MORIN via Getty Images
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大学までの学費は無料。授業時間が他国に比べて少なく、基礎教育課程では全国共通の学力テストもない。それにも関わらず、国際的な学習到達度テストでは常に上位を誇っている国が、フィンランドだ。来日していたフィンランドのクリスタ・キウル教育科学大臣が11月、日本記者クラブ(東京都千代田区)で会見。世界から注目を集めるフィンランドの教育制度について語った。その背景にあるものは、「信頼」なのだという。

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■政党すべてが一致して決断した教育改革

「多くの方からフィンランドのような優れた教育には、なにか秘密があるのでしょうかとよく質問を受けます。特に秘密はありません。特別な方程式もありません。さまざまな手法やツールが、たまたまうまくフィンランドに適応した結果といえます。そして、私から申し上げられるのは、すべての基礎は『信頼』であるということです」

まず、キウル大臣はこう断言した。フィンランドは、経済協力開発機構(OECD)が2000年から3年ごとに実施している国際的な学習到達度テスト(PISA)で、読解力や科学リテラシーなどで常に高い成績を修めている。現在のフィンランドの教育は、1968年から始まった大胆な教育改革に起因する。

「この年に、大きな政治的決断がなされました。天然資源もない小さな国でしたが、人材こそ財産であると国として判断し、国民にこそポテンシャルがあり、築く基礎があると考えました。そして、我々は持てる資源のほとんどを教育に投資することを決めたのです。中でも特に、すべての生徒に公平に教育をするという目標を掲げました。男女、家族の背景、財力は関係なく、万人に教育の機会を与える。それが、フィンランドの教育制度の根幹となりました。7歳の子供たちは将来、カーレーサーになるかもしれないし、大統領になるかもしれない。生徒たちがどんな大人になるかわからないからこそ、全員に投資すべきであると私たちは判断したわけです。すべての子供の可能性に賭け、フィンランドを担う人材に育てていくということを、政党がすべて一致して決断しました」

その結果、フィンランドでは国家および自治体の予算の11〜12%が教育にあてられ、就学前教育(6歳)、基礎教育(7歳〜16歳)、高等教育、大学院は無償となっている。就学前教育と基礎教育では、教科書や給食、遠隔地に住む児童の送迎にかかる費用もすべて無償で提供。成人に対する生涯学習も手厚いサポートがあり、学びたい意欲があれば、そのチャンスが与えられるように制度が整えられ、公平性が保たれているという。

■修士課程を修了した優秀な若者が教師を目指す

そうした制度の中で質の高い教育はいかに実践されているのだろうか。「キーワードは信頼です」とキウル大臣は繰り返す。「信頼というのは、ベストな指導ができるとして教師を信頼すること。そして、生徒に対する信頼もあります。私たちは、教師も生徒もモニタリングをしていません。たとえば、基礎教育の段階では全国一斉の学力テストをしません。テストをしなくても、しっかりとした教育が行われていると信じているからです。国民もこの教育制度を信頼しています」

そして、フィンランドの教育制度の成功の重要な点として、「若者が教師になりたいと思っていること」を指摘する。フィンランドでは、教師になるためには大学院で修士課程を修めなければならない。保育所(デイケアセンター)と就学前教育(プレスクール)の教師も、大学を卒業している。それでも若者の間で教職課程は人気が高く、教育学部には定員の5倍にあたる志願者が集まる。教師が信頼され、尊敬を得ているということから、若者は教師に憧れを持っているのだという。

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クリスタ・キウル教育科学大臣(中央)

■フィンランドの教育制度を日本に導入できるか?

「多ければ多いほどいいと言われているものでも、少なければ少ないほど、より多くのことにつながる場合があります」というキウル大臣。「フィンランドの場合、平均的な教室での授業時間は、他の国に比べて少ないです。生徒を教室に閉じ込めない。教師にとっても、授業を行う時間が少なければ学校以外での時間を持つことができ、じっくり考える余裕が生まれます。また、学級規模も他国に比べて小さいです。今もさらに予算をとってもっと少人数にしようとしています」

では、フィンランドの教育制度を日本にも導入することは可能なのだろうか。「日本とは制度自体が違うので、日本に対するアドバイスを申し上げることは残念ながらできないと思います。フィンランドの方法を他の国に移しても、うまくいくかどうかわかりません。教育とは、多くがその国や地域の固有の文化に根ざすものです」と話す。

「ただ、教育の抱えている課題は共通すると思います。良い成績の生徒にもっとやる気を持たせるのにはどうしたらよいのか。きわめて優れた生徒たちにも関わらず、身体的にも精神的にも疲れている子供がいるとしたら、悲しいことです。次の世代に何かを伝えられるとしたら、教育現場だと私は思っています。人生の目的を持ってもらえるよう、学校で教えるべきです。2つ目は、もっと知りたいという好奇心を持ってもらうということ。それから3つ目は、子供たちがお互いを理解しあえるような雰囲気を作り出すということ。どの人間も大事ということを理解してもらいたいと思っています」

■持続可能を実現するためのキーワードは「生涯学習」

こうした教育制度の成果として、「経済、社会、持続可能な成長も国としての能力を教育で培うことができました」と振り返る。「現政権は2020年までに、最もコンピタンシー(成果を上げる行動特性)の高い国に育てるというステートメントを出しています。教育には常に改善が必要です。全員がもっと良い成績となるよう、門戸を開いて努力をしなければなりません」

フィンランドは「アングリーバード」などゲーム産業が盛んなことでも知られているが、キウル大臣はこんなエピソードを披露した。「私が教育大臣になった時、甥が『5項目の提案』を持ってきました。その中に、学校でもゲームを導入して数学を学べるようにしてほしいという提案がありました。学校もデジタル化に門戸を開いていくべきだと信じています。そして、もっと色々なことを知りたいという好奇心を学校で教えられれば」と語る。

教育制度は子供たちだけのものではない。フィンランドでは、大人になっても、学び続ける姿勢が大切なのだ。「生涯教育こそ、キーワードです。私たちができることは、今の最高の知識による教育を続けるということです。卒業した後も学習を続けなければ、持続可能は実現できません。世界の国々やその構造も急速に変化し続けています。何が成功や幸福に結びつくのかわからないからこそ、ずっと学び続けることが大事です」

■PISAでフィンランド後退、その対策は?

OECDは12月3日、2012年に実施されたPISAの結果を公表した。5回目となる今回は65の国と地域が参加。フィンランドは、前回に比べ順位や平均点数を落としたものの、アジア勢がトップを占める中、OECD加盟国の中では安定の上位だった。「科学」はOECD加盟国中2位で全体5位、「読解」は同3位で全体6位、「数学」は同6位で全体12位。ヨーロッパ内では数学を除く2分野で1位となった。

この結果を受け、キウル大臣は「調査結果が全体的に落ちたことは、フィンランドの義務教育が大きな対策を必要としていることを示唆しています。早急に幅広い検討チームを発足したいと思います」と談話を発表した。また「これまでの研究から今回の結果は予想されていました。というのも子供たち、そして社会の学校に対する意識が、以前より肯定的ではなくなってきたためです。平等を強化することはもちろん、学習への意欲を向上、維持させ、学校の環境をより居心地の良いものにしなければなりません」とコメントしている。

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フィンランドの教育改革とその成果、現状を鑑みて、日本の教育はどうあるべきか。あなたのご意見をお聞かせください。

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